2022年6月11日サル痘最新ニュース「感染者1000人越え、サル痘には2つの系統があることを知っておきたい」

6月8日、世界保健機関(WHO)は、アフリカ以外の29カ国で計1000件超のサル痘感染が確認されたことを明らかにした。またテドロス事務局長は、従来からサル痘の流行がみられたアフリカでは、今年1400人以上の感染疑い例があり66人が死亡している、と伝えた。

サル痘は性病でも、ゲイ特有の病気でもないとはいえ、現在、欧米のゲイ・バイ男性の間で顕著に広まっている状況を鑑みると、日本のゲイにとっても他人事とはいえない。常に最新の情報をキャッチアップして、正しい対応ができるようにしておきたい。

致命的じゃないが発症すると厄介な「サル痘」性に開放的なゲイは最新情報を抑えておきたい

増え続ける感染報告

サル痘
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WHOの発表よりも先に日々の確認データを発表している「Our World in Data」によると、6月9日で現在で1,433件の報告がなされているとのこと。画像のように感染報告は右肩上がりで上昇しており、まだまだ増加傾向は続きそうだ。

サル痘
「Our World in Data」https://ourworldindata.org/monkeypox

WHOが発表した6月2日までに感染報告がなされている27カ国は、

イギリス、スペイン、ポルトガル、カナダ、アメリカ、オランダ、イタリア、ドイツ、フランス、アルゼンチン、メキシコ、モロッコ、アラブ首長国連邦、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、マルタ、ノルウェイ、スロベニア、スウェーデン、スイス、オーストラリア

となっているが、時事ドットコムニュースは10日「ブラジルでもサル痘初確認 メキシコでは感染者が無断帰国」と報じた。

ブラジル・サンパウロ州は9日、サンパウロ市在住の男性がサル痘に感染していることが確認されたと発表した。

一方、メキシコ中部ハリスコ州では9日までに、旅行で同州を訪れた米南部テキサス州ダラス在住の米国人男性の感染が判明した。ハリスコ州保健当局は自主隔離を求めたものの、男性は無視して無断で空路帰国したという。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061000246&g=int

ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ

空気感染の可能性はあるのか?

サル痘
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サル痘の感染方法を、「SCI Tech daily」の記事「サル痘FAQ。どこから来たのか?どのように感染するのか?症状はどのようなものか?」から引用しよう。

動物やヒトとの密接な身体的接触、その体液、呼吸器分泌物や感染した皮膚病変からの汚染された飛沫粒子、および「フォマイト」(感染性ウイルス粒子が付着している可能性のあるシーツ、タオル、硬表面などの無生物)を介した間接的な感染により発生する。

https://scitechdaily.com/monkeypox-faq-where-did-it-come-from-how-is-it-transmitted-what-are-the-symptoms/

呼吸器分泌物からの汚染された飛沫粒子ということがあり、空気感染の可能性も心配してしまう。

6月11日配信のアサ芸プラスの記事「サル痘は『空気感染』する!外国人旅行客『受け入れ再開』の陰で厚労省が出した恐怖の『警告文書』」によると、5月20日に厚生労働省が都道府県、保健所設置市、特別区(東京23区)の衛生主管部(局)に対し発出した「サル痘に関する情報提供及び協力依頼について」と題する事務連絡を紹介。

6月1日に出された一部改正版も含め、健康局結核感染症課による事務連絡には、次のような驚くべき「警告」が明記されていたのである。

「理論的には空気感染も起こす可能性が指摘されている──」

https://www.asagei.com/excerpt/215670

これは気になるニュースだが、6月10日にはCNNが「サル痘の空気感染例『報告なし』米CDC」という記事を配信している。

米疾病対策センター(CDC)は9日に掲載したガイダンスで、空気中にとどまる小さなウイルス粒子による感染は「報告されていない」と明らかにした。

対面での接触時に「唾液(だえき)や呼吸器の分泌物」を介して広がる可能性はあるが、これらの飛沫(ひまつ)は「すぐに落ちる」ため、空気感染はまれという。

https://www.cnn.co.jp/usa/35188766.html

「空気感染」の可能性はあるのか、もしくはあまり心配しなくてもいいのかに関しては、もう少し調査研究が進捗するのを待った方がよさそうだ。

世界保健機構(WHO)がゲイ・バイ男性に向けて「サル痘」に関するアドバイスを発表

サル痘には2つのタイプがある

サル痘
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今回最後に紹介するのは、獣医師/ジャーナリストの星良孝氏のYoutubeチャンネル「STELLA MEDIX」。

論文やニュースなどから、広めたい情報を選び、科学と理系の視点からまとめた動画を公開している。

今回の動画のポイントは、

サル痘には、「西アフリカ系統群」と「コンゴ系統群」があること。
現在欧米で感染が広がっているのはすべて「西アフリカ系統群」であること。
「コンゴ系統群」の方が「西アフリカ系統群」よりも感染性や病原性が強いと報告されており、「コンゴ系統群」の方がより警戒されるべきウイルスであること。

https://youtu.be/POltlSdBGWY

という点だ。

また、今回の「西アフリカ系統群」は、サル痘が1978年を最後に報告されていなかったナイジェリアで、2017年に37年ぶりにサル痘ウィルスが確認された理由については下記の3点を紹介している。

・天然痘ワクチンが中止されたこと
・ブッシュミートと呼ばれるネズミの仲間を食用にするという動きが広まっていること。
・医療面のインフラが不十分であること。

https://youtu.be/POltlSdBGWY

とても分かりやすい動画なので、サル痘に関心がある人は目を通してみてもよさそうだ。

これからもジオ倶楽部では、サル痘の最新情報を紹介していく。

(冨田格)


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