独身中高年ゲイの基礎知識「今すぐモノは捨てなさい」断捨離は老後準備の第一歩
自分の親が「物が捨てられない」タイプだから困ったもんだと語る人は多いが、自分は物に囲まれて生活していないだろうか?
親にもしもことがあったなら子供であるあなたが片付けるが、では、独身ゲイにもしものことがあったら誰が片付けてくれるのだろう?
考えると不安ばかりが大きくなる独身ゲイの老後問題、今すぐに始められる準備に関して実体験をもとに解説する。
先延ばしにしていた「断捨離」と向き合う

これは筆者が身を持って実感した話。
九州に住んでいた父が急に亡くなり、三人兄弟の末っ子である自分が25年ほど母と同居した。九州から大量の家財道具とともに上京した母。それに加えて筆者の荷物も収納したら、転居後いきなり団地の部屋は物で溢れかえることになってしまった。
戦中世代で物が捨てられない母の血をひく自分も、決して断捨離が得意ではない。いつか片付けなきゃと思いつつ、ずるずると時は過ぎていった。
80代になった母は、入院を繰り返すことになり、そのたびに自立できる能力は少なくなっていき、さすがに在宅介護は限界を迎え施設に入所することになった。
個室とはいえ施設には、必要な着替えなど最小限のものしか持ち込めない。そして、母と暮らしていた部屋は、自分が一人で暮らすには広すぎるので、一人暮らしのための部屋に引っ越しをすることを決めた。つまり先延ばしにし続けていた「断捨離」と、ついに向き合うことになったのだ。
とはいえ、何から手をつければいいのか途方にくれてしまうほど膨大な家財道具や、引っ越し以来開けたことのない段ボール箱の山。

書類関係の整理や、母の荷物の仕分けなど、兄夫婦が手伝ってくれたおかげで、なんとか「断捨離」を進める糸口は見つかった。母の洋服ダンスや、重厚な食器棚など、ザ・昭和な家財道具は友人の「なんでも屋さん」に頼み込み、分解から廃棄まで引き受けてもらった。
しかし、まだまだ細かい家具から、母の大量の衣類、台所や洗面所の小物類、そして手付かずのままの自分の膨大な荷物類が控えている。
物と一緒に歳を重ねてはいけない
母を施設に入居させたことで「老後に物を持ち歩くことはできない」という現実を知ったことは、自分の引っ越しに関してはとても有意義だった。
以前の引っ越しでは、ついつい「これはいつか必要になるかも」とか「ダイエットしたら着られるかも」とか「老後の楽しみにできそうだから捨てないでおこう」とか、自分に対して100の言い訳をしながら、結局、たいして捨てることなく大量の荷物とともに転居をしていた。
しかし、老後の現実を知った今回は違った。「必要最小限の物しか持っていかない」と決めたことで、自分の荷物を思い切って断捨離することにした。
まずは部屋が見つかったので引越しの日程を決め、持っていくものを取捨選択。そして先に荷物を新居に移してしまうことにした。
転居後、前の部屋を退去するまでに約3週間の猶予があったので、その間に残った膨大な量の荷物の廃棄に取り組むことにした。後生大事に持ち歩いていた着なくなった洋服、捨てがたかった本や漫画、CD、DVDに小物類。とにかくひたすら捨てることに専念。

団地の古紙回収の日に合わせて、紐で束ねた本を20往復以上しながら運ぶ。不燃、可燃、プラ、瓶など分別した指定ゴミ袋を、どれだけゴミ捨て場に運んだか、あまりに量が多すぎて記憶も定かでない。
そして、大量の粗大ゴミ。大型の家財道具以外にも、こまごまとした粗大ゴミが次々と現れる。自治体の回収センターに予約を入れて、指定された予約番号をスーパーで購入した粗大ゴミ回収券に記して、指定の日時にゴミ置き場に出す、という流れなのだが、これを何回繰り返したのか、正直覚えていない。

3週間の猶予が、などと記したがどれだけ捨ててもなくならないモノたちと連日格闘し続け余裕すらないまま、結局、退去指定日の日付が変わる直前までかかってなんとか終わらせることができた。
この時、筆者は56歳。ハードな徹夜仕事なども平気で体力的には結構自信があったのだが、この引っ越し作業が終わったあとは、文字通り「精も根も尽き果てた」抜け殻状態になってしまい、回復して新生活を始めるのに数日を要してしまった。
断捨離は気力・体力があるうちに

この引っ越しで学んだことは、
「荷物が多ければ多いほど断捨離するのは本当に大変」
「まだ体力があり元気な時にやれてよかった」
という2つのことだ。
「断捨離するぞ」と決めて大量に物を捨てていく作業は、背負っていた荷物を次々と投げ捨てていくような解放感はあるのだが、まとめた荷物を運ぶという作業は肉体的には相当過酷だった。
また、捨てても捨ててもなくならないモノの量と、退去日までの時間を考えるとストレスは溜まる一方で、事前のもくろみが甘すぎたと反省した。
とはいえ、還暦前に大量の物とお別れできたことは、本当によかったと思っている。
転居時に、食器と炊飯器や電子レンジをまとめて収納できる棚、押し入れ収納の書棚とハンガーラック、カウチ、タオル用の棚と洗濯カゴなど購入したが、それ以外の家財道具的なものは増やしていない。
コロナ禍で人と会う機会も減ったので、洋服も必要最小限なものしか購入していない。大量の物を断捨離するようなことは二度としたくないので、今後も物は増やさない生活をしていこうと考えている。
独身ゲイの老後準備は小さく暮らすことから

物が捨てられず溜め込んでしまう母だったが、私や兄夫婦のように子供が片付けを担えたので、高齢の母は断捨離をする必要がなかった。
では、独身ゲイの私たちはどうだろう。
高齢になっていき、怪我をしたり病気をして入院し、そのまま独居は無理になり施設に入ることだってありうる。実際、私の母もそうであったから。
歳を重ねるほど体力も気力も無くなっていく。50代半ばだからなんとかできた大量の断捨離を、60代、70代になってもやれる自信はない。
母と25年ほど同居した実感だが、高齢者は年々やれることが少なくなっていく。母が介護を必要とする前の70代の頃に、断捨離をしろと言っても、どこから手をつければいいのか分からず現実的には難しかっただろう。
自分にもしものことがあっても対応してくれる子供がいない独身ゲイは、その時のことを考えて準備を進めておく必要がある。
母が施設に入居したことで、「施設に持ち込める荷物は最小限のみ」という現実を知ったことで断捨離することができた実体験をもとに考えたことは、
「独身ゲイは高齢になる前に生活サイズを小さくする必要がある」
ということだ。今より狭い部屋に転居すれば、必然、断捨離をせざるを得なくなる。
「いつかやらなきゃ」「そのうちやらなきゃ」と思っていても、物は減っていかない。物を捨てねばならない状態に自分を追い込まない限り、大量の物から解放されることはない。
老後に不安を覚えながらも何から手をつければいいのか分からず立ちすくんでしまっているなら、生活サイズを小さくして断捨離するための引っ越しを現実的に考えてることから始めてみたい。このまま歳を重ねて、体力も気力も奪われていく前に。
老後の「資金」「孤独」「病気」という不安も合わせて引っ越しを考えるなら、ゲイの老後に対する不安解消のための活動をしているアライアンサーズの「ゲイの老後は横浜で」という住み替え支援サービスを検討材料に加えてみるのもよさそうだ。
詳細はこちらの記事を参照:【物件見本画像あり】「ゲイの老後は横浜で」家賃を抑えて孤独を解消する老後準備の第一歩
(冨田格)
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