巨デブなゲイ役で復活が話題のブレンダン・フレイザー新作映画の予告編公開

9月のベネチア国際映画祭で久々に脚光を浴びたブレンダン・フレイザー。かつてゲイ・セクハラを受けたことがきっかけで鬱に陥ったことを告白した彼が、巨デブなゲイ役で見事な復活を果たした。話題の新作映画『ザ・ホエール(The Whale)』の予告編が公開された。

ゲイ・セクハラで鬱になったブレンダン・フレイザーが巨デブなゲイ役で復活

自分の過去と向き合い風向きを変えた

ブレンダン・フレイザー
『The Whale』(Photo:A24)

2003年、ゴールデングローブ賞を主催する”ハリウッド外国人記者協会(HFPA)”の昼食会に招かれたブレンダン・フレイザーは、当時のHFPAのフィリップ・バーク会長からゲイ・セクハラを受けたことがきっかけで鬱を発症し、以降、『ハムナプトラ』シリーズなど華々しい活躍を続けていたキャリアが衰退していった。

ブレンダン・フレイザー
映画『ハムナプトラ』シリーズ

2010年代は、映画の出演本数が激減したうえにヒット作もなく、テレビドラマに活躍の場を移したものの、ゲスト出演が中心で成功したとは言い難い状況になっていた。

2018年にGQ誌のロングインタビューに応え、かつてゲイ・セクハラを受けたこと、そして鬱に陥ったことなどを赤裸々に告白した。勇気を出して自分に起きたことに向き合い、それを公表することでブレンダン自身も、また映画関係者が彼を見る目にも変化が生じたようだ。

ダーレン・アロノフスキー監督による『The Whale』をはじめ、不運にも公開中止となった『バッドガール』を含む4本の新作映画のプロジェクトが進行している。

演技面で大きな注目を集める

ブレンダン・フレイザー
映画『センター・オブ・ジ・アース』(2008年)

『ブラック・スワン』『レクイエム・フォー・ドリーム』のダーレン・アロノフスキーが監督した『The Whale』は、オフブロードウェイの戯曲を映画化したもの。

自宅で孤立した生活を送る体重600ポンド(約272kg)の病的肥満のゲイ男性チャーリーが、母親の死から数年後に疎遠だった娘と再びつながろうとする姿を描いている。

ベネチア国際映画祭では、上映後に6分間のスタンディング・オベーションが起きるほど観客に熱狂的に支持され、感極まったブレンダン・フレイザーは号泣し続けた。彼のキャリアにおいて、演技面では最高の評価を受けているようだ。

『ハムナプトラ』シリーズや『センター・オブ・ジ・アース』など娯楽大作映画の主演スターというイメージが強く演技での評価を受けてこなかった俳優だが、『The Whale』を機に今後の評価が変わる可能性は小さくない。

日本ではいつ見ることができるのか

ブレンダン・フレイザー
映画『ゴッド&モンスター』(1998年)

一部の映画祭で上映された『The Whale』の全米公開は、12月3日を予定している。すでに映画を見た批評家からは、内容的にネガティブな反応も出ている。

その反応とは「主人公の体格を恐ろしい光景に見立てているのではないか」とか「主人公の大食漢ぶりをゲイであることの恥と結びつけているように見える」というものだ。

ベネチア国際映画祭での観客の熱狂が正しいのか、批評家のネガティブな評価が正しいのか。この映画を制作したインディーズスタジオのA24は、ファーストルックのプレス用写真をリリースしただけで、映画の詳細は一切明らかにしていない。

今回発表した1分間の予告編も、音楽と短い映像を積み重ねて雰囲気を強調するだけ、フレイザーの演技をほんの少し垣間見せるだけになっている。あたかも、本編を見て判断を下してほしいという戦略であるかのように。

アカデミー賞にノミネートされることになれば、現在未定の日本での公開も早々に決定するかもしれない。ゲイ・セクハラによる鬱を乗り越えてゲイ役で復活したブレンダン・フレイザーの演技を、日本でもスクリーンで鑑賞したい。

※参考記事:QUEERTY

(冨田格)

★あわせて読みたい!
「ゲイの役はゲイ俳優が演じるべきか」論争にルーク・エヴァンスが言及した

コメントを残す