世界中の孤独なゲイが共感!去年話題になった独身ゲイとサンタのCMを見直す

昨年、ノルウェーの国営郵便局「ポステン」が発表した、孤独な独身の高齢ゲイとサンタクロースの交流を描いたクリスマス広告が、世界中で話題になったのを覚えているだろうか。孤独なゲイの心に突き刺さるこのCMを、クリスマスを前に再び見直してみよう。

年に一度、僅かな時間の逢瀬

ノルウェーのサンタ

「When Harry met Santa」と名付けられたこのCMは、兄弟の家族がいて天涯孤独ではないものの、パートナーがいない孤独な年配の男性ハリーが主役。

ある年のクリスマスイブの深夜、一人で暮らす家で喉が渇いて目が覚めたハリーは階下のキッチンに行き水を飲み、リビングを見るとそこにはサンタクロースが立っていた。パンツ一丁のハリーとサンタの目があった瞬間、サンタは煙突から消えていった。

それから毎年、クリスマスイブの深夜に少しの時間だけ交流を深めていく2人。ハリーにとっては年に一度の逢瀬が生きる楽しみになっていく。同時に、年に一回、わずかな時間しか会えない寂しさも募っていく。

寂しさのあまりハリーは北極に「クリスマスに欲しいものはあなただけです」と手紙を送る。

次のクリスマスイブ、ジャケットを着てオシャレして待つハリーだが、玄関のベルが鳴る。ドアを開けるとそこにはポステンの郵便配達の人が立っており、クリスマスプレゼントを手渡される。

ガッカリしたハリーがプレゼントを抱えてリビングに戻ると、そこにはサンタクロースが立っていた。ハリーの願いを叶えるために、プレゼントの配達を「ポステン」に依頼して、時間を作ってくれたというのだ。

お互いを想う気持ちが交差して近づく2人は、熱く、でも甘いキスを交わす。

男性同士の性行為の非犯罪化50周年

ノルウェーのサンタ

国営郵便局「ポステン」は、日本でいうなら「日本郵便」のようなもの。「日本郵便」が年配の男同士のロマンスを描くCMを作ることはとても想像できないが、これはノルウェーとのお国柄の違いも影響しているようだ。

実はノルウェーではかつて、男性同士の性行為を犯罪とする法律があった。1972年にその刑法の条項が撤廃されたことから同性愛者の権利が徐々に認められるようになっていく。

2021年は、男性同士の性行為の非犯罪化50周年を記念するために、このCMが作られたのだ。

ロシアなど一部の国のメディアから否定的な報道が流れたのは事実だが、大半の国のメディアはこのCMを肯定的に報じたという。

主役のハリーを演じた俳優ヨハン・エーンは、私生活ではスウェーデン生まれの作家マッツ・ストランドベリと同性婚をしている。ヨハンのインスタグラムには、2人のラブな2ショットも投稿されている。

世界中の独身ゲイの心を鷲掴みに

ノルウェーのサンタ

男性同士の性行為の非犯罪化50周年を記念という目的のためか、もしくは年配のイメージが強いサンタクロースとの年齢的なつりあいを考えてのことなのかは分からないが、都会ではない地方に住む年配の独身ゲイという設定は、世界中の同じ境遇の独身ゲイの心を鷲掴みにするものだ。

クリスマスから年末年始と、家族単位での集まりが増える季節は、独身者にとっては寂しさを覚える季節でもある。このCMは、そんな世界中の独身ゲイにとっての希望の光になったはずだ。

ノルウェーのサンタ

現実は、ただ待っていてもサンタクロースは目の前に登場してはくれないもの。クリスマスや年末年始に、恋とまではいかなくとも、会ってお茶したり、酒を飲んだりできる相手を今から探しておくのもいいかもしれない。師走は時が経つのがいつもより早いのだから。

ちなみに、このCM『When Harry met Santa』は、メグ・ライアンとビリー・クリスタルが共演した1989年の映画『恋人たちの予感(When Harry met Sally…)』からインスパイアされたものだとか。

※参考記事:ロイターLife in Norway

『恋人たちの予感』
When Harry met Sally…

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(冨田格)

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