【再掲】2人のサッカー選手の10年越しの想い・映画「The Pass」が観たい

※2021年11月にスタートした「ジオ倶楽部」1周年を記念して、この1年間公開した記事の中から今読むべき記事を再掲載する。

映画館での上映に限らず、サブスク配信でもさまざまな映画を見る環境が整ってきているが、まだ日本で見る機会に恵まれない作品もたくさんある。特に、客層が限定的だと思われるゲイ映画の場合は、日本では観られないことも多い。

日本未公開の2016年のゲイ映画「The Pass」を紹介しよう。

3部構成で描く男達の想い

The Pass
ラッセル・トーヴィー. 画像引用元:Instagram

「The Pass」は2人のプロ・サッカー選手の10年越しの想いを描いた作品で、英国王立劇場で大ヒットした舞台を映画化したものだ。

物語は10年間を、3部構成で描いていく。

最初は、プレミアリーグの若いサッカー選手ジェイソン(ラッセル・トーヴィー)とアデ(アリンゼ・ケネ)が、チャンピオンズリーグの試合の前夜にルーマニアのホテルの部屋をシェアしている。

初めての大きな試合に興奮しすぎて眠れない2人は、スキップしたり、喧嘩したり、道具を準備したり、チームメイトのセックステープを見たりと、若者特有の高揚感をぶつけあうのだが、どこからともなく、一人がもう一人にキスをする。

このキスの「パス」が引き起こした感情的なインパクトは、その後の10年間の彼らの人生を通して再生されていく。イメージがすべてのスポーツの世界における、成功と失敗、秘密と嘘の10年間だ。

The Pass
The Pass

その5年後、トップチームの選手として成功し、ペントハウスに住むようになったジェイソンは、ラップダンサーのリンゼイ(リサ・マクギリス)が絡んだタブロイド紙のおとり捜査の犠牲者となる。

The Pass

さらに5年後、マンチェスターのホテルの一室でジェイソンとアデが再会を果たす。最初は緊迫した空気だったが、若いウェイター(ニコ・ミラーレグロ)によってその緊張感がなごみ、お互いに抱えていた想いをぶつけ合っていく。

The Pass
The Pass
The Pass

プロスポーツの世界の過酷な現実

マッチョな体育会系の2人が、その肉体を惜しげもなく晒しているだけで観たくなる作品だが、イメージ重視のプロスポーツの世界で、ゲイあることの困惑や悩みも描いていく。

The Pass

2016年3月に「BFI Flare London LGBT Film Festival」でプレミア上映され、同年12月にイギリスとアイルランドで劇場公開。アメリカでは翌2017年の「アウトフェス映画祭」でUSプレミア上映となった。

The Pass

日本では劇場公開や映画祭での上映もないまま、日本語字幕付きの配信もされていない。

ゲイ俳優ラッセル・トーヴィーが高評価

ほとんど室内に限定された演劇的なシチュエーションの中で綴られる物語。エンパイア誌は、「ラッセル・トーヴィーは、その演劇の起源を全く揺るがすことのない強烈な内面を表す重層的でキャリア最高の演技をしている」と評した。

映画「パレードへようこそ」ドラマ「LOOKING」、そして現在全米で放送中の「アメリカン・ホラー・ストーリー」に出演しているトーヴィーは、ゲイであることをカミングアウトしている。2018年2月、トーヴィーは以前から付き合っていた、ラグビー選手でフィットネス・インストラクターのスティーヴ・ブロックマンと婚約した。

体育会系イケメン同士のゴージャスなカップル

イギリスでのワールドプレミアから6年が経っており、今から劇場公開や映画祭での上映は期待できなそうなので、どこかのプラットフォームが配信してくれることを期待するしかない。

これからも日本で見られないゲイ映画を紹介していく。

「The Pass」
監督:ベン・A・ウィリアムズ
脚本:ジョン・ドネリー
出演:ラッセル・トヴェイ、アリンゼ・ケネ、リサ・マクグリリス
2016年/イギリス/88分
公式サイト:https://www.thepassmovie.com/

(冨田格)

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