2022年6月21日サル痘最新ニュース「感染者2600人越え、ゲイ特有の病気ではないがゲイは注意するべき理由」

感染症に関するデータをリアルタイムで提供する国際的な連携組織「グローバルヘルス」は、サル痘の確定症例や疑い症例をリアルタイムで監視する「サル痘トラッカー(Monkeypox Tracker)」を作成。6月21日(火)現在で、全世界の確定症例は2,600例を超えている。

サル痘は性病でも、ゲイ特有の病気でもないが、欧米のゲイ・バイ男性の間で顕著に拡大していることは事実。まだ日本では感染報告がないので、一般的には危機感を抱いている人は多くないが、日本のゲイにとっても決して他人事ではない。

今回も世界のニュースから、気になるサル痘情報をピックアップする。

・ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ

増え続ける感染報告

サル痘
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10日前に公開した記事「2022年6月11日サル痘最新ニュース『感染者1000人越え、サル痘には2つの系統があることを知っておきたい』」では、

WHOの発表よりも先に日々の確認データを発表している「Our World in Data」によると、6月9日で現在で1,433件の報告がなされているとのこと。

https://zioclub.info/health_life028/

と記したのだが、10日間で1200件以上増加しており、まだまだ感染拡大は収まりそうにない。

サル痘
6月21日(火)現在の世界の感染報告例分布マップ 画像引用元:https://map.monkeypox.global.health/country

毎日新聞は、6月18日公開の記事「サル痘、欧米感染者増『注意を』WHOシニアアドバイザー」で、下記のように記している。

世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子シニアアドバイザーは18日、日本環境感染学会の総会で講演し、欧州などで感染報告が相次ぐ「サル痘」について、「軽症が多く、欧州で死亡例は出ていない」と説明した。国内で感染者は確認されていないが、欧米を中心に感染者が増えており、注意を呼びかけた。

https://mainichi.jp/articles/20220618/k00/00m/040/143000c

死亡例がなく、軽症が多い。この事実が、サル痘に対して危機感があまり高まらない理由だと考えられる。

では、「軽症」とはどのような状態なのだろうか?

・世界保健機構(WHO)がゲイ・バイ男性に向けて「サル痘」に関するアドバイスを発表
・致命的じゃないが発症すると厄介な「サル痘」性に開放的なゲイは最新情報を抑えておきたい

サル痘の軽症とはどのような症状なのか?

サル痘
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サル痘に感染し発症するとどのような症状が出るのか、6月18日にWIREDが公開した記事「世界的に流行している『サル痘』について、知っておくべき6つのこと」から参照する。

サル痘の発症過程は、大きく2段階に分けられる。最初は感染者の細胞内にウイルスが侵入することで起きる疲労感や発熱、体の痛み、悪寒、頭痛といったインフルエンザ様の症状が現れる。続いて、免疫系が感染を阻止しようとすることで起きるリンパ節の腫脹が見られるようになる。

第2段階は「瘡」の発生で、通常は顔から始まり、腕、脚、手、足、体幹へと広がる厄介な発疹のことを指す。今回の感染流行では、一部の患者には陰部周辺の発疹が確認されたとの報告もある。

サル痘の発疹は非常に特徴的だ。最初は平坦で赤い発疹ができ、やがて水ぶくれとなり、白い膿が充満してくる。その後、これらは乾燥してかさぶた状になり、やがて治癒して剥がれ落ちる。不快ではあるが通常はそれほど重症化せず、2~4週間で回復することが多い。

https://wired.jp/article/everything-you-need-to-know-about-monkeypox/

「軽症」といっても、顔から全身に発疹があらわれるので隠すことはできない。また、発疹がかさぶた状になって剥がれ落ちてしまうまでは人に感染させる可能性があるので、2~4週間は自己隔離を求められることになる。

ゲイにとって厄介なことは、現在欧米のゲイ男性を中心に感染が拡大していることであり、ゲイ特有の病気ではないにも関わらず、もし感染して発症するとゲイであると思われてしまう確率が極めて高いことだ。

職場や家族に対してカミングアウトしていないゲイにとっては、大きな問題だ。

・2022年6月2日、ゲイ・バイ男性は抑えておきたい「サル痘」最新ニュース
・2022年6月7日サル痘最新ニュース「国内検査体制の現状と治療法は?」

性病ではないが性的接触で感染する

サル痘
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サル痘の発疹は、通常は顔から始まる、とされているが、現在の感染拡大では異なる状況も報告されている。

@DIMEが6月18日に公開した記事「米国でのサル痘感染症例はゲイやバイセクシュアルの男性、または男性とセックスする男性に集中、米疾病対策センター報告」を参照する。

この記事は、米疾病対策センター (CDC)が6月3日に発表した、5月末まで米国で特定された17症例に関しての情報を紹介。

今回の調査から、感染が確認された17人中16人が、ゲイ、バイセクシュアル、またはMSMであることが判明したという。

患者は全て成人で(平均年齢40歳、範囲28~61歳)、全員に発疹が認められた。発疹は、4人で陰部、5人で肛門周辺から始まっていた。最終的に口腔にまで発疹が現れた患者も5人いた。

https://dime.jp/genre/1408007/

顔ではなく、発疹が陰部や肛門周辺から始まっていた例もあることから、サル痘をゲイ特有の性病だと誤って認識してしまう人もいるのだと思われる。

上記のWIREDの記事「世界的に流行している『サル痘』について、知っておくべき6つのこと」から、サル痘の感染経路に関する記載を参照する。

最近では感染者が増加傾向にあるものの、ウイルスに感染した人がほかの人に移すことはそれほど一般的ではない。人から人へと感染するには、長時間の密接な接触が必要となるからだ。

サル痘の感染経路については、患部の膿との直接接触、感染者の衣服との接触(またはタオルの共有など)、呼吸器飛沫の吸入、という3種類の経路が知られている。今回の流行では、皮膚同士が接触する可能性の高い性的接触が感染経路のひとつとなっているようだ。

https://wired.jp/article/everything-you-need-to-know-about-monkeypox/

ゲイ特有の性病ではないのだが、現在、欧米のゲイ男性を中心に拡大している理由のひとつが、長時間の密接な接触、つまり男性同志の性的接触が挙げられていることも、ゲイ特有の性病だと誤解される理由の一つだろう。

6月21日(火)現在、まだ日本国内ではサル痘の感染報告はないが、今後国内で感染報告が出る可能性は決して少なくない。

世界保健機関(WHO)は6月23日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるかどうか判断することにしているという。その発表にも注目したい。

これからもジオ倶楽部では、サル痘の最新情報を紹介していく。

(冨田格)

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