Netflix『WHAM!(ワム)』はボーイズグループの知られざる過去満載

7月5日よりNetflixで配信スタートのドキュメンタリー『WHAM!(ワム)』は、1982年から1986年までのわずか4年間の活動期間にもかかわらず、世界中の女性、そしてゲイ・バイ男性を熱狂させた、幼馴染の男子2人組ボーイズ・グループの知られざるエピソードが満載のドキュメンタリーだ。

世界中の女性とゲイの心を鷲掴み

WHAM!
(左)ジョージ・マイケル(右)アンドリュー・リッジリー

ジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリー、小学校からの同級生2人組のポップ・デュオ『WHAM!(ワム)』の登場は衝撃的だった。若くフレッシュなイケメン2人の、幼馴染ならではの親密さ、そしてジョージ・マイケルの妙にセクシーな雰囲気は、ゲイのハートを鷲掴みにするには十分だった。

『ワム・ラップ』『ヤング・ガンズ』『バッド・ボーイズ』『クラブ・トロピカーナ』『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』『ケアレス・ウィスパー』『ラスト・クリスマス』『フリーダム』など、彼らが残した3枚(※日本でのリリース分)のアルバムに収録されたヒット・シングルは80年代に青春時代を送ったゲイ・バイはもちろん、後追い世代も聞いたことのある曲が多いはずだ。

WHAM!

ワム!解散後にソロ・アーティストとして活躍したジョージ・マイケルだが、1998年に公衆トイレで囮警官にハッテン行為を働いた容疑で逮捕され、強制カミングアウトとなった。その後も、スキャンダルを逆手にとったシングルとMVを発表するなど、活躍を続けたが2016年12月15日に亡くなった。

知られざるエピソードが語られる

WHAM!

今回制作された新作ドキュメンタリー『WHAM!』は、批評家から「アンドリュー・リッジリーとジョージ・マイケルの心の絆との関連性について、既存の映像とナレーションによる解説で構成された、面白くも奇妙な好奇心を刺激する」と評されている。

BBCラジオ1のDJマーク・グッディアが行ったジョージ・マイケルへの膨大なインタビューのアーカイブテープと、アンドリュー・リッジリーの音声インタビュー映像により、初めて彼ら自身の言葉で時代を超えたクラシックなポップソングで世界中のチャートを席巻した4年間の驚くべきストーリーが語られる。

驚くべき未公開映像、リッジリーの母親が残した息子と親友のスクラップ・ブックの数々、彼らが活動した4年間の映像で、学生時代の同級生が世界を席巻するスーパースターへと成長していく信じられない旅を描いている。

ファンも知らなかった驚きの事実がいくつも明かされるのも、ドキュメンタリー『WHAM!』の見どころ。その一つは、『クラブ・トロピカーナ』のMVを制作する際にジョージ・マイケルはゲイであることをカミングアウトしたいと考えたが、リッジリーが止めたというエピソード。

リッジリーはノンケだが、厳格なギリシャ人の父親の反応を恐れたとのこと。80年代では、ゲイをカミングアウトするのはかなりスキャンダラスに見られることであり、リッジリーの行動も理解できる面はある。

しかし、当時カミングアウトしていたら、ジョージ・マイケルのその後の人生がどうなっていったのか、考えると興味深い。

そして改めて『クラブ・トロピカーナ』のMVを見ると、なんともゲイゲイしいことが再確認できる。

また『ヤング・ガンズ』のMVは、親友が婚約したことに嫉妬したゲイが嫌がらせをするようにしか見えず、なかなか味わい深い。

新作ドキュメンタリー『WHAM!』は、「シェフィールド・ドキュメント・フェスティバル」でのワールドプレミアの後、6月27日にイギリスで小規模な劇場公開が行われ、7月5日よりNetflixで全世界配信となる。

Netflix『WHAM!』

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※参考記事:SCREEN DAILY/The Guardian

(冨田格)

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