【男の勝負下着】ケツワレサポーター(ジョックストラップ)の歴史

ゲイナイトでGoGoが唯一身につけているものだったり、エッチ気分が旺盛なときの勝負下着として持っていたり、ケツワレサポーター(ジョックストラップ)はゲイ・バイ男性にとって身近な下着。でも、あの独特の形状が生まれた理由や、ネーミングの由来は知っているだろうか?

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自転車ジョッキーのために開発

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ジョックストラップ(ケツワレサポーター)が誕生したのは、1874年のこと。

米国に住むC.F.ベネットという男性が、当時は自転車を使っていた配達員やメッセンジャーなどのジョッキー(jockey)が石畳の道を走るときに性器を自転車の座席にぶつけないようにするための下着として、「ジョッキーストラップ(jockey strap)」を発明した。

ベネットは当初、シカゴのスポーツ用品メーカーである「シャープ&スミス社」のために開発したのだが、1897年に自ら「バイク・ウェブ社(Bike Web)」を設立。「バイク・ジョッキー・ストラップ(Bike Jockey Strap)」を大量生産し、あらゆるスポーツをする男たちのためのアスレチック・サポーターとして売り出した。

アスレチック・サポーターとする戦略が的中して「バイク・ジョッキー・ストラップ」はヒット・アイテムとなった。2020年代の現在になっても販売されているが、ブランド自体は2003年にラッセル・アスレチック社に買収されている。

ジョックストラップ

スポーツマンの間で人気を博すにつれ、「ジョッキーストラップ」は「ジョックストラップ」と略されるようになる。ある説によると、「ジョックストラップ」を着用するスポーツマンたちが「ジョック(jock)」と呼ばれるようになったという。

ハイスクールの運動部の選手たち、いわゆる体育会系は今でも「ジョックス」と呼ばれている。

下着メーカーがこぞって注目

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「ジョックストラップ」が男性下着業界に与えた影響は非常に大きいものだった。

それを象徴するようなアイテムが1935年にクーパーズ・インコーポレイテッド社が発売した「ジョッキー」という名の新しいスタイルの男性用下着ブリーフだ。「ジョックストラップ」のようなサポート力があると主張する「ジョッキー」ブリーフは、瞬く間に米国と英国で人気を博した。

クーパーズ・インコーポレイテッド社は1971年に社名を「ジョッキー・メンズウェア」に改め、現在もトレードマークのY字型「ジョッキー・Yフロント・ブリーフ」を販売している。

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1930年代には、ゲルフ・エラスティック・ホシエリー社がジョックストラップの前面にポケットを付け、アスリートが性器を直撃から守るために保護カップを入れられるようにした。これは、「ベルトの下」を打つことがあるボクサーに特に有効で、保護カップはあらゆる種類のコンタクトスポーツでより広く使われるようになった。

ゲイ・バイ男性のセクシーアイテムに

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1920年代から1960年代にかけて、「ジョックストラップ」は欧米のゲイ男性にセクシーな下着として人気を集めるようになった。

トム・オブ・フィンランドに代表されるエロティックな男絵や、「フィットネス雑誌」という建前の同性愛者向けソフトコアな成人雑誌で男性モデルが「ジョックストラップ」を着用している姿を、ゲイの読者たちは堪能していた。

ケツワレの歴史
A model from a vintage 1920’s physique magazine

「フィットネス雑誌」は、Gストリングやビキニ、ジョックストラップなどの露出度が高い下着で局部をかろうじて隠している男性ボディビルダーの姿を掲載。表向きは男性にトレーニングのコツを教える目的だということにして、わいせつ防止法を回避していた。

人気の低迷から再び注目を集める

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ゲイ男性にも、アスリートにも人気を博した「ジョックストラップ」だったが、その隆盛ぶりに陰りがみえてきた。1980年代から1990年代にかけて、アスリートたちの関心は「ジョックストラップ」よりも、擦れたりかぶれたりするのを防ぎつつ尻の形を整えるスパンデックス製の圧縮スポーツウェアに向いた。そしてアスリートの中での「ジョックストラップ」人気は低迷した。

「ジョックストラップ」は、スポーツ用品店で細々とシンプルなタイプが販売されていたが、よりスタイリッシュなデザインのアイテムを求めるゲイ男性は、『International Male(インターナショナル・メイル)』のような男性下着カタログを利用するようになった。

2000年代に入ると、カルバン・クライン、ヴェルサーチ、ディーゼルといった主流ブランドが「ジョックストラップ」に注目するようになる。「ジョックストラップ」が象徴するゲイのサブカルチャーや、アスレチック、セックス・ポジティブなイメージをさりげなく取り入れ始めた。

その流れは現在も続いており、「アンドリュー・クリスチャン(Andrew Christian)」「Papi」「Pump!」「アディクテッド(Addicted)」「オージーバム(AussieBum)」「C-IN2」「セルブロック13(Cellblock 13)」など、ゲイに人気のあるアパレルブランドでは、「ジョックストラップ」が主力アイテムとなっている。

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「オージーバム(AussieBum)」画像引用元:Instagram
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「セルブロック13(Cellblock 13)」画像引用元:Instagram
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「C-IN2」画像引用元:Instagram

ゲイの歴史家やファッショニスタの中には、「ジョックストラップ」が今人気なのは、男性のフィットネスの理想への適合と、下着に対する破壊的な性向の両方を表しているからだと言う人もいる。破壊的な性向とは、長年「受身」「女性的」と揶揄されてきた性的ポジションの「ウケ(ボトム)」を強調するためということだ。

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日本でも「ケツワレサポーター」と呼ばれて、昭和の頃から野郎系ゲイの間では人気が高い「ジョックストラップ」。SNSでのセクシーな自撮り用アイテムとして、またヤリたいモード全開の勝負下着としても、これからも人気が続いていきそうだ。

※参考記事:QUEERTY

(冨田格)

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