ゲイ・バイ男性必読!感染症のプロによる最新「サル痘レポート」簡単解説

国立国際医療センター・国際感染症センターの「感染症対策支援サービス」というサイトに、「サル痘」に関する最新の情報がまとめられている。興味のある人は、直接サイトをチェックして読んで欲しいのだが、全部を読む時間がないという人のために、ゲイ・バイ男性が知っておくべき重要なポイントをまとめて紹介する。

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従来のサル痘とは異なる症例が多い

サル痘
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サル痘の基本的な情報は7月25日に公開した記事「『ゲイとサル痘』ついに日本上陸!パニックになる前に必読の基礎知識」を参照いただくとして、今回は「感染症対策支援サービス」サイトの「サル痘」項目から、気になる部分をピックアップする。

まず重要な部分が、ここ。

2022年以降の流行では従来の流行で得られた臨床的知見と必ずしも一致しない点が見られている。よって臨床経過や重症化割合に関しても従来の報告と差異がある可能性があり、注意が必要である。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

ジオ倶楽部でも何回も紹介してきたが、欧米を中心に人から人(主に男同士)で感染拡大している中では、従来言われていた「サル痘」の症状とは異なる症例が少なくないという。なお、従来言われていた「サル痘」の症状に関してこのサイトでは「古典的症状」としてまとめられている。

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今回の感染拡大で起きている症状

サル痘
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「古典的症状」とは異なる症例にはどんなものがあるのか、引用する。

まずは潜伏期間に関して。

潜伏期は通常6-13日(最大5-21日)である。今回の流行に基づく推計では、中央値は8.5日と報告されている。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

「古典的症状」では、最初に発熱、頭痛、リンパ節が腫れるなどの症状が先行して現れる。これを「前駆症状」という。しかし、現在の感染拡大ではこの前駆症状が現れず、いきなり発疹が現れる例が報告されている。

発疹が現れる場所に関しても、「古典的症状」とは異なる例が報告されている。

具体的には病変が会陰部・肛門周囲や口腔などの局所に集中しており、全身性の発疹が見られない場合がある。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

また「古典的症状」では現れる発疹は同一の時期では同じタイプのものばかりだと言われていたが、現在の感染拡大では、例えば「紅斑」という充血した発疹と、「丘疹」という皮膚から盛り上がったタイプの発疹が同時に現れる例も報告されている。

肛門直腸病変による肛門痛・テネスムス・下血や、陰茎・尿道病変による排尿困難をきたした事例も報告されている。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

肛門内の直腸に発疹が出ることで肛門が痛くなったり、腹痛に襲われて便意があるのに排便できないとか排便量がごく少ない「テネスムス」という症状も気になるところだ。また、陰茎だけじゃなく尿道にも発疹が現れる場合もあるということも覚えておきたい。

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サル痘はメンタルにも影響する

サル痘
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発熱や発疹、また発疹からの痛み・激痛などの症状だけじゃなく、サル痘がメンタルに影響する場合もあるようだ。

英国からの報告では経過中に気分が落ち込む等の気分障害を発症した事例が報告されている。これがサル痘そのものの影響か、隔離の影響か原因は不明である。また、ナイジェリアからの報告では2018年に入院した患者のうち4分の1に不安や鬱などによりカウンセリングが必要になった事例が報告されており、医療管理上注意が必要である。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

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重症化リスクが高い人たちもいる

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合併症のリスクも報告されている。

皮膚の二次感染、気管支炎・肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

また、基本的には2~4週間で自然治癒するのだが、なかには重症化する場合もあるみたいだ。

曝露の程度、患者の健康状態、基礎疾患などにより重症化することもある。従来の報告では、免疫不全を有する者、小児、妊婦や授乳中の者、アトピー性皮膚炎患者、剥脱性皮膚炎患者では重症化リスクが高いと考えられている。

https://dcc-irs.ncgm.go.jp/material/manual/monkeypox.html

HIV陽性の人や、アトピー性皮膚炎の人は、特に注意する方がよさそうだ。また既婚ゲイの人も、家族に感染させないよう細心の注意を払う方がいい。

もっと詳しく知りたい人は、「感染症対策支援サービス」のサイトをチェクしてほしい。最新の情報に触れることは、感染予防の意識が高まることにつながるはずだから。

ジオ倶楽部ではこれからも継続して「サル痘」の情報を発信していく。

(冨田格)

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