07.24サル痘最新ニュース「WHOが緊急事態宣言!日本上陸も間近?」

感染症に関するデータをリアルタイムで提供する国際的な連携組織「グローバルヘルス」がまとめるサル痘の確定症例や疑い症例をリアルタイムで監視する「サル痘トラッカー(Monkeypox Tracker)」によると、7月24日(日)現在で、全世界の確定症例は15,000例を超えた。

国別の感染者数を見ると、3,125人のスペインがトップだが、現在2,316人と感染者が急増している米国が二位につけている。

そんななか、WHOが緊急事態を宣言したことで、日本でも注目度が高まってきた。今回もサル痘の、気になるニュースをピックアップする。

・サル痘が日本上陸する前に日本のゲイが知っておくべき「サル痘の基礎知識」

WHOが緊急事態を宣言した

サル痘
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ジオ倶楽部では「2022年6月29日サル痘最新ニュース『ゲイ・バイ男性に広がるサル痘の症状は発疹が局部や肛門から始まる場合もある』」で紹介したが、6月末には緊急事態宣言を見送ったWHOだが、一月経過して緊急事態を宣言した。

7月24日公開のロイターの記事「WHO、サル痘で緊急事態宣言 感染抑制へ協調対応促す」を引用する。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は23日、急速に感染が拡大しているサル痘について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に相当すると宣言した。最高度の警戒を呼びかけ、各国による協調対応を促す。

https://jp.reuters.com/article/health-monkeypox-who-idJPKBN2OZ013

この件、日本国内でも大きく報じられたことで、サル痘への関心が急激に高まっていきているようだ。

特にゲイ・バイ男性の間で感染拡大していることを知って不安になった人は、6月26日に公開した「サル痘が日本上陸する前に日本のゲイが知っておくべき『サル痘の基礎知識』」を一読してほしい。

いたずらに不安を募らせるのではなく、どんな病気であり、どうやって感染するのかを知ることは重要だ。

・07.12サル痘最新ニュース「ゲイ向けサル痘予防マニュアルの中身がすごい」

テドロス事務局長が主導した緊急事態宣言

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このWHOの緊急事態宣言に関して、興味深い記事を7月23日にUSA TODAYが公開した。「World Health Organization chief says monkeypox is now a global emergency(世界保健機関(WHO)のトップが、サル痘を世界的な緊急事態と発表)」より引用する。

まず、今回の緊急事態宣言は専門家の考えが一致したうえでのことではなく、テドロス事務局長が主導して決めたことのようだ。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は、専門家委員会がこのウイルスに最高レベルの警戒態勢を適用するかどうかについて合意に至らなかったため、この発表を行った。

世界的な緊急事態は同組織の最高警戒レベルだが、必ずしも伝染力が強い、あるいは致死的な病気であることを意味するものではない。同様の宣言は、COVID-19の大流行や西アフリカで2014年に発生したエボラ出血熱に加えて、2016年に中南米で発生したジカウイルスや現在進行中のポリオ撲滅の取り組みに対しても行われている。

テドロス事務局長は、専門家の間でコンセンサスが得られていないにもかかわらず、自らを “タイブレーカー “と称して決断した。WHOの事務局長が、専門家の推薦なしにこのような決定を一方的に下したのは初めてのことだ。

https://www.usatoday.com/story/news/health/2022/07/23/who-monkeypox-outbreak-global-emergency/10134299002/

・ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ

サル痘の今後はどうなる?

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前述の「2022年6月29日サル痘最新ニュース『ゲイ・バイ男性に広がるサル痘の症状は発疹が局部や肛門から始まる場合もある』」では、現在のサル痘の症状に関して、特殊な例があることを紹介した。

通常、サル痘では全身に発疹がみられるとされていましたが、今回のアウトブレイクでは性器や肛門周辺にのみ発疹がみられた事例(※実際の病変を含むリンクですのでご注意ください)も報告されています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220626-00302541

この件との関連性は不明だが、USA TODAYの記事には気になる記述があった。

サル痘はセックスによってのみ感染するわけではないが、近い将来、淋病やヘルペス、HIVのような病気として定着するのではないかと心配する専門家もいる。

https://www.usatoday.com/story/news/health/2022/07/23/who-monkeypox-outbreak-global-emergency/10134299002/

感染拡大中の米国はワクチン不足

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サル痘に感染したり、予防するためにはワクチンが有効だと言われている。どんなワクチンがあるのか、ナショナルジオグラフィックが5月30日に公開した記事「サル痘について今わかっていること、感染経路は? なぜ感染者が増えている?」から引用する。

米食品医薬品局(FDA)は2019年にデンマークのバイオ製薬ババリアン・ノルディックの天然痘・サル痘ワクチン「MVA-BN」(米国での販売名はジンネオス)を承認した。このワクチンを2回接種すれば、サル痘の発症や重症化を防ぐことができる。天然痘ワクチンとしてFDAに承認されている「ACAM2000」も使用が可能だ。米国と英国は、サル痘患者の治療にあたっている医療従事者と患者の濃厚接触者にMVA-BNワクチンを提供している。CDCは、ウイルスにさらされてから4日以内にワクチンを接種するように推奨している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d67b9fa7d81b229e9bfd83ef0dbaa6d8a7d104f8?page=3

USA TODAYが伝えるところによると、感染が急拡大している米国では、このワクチンの供給が追いついていないとのことだ。

ニューヨークとサンフランシスコでは、サル痘ワクチンの需要がプロバイダーの供給量を上回っている。ロサンゼルスでは、公衆衛生局が、既知の感染者またはその危険性が高い人にのみ、招待制でワクチンを提供している。

連邦政府は、年内に160万回分以上のサル痘ワクチン「ジンネオス」を供給する予定だが、需要が高く、6月に供給した5万6000回分はほぼすべて使用されている。

CDC(アメリカ疾病対策予防センター)によると、このワクチンはサル痘を予防するものだが、曝露後に接種することで発病を防ぐこともできるという。

ネブラスカ大学医療センターの感染症専門医であるジェームス・ローラー博士は、子供の頃に天然痘の予防接種を受けた高齢者は、サル痘に対してある程度の防御力をもっている可能性があると述べている。

https://www.usatoday.com/story/news/health/2022/07/23/who-monkeypox-outbreak-global-emergency/10134299002/

日本でサル痘の感染拡大した場合のワクチンの供給体制がどうなのかは気になるところだ。7月24日にロイターが公開した「『サル痘』で近く政府会議」を引用する。

山際大志郎経済再生担当相は24日のNHK番組で、欧米を中心に感染が拡大している動物由来のウイルス感染症「サル痘」について「政府として適切に対応したい」と述べ、近く会議を開いて対応を議論する考えを示した。

https://jp.reuters.com/article/idJP2022072401000125

米国のような感染爆発が起きる前に、ワクチン供給や治療体制が整えられることを期待したい。「ジオ倶楽部」では今後も、最新のサル痘情報を紹介していく。

(冨田格)

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