【大人の人生相談】ゲイ友も恋人もいない厄年男の悩みを聞いてほしい

ゲイバーに行ったり、アプリで気になる人にアクションを起こしたり、ゲイ活動の最初の一歩を踏み出すには勇気が必要なもの。男の厄年を迎えても、一歩を踏み出す勇気がもてないという「ジオ倶楽部」読者から寄せられた相談に、今年還暦の編集長が自身の体験を踏まえて応えたアドバイスとは。

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このまま一人で年をとっていくことが怖い

ゲイ友も恋人もいない厄年男の悩みを聞いてほしい
ゲイ友も恋人もいない厄年男の悩みを聞いてほしい(イメージ写真)

「大人の人生相談」始めます、という募集を開始したところ、『ジオ倶楽部』の読者で福助さんという方から1通のメールが寄せられた。福助さんのお悩みに、人生60年・ゲイ人生40年超の編集長・冨田格がお応えする。

「はじめまして。

私は、地方の県庁所在ではない小さな市に住んでいる42歳の男です。地元の高校、大学を出て、地方公務員をしています。

ずっと実家で両親と暮らしておりましたが、持病のあった父が10年前に亡くなりました。父を看取ったあとは、ずっと病弱の父の世話をしてきた疲れからか母が体調を崩し、在宅介護のような暮らしになりました。

そんな母も昨年亡くなり、今は一人で暮らしております。

周囲も私の状況を知っているからか、結婚を急かされることもありませんでした。もちろん、自分から女性と結婚したい、結婚できる、と思ったこともないですが。なぜなら、若い頃から男に興味があることは自覚していたからです。

とはいえ、田舎ですから自分がゲイだとカミングアウトしたことはありません。またゲイの知り合いもいません。

ゲイ雑誌の存在を知った若い頃は、休みの日に隣県までドライブして知り合いに会わなそうな本屋でゲイ雑誌を買っていました。家には持って帰れないので、駐車場に停めた車の中で隅々まで読んで捨てて帰ってました。

最近はアプリを覗いては、素敵な人たちの画像を眺めています。

もういい年なのですが、実は男性とまともにお付き合いしたことがありません。バーとか発○場とか、ゲイの人が集まる場所にも行ったことがありません。

アプリを見ると、みなさん堂々としていて、とても輝いています。そんな人が集まっている場所に自分なんかが行っても、相手にしてもらえるはずもないだろうと気後れしてしまうのです。

とはいえ、このまま一人で年をとっていくことは怖いし、寂しいです。

こんな中年男の悩みを聞いてもらいたいと考え、勇気をだしてメールしました」

無駄に過ごす時間は人生にふんだんにはない

ゲイ友も恋人もいない厄年男の悩みを聞いてほしい
ゲイ友も恋人もいない厄年男の悩みを聞いてほしい(イメージ写真)

福助さん、はじめまして。

長い間、ご両親のお世話をされてきたのですね。本当にお疲れ様でした。ご両親も福助さんのような息子さんを持って、さぞお幸せだったと思います。

ご両親のお世話が終られたのですから、ここからは福助さんご自身の人生をどう生きていくか考えることができますね。

福助さんは、ゲイと繋がりたいけれども最初の一歩を踏み出す勇気がなかなか持てない、そのような状況なのですね。最初の一歩がとても大変、というのは私自身の過去を振り返ってもよく分かります。

今でこそすれっからしのゲイ親父ですが、私にも若い時代がありました。20歳で上京して、新宿二丁目のゲイバーに行こうと決意して向かったものの、目当ての店のドアを開ける勇気がどうしても出なかったのです。

何度もドアを開けようとしては「やっぱり無理」と諦めて引き返す、それでも勇気を出してドアノブを回そうとしたら店の中から大きな笑い声が聞こえてきて、怖くなって店のあるビルを飛び出してしまう。

上京したての自分はまったくの田舎者だし、東京のキラキラしたゲイの人たちの中に入ったらダサい奴だと馬鹿にされるのではないだろうか。そんな思いが強くて、ドアを開ける勇気が出なかったのだと思います。

何日かそんなことを繰り返しているうちに「これでは何も始まらない!」という気持ちになり、なかばヤケクソでドアを開けてみました。すると、拍子抜けするくらい感じのいい店のスタッフが迎えてくれました。ちょっと緊張はしたものの、楽しい時間を過ごすことができました。

もちろん、すべてが同じようにうまくいくとは限りません。その店に集うお客さんの雰囲気と自分が大きく違っていたら居心地がよくないかもしれません。そんな時は一杯だけ飲んで、別の店に移ればいいのです。

アプリで気になる人を見つけてアクションを起こす場合も同じです。

その人の好みのタイプと福助さん異なっていたら、反応がないかもしれません。でも、そんなことで傷ついていてはダメです。人の好みを変えさせることはできないのですから、「仕方ない」と諦めて次へいきましょう。

今、重要なのは、福助さんが「最初の一歩を踏み出したい」という気持ちになっていることです。

気後れしたり、失敗を恐れて行動するのを止めてしまえば、何も状況は変わりません。今と同じ日常が続き、年齢だけが積み重なっていくだけです。

40代前半の今よりも、50代になってからの方が勇気をだすことが難しくなります。失敗から受けるダメージもより大きくなります。

いきなり恋愛というのはハードルが高そうですから、まずはゲイの知り合いを作ることから始めてみてはいかがでしょう。

地元にゲイバーがないなら、最寄りの大きな都市のゲイバーに行ってみるのもいいです。アプリのプロフィールを書き換えて「友達探し」に重点をおいて、からんでくれる人を探すのもいいです。またSNSで、同じ趣味を持つゲイの仲間を増やしていくのもいいでしょう。

何もしなければ失敗や傷つくことはありませんが、福助さんはそれでは納得できないはずです。少々の失敗や傷つくことがあったとしても、行動して状況を変化させることができれば、人生が大きく変わっていくでしょう。

60年間生きてきて実感するのですが、人生は無駄に過ごす時間がふんだんにあるほどには長くありません。そして男の厄年を越えたら、時間が経つ速度がグンとあがっていくものです。

今こそ重たい腰を上げて、行動を開始してみてください。これからのゲイ人生を満喫されますように。

「大人の人生相談」始めました

ジオ倶楽部ではゲイ・バイ男性の悩みにお応えする人生相談コーナーを開始します。編集長の私・冨田格が60年の人生と40年超のゲイ人生での経験を基に、お悩みに答えます。また経済や医療、老後終活など専門知識が必要な場合は、エキスパートに取材してお答えします。ページ一番下の「お問い合わせ」フォームからお寄せください。

(冨田格)

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