緩やかなコミュニティ「ゲイの老後は中野で」プロジェクトが始まる
独身ゲイ・バイ男性にとって、老後の孤独はなにより不安になるものだろう。とはいえ、高齢になってから誰かと一緒に暮らすのはかなりハードルが高い。そこで同じエリアに集まって暮らす”緩やかなコミュニティ”という考え方が広がりつつある。
目次
「ゲイの老後は中野で」という考え方
高齢ゲイ・バイ男性の”緩やかなコミュニティ”を作るプロジェクトを進めているのは、ゲイ、バイ男性の老後・終活の支援を行うアライアンサーズだ。
横浜西部エリアで「ゲイの老後は横浜で」プロジェクトが進行中だが、新たに東京都内の中野・杉並エリアで「ゲイの老後は中野で」プロジェクトを始めるという。
横浜西部エリアと、中野・杉並エリアの違いとは。また、なぜ中野・杉並エリアで始めることになったのかなど、気になるプロジェクトの詳細をアライアンサーズの久保さんにインタビューした。
中野・杉並エリアに緩やかなコミュニティを
Q1. 中野・杉並エリアで新しいプロジェクトを始めるそうですが、どのようなプロジェクトでしょうか?
アライアンサーズでは「ゲイの老後は横浜で」という、高齢の独身ゲイ・バイ男性が近いエリアに居住して緩やかなコミュニティを作っていくことで老後の不安を解消していこうというプロジェクトを進めています。
その第二弾として「ゲイの老後は中野で」をスタートすることになりました。一人暮らしをしていて老後の不安を抱えている人や、近所にゲイ友達がいる生活を欲する人に向けたプロジェクトです。
お金がある人もそうでない人も「年金の範囲内で楽しく暮らす」ことをテーマにしています。このプロジェクトに参加する条件は、緊急連絡先として当社と契約する(月額3千円)ことだけなので、比較的ハードルを低く設定しています。
緊急連絡先の指定は、不動産会社と契約する際に必須なので、そこを当社が担当します。ちなみに、既に当社の見守り契約(月額5千円)を締結中の方は緊急連絡先のための会費は不要です。
「ゲイの老後は中野で」は、当社アライアンサーズと地元不動産会社、中野・鷺ノ宮地区にある訪問看護ステーションの協力で推進します。在宅医療や介護が必要になっても安心して、住み続けることが出来ることを目標としています。
意外に便利な西武新宿線沿線
Q2.中野といってもかなり広いですが、どの辺りを考えていますか?
具体的なエリアとしては、中野区と杉並区の北部で西武新宿線の「鷺ノ宮」駅「下井草」駅、JR中央線の「阿佐ヶ谷」駅「荻窪」駅周辺を想定しています。
中央線に比べると西武新宿線のことを知らない人も多いかと思いますが、このエリアを並行して走っている地下鉄丸の内線、JR中央線と比較すると、西武新宿線沿いの方が比較的家賃が安いという利点があります。
JR中央線や丸の内線の「新宿」駅とは少し離れた歌舞伎町にある「西武新宿」駅が始発ですが、次の「高田馬場」駅でJR山手線や地下鉄東西線に乗り換えできるので、都内の移動に不便を感じることはないです。
また「鷺ノ宮」駅や「下井草」駅からはJR中央線の「阿佐ヶ谷」駅行きのバスがあり、「下井草」駅からはJR中央線の「荻窪」駅行きのバスもあるので、中央線へのアクセスも楽です。
「西武新宿」駅は、新宿2丁目から徒歩10分前後で終電は0時過ぎまであるので、2丁目に行きたい人にとっても便利です。
中野・杉並エリアで始めるきっかけ
Q3. どうして中野・杉並エリアで始めることにしたのでしょうか?
まず最初のきっかけとなったのは、中野の鷺ノ宮地区で長年不動産賃貸事業をされている会社と連携が取れたことです。コロナ以前は空室もさほどなかったようですが、この数年間で状況は変わってきて、このエリアの空室がかなり増加してきました。
また、中野・杉並北部エリアを拠点とする訪問看護ステーションとの支援体制が出来たことも大きい理由です。この訪問看護ステーションは、HIV陽性者やゲイ当事者にフレンドリーであることを表明しています。
現状では、HIV陽性者は老人ホームに入所しようとしても断られることが多いです。実際、ある県で高齢のゲイでHIV陽性者が入所できるサービス付き高齢者住宅を探したのですが、16件電話してすべて断られました。
そのために、HIV陽性者やゲイ当事者にフレンドリーな訪問看護ステーションの存在はとても大きいと考えています。
HIV陽性ではない人にとっても都内の高齢者施設への入所は決してハードルが低いわけではありません。23区内の有料老人ホームの月額利用料は30万円を越える例が珍しくないくらい高額です。
このような事実を踏まえた上で、在宅で生活できる環境を50代や60代前半のうちに作っておくことが必要だと思います。高齢になるほどフットワークは重くなります。70代になってから、自宅に溜め込んだ物を断捨離して、引っ越して生活環境を変えるのはかなり困難だということを考えてほしいです。
エリアの魅力紹介
「阿佐ヶ谷」JR中央線で「高円寺」駅と「荻窪」駅の間に位置する。両隣の賑やかな駅に比べると閑静な住宅街というイメージを持たれがちだが、南口から青梅街道に向けて続くアーケード商店街の「パールセンター」や線路の高架下の「Beans」そして南口、北口ともに飲食店も数多くあり、意外に賑やかな街という顔も持つ。個性的な映画館や古くからある釣り堀があったり、秋には「阿佐ヶ谷ジャズストリート」というイベントがあるなど、知るほどに魅力が見つかる街だ。
横浜エリアと中野・杉並エリアの違い
Q4.すでに「ゲイの老後は横浜で」を進めていますが、横浜エリアと中野・杉並エリアの違いはどんなことがあるでしょうか?
一言でいうなら、「大人の落ち着いた街に住みたい人は横浜へ。より多くの出会いを求めている方は中野へ」という感じでしょうか。
2つのエリアの違いをまとめた表を作成したので、こちらで比較してみてください。
「ゲイの老後は中野で」を勧めたい人は
Q5. 「ゲイの老後は中野で」はどのような人に勧めたいですか?
「ゲイの老後は中野で」を勧めたい人は、6つのパターンを想定しています。
まずは「地方在住で老後を一緒に過ごせるゲイ仲間が欲しい方」です。どうしてもゲイ人口が少ない地方では、新たな出会いの機会も年を重ねるごとに減っていくと、老後に孤立してしまう例が少なくありません。
地方在住で死別含む彼氏との別れを経験して孤独である方の悲痛なメールが、当社の相談窓口に届くこともあります。
もちろん、東京で初めて暮らすとなると住環境が大きく変わることへの危惧を抱く人もいると思います。そういう方にこそ、西武新宿線の「鷺ノ宮」駅や「下井草」駅の周辺を実際に見て頂きたいです。東京23区内ではありますが、住宅地でどこかのどかな雰囲気もあり、落ち着いた街並みだと分かっていただけると思います。
他にも「50代で都内勤務、環境を大きく変えたくない方」「老後資金を捻出するための無駄の削減をしたい方」「持ち家を現金化して身軽になりたいと考えている方」「HIVを含む持病を抱える人も安心な在宅医療支援(訪問看護)に魅力を感じる方」「東京でリーズナブルな家賃に抑えたい方」にも、検討していただく価値はあると考えています。
老後に備えて、家賃を現在よりも減額しながら23区内で便利な生活を維持できる。月額の家賃2万円程度削減できれば、10年間で240万円の貯金が可能です。これはご自身の介護などを含めた老後ケア資金に充当できるのです。
独身ゲイ・バイ男性の将来の不安を少しでも解消して、楽しく夢のある老後を過ごせる環境を作っていきたいです。
「ゲイの老後は中野で」は、独身ゲイ・バイ男性の老後への不安が少し解消できるきっかけになりそうな緩やかなコミュニティだと、お分かりいただけたであろうか。
エリアの魅力紹介
「荻窪」JR中央線と地下鉄丸の内線の始発駅でもある。週末と休日は「阿佐ヶ谷」駅と「高円寺」駅には止まらない快速も停車する。駅北口直結のLUMINEとTOWN SEVENという2つのテナントビルの存在感が大きい。TOWN SEVENのスーパー(SEIYU)は24時間営業。駅南口、北口ともに飲食店が並ぶ商店街があり、外食派にとっても便利。駅近くにスーパー銭湯(なごみの湯)やサウナ(安心お宿)があるのも嬉しいところだ。新宿に行くのも便利だが、中央線で八王子方面に2駅のところに「吉祥寺」駅があるのもポイント高い。
このプロジェクトの提携不動産業者が管理する、同エリアのおすすめ物件例を下記リンクから参照することができる。老後の暮らし方をイメージする参考にもなりそうだ。興味がある人は、クリックして確認してほしい。
・「ゲイの老後は中野で」プロジェクトのエリア内おすすめ物件を見てみる
※ゲイ・バイ男性の老後・終活支援はこちら
アライアンサーズ
所在地:東京都新宿区新宿2-12-13
電話:03-6260-8637
問い合わせ:https://alliancersjp.com/contact/
(冨田格)