致命的じゃないが発症すると厄介な「サル痘」性に開放的なゲイは最新情報を抑えておきたい

コロナの話題が収まってきたと思ったら、今度は「サル痘(とう)」という病気の名前を耳にする機会が増えてきた。実のところ、命に関わる可能性は低いのだけれど、発症すると結構厄介な症状がでる。しかも、現状は欧米のゲイの間で広まっているので、日本のゲイも他人事ではないかもしれない。

「サル痘」ってどんな病気?

サル痘

まずは、「サル痘」はどんな病気なのか、基礎的なことから始める。国立感染症研究所のサイトに詳しく記されているので、そこから一部を抜粋して紹介しよう。

サル痘は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。稀に流行地外でも、流行地からの渡航者等に発生した事例がある。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2-4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。
※「令和4年5月20日改定」の記載より引用。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

「多くは2~4週間で自然に回復」するということで、重症化や死亡する例は稀なようだ。具体的にはどんな症状が出るのだろう?

サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされる(WHO, 2021)。潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がる。初期は平坦であるが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2~4週間で治癒する。発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあるが、特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがある。
※「令和4年5月20日改定」の記載より引用。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

ここで抑えておきたいのは、「潜伏期間は5~21日」と「発疹は典型的には顔面から始まり」という点だ。

では、感染経路はどうなっているのだろう。

動物からヒトへの感染経路は、感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触による感染が確認されている。ヒトからヒトへの感染は稀であるが、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があり、患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられている。
※「令和4年5月20日改定」の記載より引用。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

ゲイが注目すべきは、「濃厚接触者の感染」「リネン類を介した感染」「飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染」という点だ。

世界保健機構(WHO)がゲイ・バイ男性に向けて「サル痘」に関するアドバイスを発表

日本のゲイが「サル痘」の知識を知るべき理由

サル痘

「サル痘」は、重症化する例は少なく、時間を経ることで自然に回復するということだが、厄介なのは発熱が収まったあとの発疹だ。

どんな症状なのか、このニュース映像で確認してみよう。

麻疹や水疱瘡と比べても、かなり大きくひどいものだということが分かる。もう一つ紹介したいのが、千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科の谷口俊文医師が、「サル痘」の基礎知識と5月25日現在での最新情報を解説している動画だ。

注目すべきは3分30秒くらいからの部分。

5月25日時点で227例の報告があり、その内訳はほぼ男性。スペインのマドリッドのハッテン場における男性同士の性的ネットワークを介して広まっているという点だ。

ゲイ特有の病気ではないとはいえ、現時点では男性同士の性的ネットワークで欧米に広まっており、このことが周知されると「サル痘=ゲイ」というイメージを持つ人が出てくる可能性は高いと予想される。

ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ

ゲイにとって「サル痘」が厄介な点

サル痘

「サル痘」が厄介なのは、顔や腕など洋服では隠せないところに特徴的な発疹が現れることだ。もし知らぬ間にウイルスに暴露して発症してしまったら、周囲の人に隠すことは難しいだろう。

ゲイであることをオープンにしていないクローゼットな人や、恋人には秘密でこっそり浮気を楽しんでいる人、そして既婚のゲイやバイの人は、発症してしまうとかなり厄介なことになりそうだ。

なにより特効薬がまだない状態では、自然に治るまで1ヶ月近く仕事を休まねばならない可能性が生じることを考えると、その厄介さは一層理解できるだろう。

日本では報告例はないのだが、インバウンドを再開しようとしている状況ではこのまま楽観視するのは難しい。

報道や紹介した動画を見て貰えば分かるのだが、まだ「サル痘」に関してよく分かっていないことも多いし、効果的な治療法が確立しているわけでもない。

コロナを経て、私たちは未知(または一般的ではない)の感染症については情報が早い速度でアップデートされていくことを学んだ。だからこそ、「サル痘」に関しても海外で起きている他人事とは思わずに、情報をアップデートしていきたい。自分の生活や、恋愛、社会的立場を守るためにも。

国立感染症研究所のサイトに記されている現時点での予防法を最後に引用する。

発熱、皮疹がありサル痘が疑われる場合、マスク着用を行い、咳エチケットを守り、手指衛生を行う。また、患者が使用したリネン類から感染した報告があることから、使用したリネン類や衣類は手袋などを着用して直接的な接触を避け、密閉できる袋に入れて洗濯などを行い、その後手洗いを行う。
※「令和4年5月20日改定」の記載より引用。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

「ジオ倶楽部」では、「サル痘」に関する情報はこれから随時紹介していく予定だ。

国立感染症研究所「サル痘」:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

(冨田格)


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