『ライオン・キング』カミングアウト俳優ネイサン・レインが語る夫への想い
18年間の交際期間、そして2年の同棲を経て2015年に演劇プロデューサー兼作家のデブリン・エリオットと結婚した俳優のネイサン・レイン。2人で迎える25回目のバレンタインに最愛の夫への想いを、TVのトークショーで語った。
ネイサン・レインのキャリア
1956年、米国ニュージャージー州で生まれたネイサン・レインは、現在67歳。大学を1日で中退してニューヨークで役者になることを目指すが、チャンスには恵まれなかった。映画や舞台の端役の仕事をしながら、スタンダップ・コメディアンとしてステージに立ったりもした。
そんな経験を重ねたのち、1982年にブロードウェーの舞台に立つ。1992年に出演した『ガイズ&ドールズ』でトニー賞に初ノミネート。以後、1996年と2001年にトニー賞を受賞した。
1990年ごろから映画への出演を始める。1996年の『バードケージ』での女装ゲイ役や、2001年の『プロデューサーズ』では強い印象を残した。また、ディズニーのアニメ『ライオン・キング』ではティモンの声優を務め劇中歌の「ハクナ・マタタ」「愛を感じて」を歌っている。
『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』『グッド・ワイフ』などのTVドラマにも出演。ドラマの近作はディズニープラスで配信中の『マーダーズ・イン・ビルディング』。
母に、そして公でのカミングアウト
ネイサン・レインは、21歳のときに母親にゲイであることを告げた。その時に母から「あなたが死んだほうがましよ」と言われたレインは、「お母さんならわかってくれると思った」と答えたという。
時は1977年、まだ家族がゲイを理解するまでには時間を要する時代だった。
カミングアウトはしないままキャリアを積み重ねたレインだが、1998年に起きた大学生がゲイあることを理由に暴行され亡くなった「マシュー・シェパード」の事件を機に、公にカミングアウトすることを決意。
その後は性的少数者の人権運動に大いに貢献していく。彼の活動を評価して、2015年にヒューマンライツキャンペーン平等賞、中傷反対ゲイ&レズビアン同盟ヴィト・ルッソ賞、トレバープロジェクト英雄賞などを受賞した。
夫とは「毎日がバレンタイン」
ブロードウェーの新作『ピクチャーズ・フロム・ホーム』を宣伝するために、バレンタインデーにTVトークショー『ザ・ビュー』に出演したレインは、バレンタインデーをどのように祝うのかと尋ねられた。
交際を始めてから25年になる夫の演劇プロデューサー兼作家のデブリン・エリオットと、なにも特別なことはしない、と答えた。
「実は、夫と私は『バレンタインデーには何もしないようにしよう』と決めているんです。年に一度何かをするのではなく、お互いへの感謝の気持ちを常に持ち続けようと、むしろ毎日がバレンタインデーという気持ちでいようと」
エリオットとの25年間には2人の関係の浮き沈みもあったと言いながら、レインは夫のエリオットへの想いをこう語った。
「私たちは25年間一緒にいて、彼が世界で最も素晴らしい人だと心から思っています。彼なしでは、私は人生を乗り切ることができなかったでしょう」
レインにとって記念すべき25回目のブロードウェイ作品『ピクチャーズ・フロム・ホーム』は、現在ニューヨークのスタジオ54で上演中。パートナーとの愛と絆に支えられたレインが、これから円熟の演技を見せてくれることを期待したい。
(冨田格)
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