シリーズ:親の介護は自分の老後へのレッスン1/情報強者になることで「漠然とした不安」を軽減したい
中年以降の独身のゲイにとっての「不安」の一つは、「親の介護」だろう。離れて暮らしていようが、一緒に暮らしていようが、親が高齢になるほど「自分でできること」は減っていく。誰かの助けがなければ暮らしていけなくなるという現実がある。
そんな「不安」からは、ついつい目を背けてしまいがちだけれど、「親の介護」はいきなり始まる可能性だってある。突然、介護する人になった時、パニクってしまわないためには、介護に関する情報にアクセスしておくことが必要だ。
親の介護は自分の老後のための予習
「親の介護」というと、大変な状況を思い浮かべて気持ちが暗くなってしまう人は多いだろう。
かくいう、私も同居している母が介護が必要になった場合のことは、考えないようにし続けていた。しかし、徐々に弱り始めていた母がいきなり入院したことをきっかけに、5年間にわたる介護生活を経験することになった。
そのなかで学んだことはたくさんある。予想より大変なこともあれば、予想もしなかった便利な仕組みもあった。そんな私が体験したことを、少しずつこのシリーズで伝えていこうと考えている。
今回のテーマは、「親の介護は自分の老後のための予習」。
情報は自分の老後をイメージする助けになる
「親の介護」という現実が訪れることから目を背けていた私は、いきなり介護生活に突入したことで戸惑い焦ることが多かった。しかし、それと同時に介護のシステムなど様々な情報に触れることで、「自分の老後」についてのイメージを具体的に描けるようになった。
「自分の老後」のことだって、やはり現実から目を背けたくなる「不安」のひとつ。そして「親の介護」も「自分の老後」も、嫌でも起こることというのも共通している。
私が「親の介護」を通じて「自分の老後」のイメージを描けるようになったのは、高齢社会の日本の介護のシステムやアイテムなどの情報に触れたから。つまり、「親の介護」を通じて。「自分の老後」の予習ができたのだと感じた。
「親の介護」「自分の老後」という、いつか来る現実から目を背けていた私は、まったく予習をしていないまま介護生活に突入してしまったのだから、それは焦りもするし、途方にくれるのも当然のこと。
これから「親の介護」そして「自分の老後」に向き合わなければならない読者のみなさんに、このシリーズでは、実際に役立つ情報を紹介していこうと考えている。
突然介護生活が始まっても焦ったり途方にくれたりしないで済むように、親の老後に関する「情報強者」になることを目指していきたい。それはひいては「自分の老後」の予習になるのだから。
ということで第一回はここまで。次回は3月開催の「東京ケアウィーク’22」で見つけた、介護・老後への便利アイテムを紹介する予定だ。
(冨田格)
★あわせて読みたい!
高齢の親やパートナー、ゲイが介護に直面する前に知っておくべきこと