【速報3】銃乱射事件のゲイクラブは地域の当事者にとって特別な場所だった

11月19日(土)深夜に米国コロラド州コロラドスプリングスで銃乱射事件の舞台となったゲイクラブ「Club Q」は、地域に住むゲイたちにとっての特別な場所だったという常連客の証言を紹介する。

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【速報2】コロラド州ゲイクラブ銃乱射事件の容疑者は22歳の男性

仲間達が傷ついたことを嘆く常連客

Club Q
(写真:Helen H. Richardson/The Denver Post)

【コロラド州コロラドスプリング】事件から一夜明けて、より事件の詳細が少しずつ明らかになりつつある。

まず、当初18人と伝えられていた負傷者だが、現時点では少なくとも25人と伝えられている。また、事件発生当時、店内にいて容疑者の男を取り押さえた勇敢な常連客は2人だとのこと。

同性婚をしている夫のダンと共に定期的に店を訪れている常連客のダリル・アレキサンダーは、こう語っている。

「ここは単なるパーティ会場ではない。”コミュニティ・ビルディング”なんだ」

アレクサンダーの友人は、銃乱射事件で負傷してまだ手術を受けている最中だという。またアレクサンダーとダンが馴染みにしているバーテンダーは、飛び交う銃弾に撃たれて亡くなった。「彼はいつも私たちに良くしてくれた」とアレクサンダーは涙を目に浮かべて語った。

コロラドスプリングスの「クラブQ」の側にいます。とてもひどい状況だ。私は、ゲイとして、また多くの銃乱射事件を取材してきた記者として、このコミュニティのために心を痛めています。

Kevin Rector (記者・レポーター)

保守の砦のような街で唯一の安全な場所

「Club Q」がオープンしたのは、2002年のこと。

創立パートナーであるマシュー・ヘインズは、コロラド・スプリングスに唯一あったゲイバーが衰退してく様を見ながら、この街に住む当事者のための安全な隠れ家が必要だという切実な問題があったと、20日(日)の午後、オール・ソウルズ・ユニテリアン・ユニバーサル教会内で語った。

「20年前、『Club Q』をオープンしようとしていた時、市役所の人には決して歓迎するムードはなかった」

「Club Q」の駐車場が、人通りの多い通りに面していない理由は、誰が店に出入りしているのか分からなくするための配慮だったそうだ。「Club Q」の近くに停めているいるだけで、車上荒らしに遭うような状況だったからだ。

内陸部に位置するコロラド州は、保守的な考えが強い土地であり、決して性的少数者に対してフレンドリーな環境ではない。そんな保守主義の砦で、「Club Q」は長年唯一のゲイバーとして地域の当事者の安全な隠れ場所として存在し続けた。

Club Q
ジャレッド・ポリス知事 画像引用元:Westword

現在のコロラド州のジャレッド・ポリス知事は、ゲイを公表した初の州知事であり、またコロラド州初のユダヤ系アメリカ人の州知事でもある。

この20年間で確実に時代は変化しつつある。そんな中で起きたこの痛ましい銃乱射事件で、多くの家族ともいうべ仲間が傷つき、亡くなったことに、この店に集っていた当事者たちは大きな衝撃を受け、深く傷ついている。

元テキサス州の警察官で、現在は地元の牧師であるマイケル・トラヴィス氏は「Club Q」を自分と夫にとって”第2の家”として長い間親しんできたという。「まるで強盗に襲われたような、いやもっと悪い状況だ、自分たちの”家”でさえ安全ではないということを突きつけられたのだから」

Dan Boyce (レポーター)

現時点では、犯人の動機は明らかにされていない。事件の全容の早期の解明が求められている。

ジオ倶楽部ではこの銃乱射事件に関して、新たな情報が入ったら随時紹介していく予定だ。

※参考記事:THE DENVER POST

(冨田格)

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