ゲイ文化の暗黒面も怯まず描くイスラエルの新作映画『In Bed』日本公開希望

イスラエルの新作ゲイ映画『In Bed』が、本国での今月末公開に向けて予告編を公開。映画で語られることのなかったゲイのダークな部分にも怯むことなく光をあてた作品内容が、大きな話題を呼んでいる。

親密さと暴力の境界線が曖昧になる一夜

In Bed

12月29日よりイスラエルで公開の新作映画『In Bed』を、Varietyは”エロティック・ゲイ・スリラー”と紹介している。

11月にエストニアで開催の「タリン・ブラックナイト映画祭」で国際プレミア上映されたこの作品は、ドラッグ、セックス、パラノイアが渦巻く一夜を舞台に、親密さと暴力の境界線が曖昧になっていく様を描く。

監督のニツァン・ギラディは、ドキュメンタリーや短編映画を手がけることが多く、『In Bed』は2015年のトロント映画祭でプレミア上映された 『Wedding Doll』に続く、長編映画第2作目となる。

(左)ディーン・ミロシュニコフ(右)ニツァン・ギラディ監督

ゲイカルチャーの暗黒面に光をあてる

In Bed

『In Bed』は、ゲイ・プライド・パレードが銃乱射事件によって壊滅的な打撃を受けることから始まる。銃撃犯が逃亡している中、快楽主義者で親友のガイとジョイは安全なガイの家に引きこもるが、本来賑やかに楽しむはずだったパーティーの夜を続けようと決意する。

臨場感あふれる撮影とテンポの良いポップなサウンドトラックにのせて、監督が「ゲイ・コミュニティでオープンに語られることはほとんどなく、映画でも全く登場しない」と語る”ケムセックス”にも冷静な目を向けて描き出す。

”ケムセックス(Chemsex)”とは、ドラッグを使用しておこなう性行為のことで、 Chems(化学物質=ドラッグ)&セックスを意味する造語だ。

ギラディ監督は、ゲイのパーティ文化において娯楽用ドラッグが果たす役割、すなわち親密さを作り出し、現実を歪める、その危険な影響を探っている。

監督はこう語っている。

「汚名を着せるのではなく、私たちのカルチャーの一面を真実味のある方法で見せたかったのです。現実的とかドキュメンタリー的という意味ではなく、ハイになる感覚、ファンタジーへの到達、現実の歪み、コントロールの喪失を、正直かつ直感的に描きました」

主要キャストはイスラエルの人気スター

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主演の2人、ガイ役のイスラエル・オガルボとダン役のディーン・ミロシュニコフは、イスラエルで人気が高いセレブリティでSNSでも多くのフォロワーを抱えている。

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イスラエル・オガルボ
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イスラエル・オガルボ
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ディーン・ミロシュニコフ 画像引用元:Instagram
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ディーン・ミロシュニコフ 画像引用元:Instagram

主役の座を射止めるために、オガルボはギラディ監督と6カ月間にわたるリハーサルを行い、撮影中もセットに住み込むことにしたそうだ。

オガルボは『In Bed』の撮影後に、イスラエルのNetflixシリーズ「The Beauty Queen of Jerusalem」に主要役でキャスティングされ、現在は第2シーズンの撮影を行っている。

10月末から開催されたテルアビブ国際LGBT映画祭で『In Bed』はオープニング作品として上映。オガルボが、最優秀俳優賞を受賞した。

アメリカでの上映予定は近日発表されるとのこと、日本での上映も期待したい。

※参考記事:Variety

(冨田格)

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