本気で男と恋におちた既婚の隠れゲイの悩みに共感できるのか?
「家庭を持ちたい」「子供が欲しい」「親や社会のプレッシャーに負けて」など、その理由はさまざまだが女性と結婚して家庭を築くゲイは世界中にいる。自分が選択した生き方でうまく人生を乗り切っていけば問題はないのだが、中には困惑する状態に陥る既婚ゲイもいるようだ。
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2児の父である既婚ゲイが男に恋をした
米国の性的少数者のためのニュースサイト「ワシントン・ブレード」のコラムニストであるマイケル・ラドコフスキー氏に、既婚ゲイのニック(仮名・42歳)がアドバイスを求めるメールを送ってきた。
「僕は42歳、レイチェルという女性と結婚して2人の子供を持つ父親です。そして僕はゲイです。
自分が男性に惹かれていることは学生時代から自覚していました。でも、僕はゲイとして生きるのではなく、他の人たちと同じような『普通の生活』がしたかったのです。
僕が育った時代、そして場所では、ゲイであることは受け入れられる環境はありませんでした。家族や周囲の友人や社会から仲間はずれにされる人生を送りたくなかったんです。それに家族を持ちたいという願望がありました。
男のことを考えなくなるんじゃないかと期待して女の子と付き合ってみましたが、妄想の中で男と戯れることをやめられませんでした。だから自分はバイセクシュアルだと思い込むようにしてきました。
妻のレイチェルには、全体的に満足していますし、父親であることも楽しんでいます。でも、ネットで知り合った男性クリスと恋に堕ち、ここ数ヶ月交際しています。
クリスとのセックスは本当に素晴らしくて、今までの人生で女性と経験したどんなことよりもずっといいのです。クリスと出会ったことで、自分はバイセクシャルではなくゲイなんだということを受け入れることができました。
もしレイチェルがこのことを知ったら、彼女は激怒し、おそらく僕から親権をとりあげて離婚すると思います。数年前、彼女は僕のノートパソコンでゲイポルノを見つけました。僕が『好奇心旺盛』で、少しバイの気があるのかもしれないと考えてくれました。でも、実はそれ以来、彼女は僕を疑っているようです。
その一方、僕は残りの人生を隠れて過ごしたくないし、偽装結婚を続けることもしたくない。クリスは『愛人』にはなりたくないから、レイチェルと別れるよう迫ってきました。僕がこのままレイチェルと別れないと、彼が僕を捨てるんではないかと心配しています。
頭の中でいろいろな考えを巡らすのですが、子供の問題で堂々巡りになってしまいます。子供たちとの関係が壊れてしまうことを、一番恐れているのかもしれません。
僕はこの先どうしたらいいのか、途方に暮れています」
楽な道を選ぶと、キツい結果が伴う
ニック、たしかにはあなたは混乱しています。今、あなたが考えてみるべき点がいくつかあります。
まず、あなたが奥さんのことをほとんど考えておらず、共感もしていないことに驚かされます。あなたの焦点は、奥さんの怒りを避け自分の思い通りに物事を進められるように、事実を奥さんに知らせないことであり、奥さんがどのような結婚生活を送れるのかを考えることではありません。
男とセックスしないと約束したのに、ネットで知り合った男と不倫を始めた男と結婚しているレイチェル。男とセックスするなとまでは言わないですが、奥さんはこの件について知る権利があるのではないですか?
第二に、あなたの意思決定が恐怖に支配されすぎていることに驚かされます。奥さんに自分がゲイであることを告げたくないのは、奥さんが子供たちを取り上げてしまうかもしれないから。逆に、奥さんに言わないとクリスが離れていってしまうことも恐れているようです。
これはあなたを非難するために言っているのではありません。他人とどう接したいのか、どれだけ誠実でありたいのか、何を選択するのか、そして自分の選択の結果を受け入れるられるのかについて考えてもらいたいのです。
女の子とデートして結婚するという、あなたの過去の決断まで遡りましょう。
確かに、1990年代にゲイであることは今よりずっと難しかったでしょう。しかし、当時は今ほど受容されることはずっと少なかったですが、表に出てきたゲイもたくさんいましたた。私たちが話しているのは1990年代のことであって、1950年代のことではないのです。
私の勘では、あなたは人生でより困難な道と闘うことを望んでいないように感じられ。あなたは自分に逃げ道を作りたかったのです。
問題なのは、一見、楽な道を選ぶと、しばしばキツい結果が伴うということです。
もしあなたがクリスと一緒にいたくて、レイチェルと一緒にいたくないのなら、彼女が見せかけの結婚で残りの人生を無駄にしないように、正直な気持ちを彼女に伝えるべきです。子供たちとの関係が良好であれば、絆を保つこともできるかもしれません。
あなたは自分にも周囲にも嘘をつき、自分を偽って嘘に怯えて生きることで人生を浪費しているのかもしれません。今の『混乱』から抜け出す道は、自分自身を理解することに尽きます。自分がどうありたいかを考える時間を取ること、そして自分が生きたい価値観を定義することです。
誠実に生きることに挑戦することで、初めて本当の自分を構築することができます。 あなたは自分の悩みと正直に向き合ったことで、この道の第一歩を踏み出したのです。幸運を祈ります。
ニックの悩みに賛否両論
この相談を記事にした米国のゲイ・メディアQUEERTYには多くの読者から意見が寄せられた。ニックの悩みに対して理解を示す人と、批判する人に大きく分かれた。その両方の意見を紹介する。
「簡単な道なんてない。たしかに、同性と付き合えば、理解ない人の偏見や誤解に対処しなければならないし、ノンケ夫婦と比較して常に自分たちの関係を正当化しなければならない。宗教的な迫害を受ける可能性もある。
しかし、どんな生き方を選択しようが、誰とデートしようが、誰と性的に関わろうが、人生は難しい。だから、あなたは自分のしたいことをし、自分の真実の中で生き、あなたが一緒にいたい・愛したい人と一緒にいる方がいいかもしれない」
「ニックはわがままだ。男と浮気したうえで、妻に対して不誠実だ。妻は知る権利があるし、そのことで怒ることも彼女の権利だ。
妻が子供たちを取り上げることを恐れているようだが、それについて私が気になるのは、ニックが子供たちを同性愛者を憎むように育てたのか、それとも受け入れるように育てたのかということだ。良きにつけ悪しきにつけ、彼は蒔いた種を刈り取る必要があるだろう」
「恥を知らないのか? 自分がゲイであることを自覚したからといって、ゲイの生き方をしなければならないということはない。あなたには子供がいる。あなたの仕事は、子供にふさわしい最高の環境を与えるために自分を犠牲にすることだ。それ以外のことは二の次だ。秘密のゲイの恋人は捨てて、結婚生活と家族に集中しなさい」
「私はいつも、結婚しているゲイの男性をすぐに批判する人たちに驚かされる。まるで、家族への影響を顧みない利己的な奴ばかりであるかのように。確かにそういう人もいるが、大半はまともで、親切で、愛情深い人たちで、幸せになる方法を見つけようともがいているだけなのに。彼らは、罪悪感、自己嫌悪、憂鬱、絶望といった破壊的なループに陥っている。
『自分で解決しろ』『自分でまいた種は自分で刈り取れ』『自業自得だ』などという言葉は、彼らを絶望という崖の上に追いやるだけだ。
彼は妻や子供たちに正直になる必要がある。彼は自分の真実を生きる必要がある。それは簡単ではないし、人生はそれまでとは違うものになるだろうが、でも大丈夫だ。いくつかの人間関係はうまくいかなくなるだろうし悲しいことだけど、でも新しい関係も生まれる。そして、強くなる関係もあるはずだ。
いったんすべての痛みと涙を乗り越えれば、彼は可能だとは思ってもみなかった幸福感と居場所を見つけるだろう」
「いいか、まず最初にゲイだろうがストレートだろうが、あなたは妻を裏切っている。結婚する時に誓ったんだから、『釣るか、餌を切るか』だ。決断して、男を上げろ。両立させようとしてきたが、残念だが無理だ。
確かに、あなたが本当にゲイだと思うなら、一生自分を苦しめる必要はない。
あなたは奥さんの人生と将来を完全に狂わせている。たとえ離婚することになったとしても、彼女は真実を知る方がいい。子供たちがあなたを愛し、あなたができる限り最高の父親であったなら、子供たちも先々あなたの決断を理解するようになるかもしれない」
「彼に開かれている道は一つしかなく、それはカミングアウトして離婚を求め、自分の人生を歩むことだ。それが最悪の結果を意味したとしても、それしかない。自分でないことで愛されるより、自分であることで嫌われる方がずっといい。
その場にとどまることは避けられないことを先延ばしにしているだけであり、別れとカミングアウトをより悪いものにする。
彼の妻は、彼女を愛し、彼女に素晴らしいセックスを与えることができる男にこそふさわしい。妻に公平であるためにも、彼は彼女を手放す必要がある」
「私はこの男に同情しない。配偶者やパートナーを騙す人間には同情できない。彼は個人的な悩みを抱えながらも、奥さんと一緒にいて、彼女に誠実であり続けることもできるし、奥さんに真実を話して、奥さんと一緒に将来について決断することもできる。
彼が今していることは、彼にとっても、彼女にとっても、子供たちにとっても、そして率直に言ってボーイフレンドにとっても不公平なことだ」
「妻はすでにパソコンでゲイポルノを発見しており、それ以来彼を疑っているのならば、カミングアウトしても彼が想像するほどの衝撃にはならないと思う。そこには多くの涙と怒りが伴うだろうが、最終的には和解できるはずだ」
もし既婚ゲイと恋に落ちたら、あなたは彼にどんな決断を迫るだろうか。そして、もしあなたが既婚ゲイだったら、男と恋に落ちたらどんな道を選択するだろうか。
最後に読者に既婚ゲイとの恋愛経験の有無を尋ねてみよう。
※参考記事:WASHINGTON blade/QUEERTY
(冨田格)
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