ゲイ雑誌『アドン』の世界観で筋肉美を撮る写真家ポール・ジャムニッキー
ゲイにとっての”eye candy”(アイ・キャンディ)、「目の保養になるくらい素敵、可愛い、魅力的」な男たちを撮り続けているカナダの写真家ポール・ジャムニッキー。カナダに住む逞しく美しい男だけを被写体にする、マッチョ好きなら目が釘付けになる作品を紹介する。
日本のゲイ雑誌『アドン』を思わせる世界観
昭和の終わりから平成の初期にかけて、日本には『アドン』という月刊ゲイ雑誌があった。『アドン』の特徴は、スタイリッシュな表紙イラストと、黒い背景の前に立ちてかるオイルが筋肉を浮き立たせる体育会系青年たちのグラビアだ。
ほぼ毎号、同じようなグラビアが掲載されるのだが、被写体のレベルが高く魅力的なので、読者を飽きさせることはなかった。
今回ピックアップする写真家ポール・ジャムニッキーの作品を見ると、不思議と『アドン』のグラビアを連想してしまう。それは、ジャムニッキーの作品の多くが黒または暗い背景であり、そこにオイルで肉体をてからせたマッチョたちが筋肉を浮き立たせて立っているというものだからだ。
『アドン』に登場するモデルの多くはボディビルダーではなく当時のアスリートたちなのでしなやかな肉体の持ち主が多かったが、ジャムニッキーの被写体は現代のフィットネス・モデルたちであり、その肉体の厚みや完成度の高さは『アドン』の被写体たちを遥かに凌駕している。
顔のチャームとパンプアップの瞬間を撮影
ジャムニッキーのインスタグラム・アカウントの写真を仔細に見ていくと、コメント欄にモデルのアカウント・リンクが貼られているものもある。そこからモデルのアカウントを覗き、自撮り画像とジャムニッキーが撮影した画像を見比べると、写真家の技量の高さがはっきり見えてくる。
どんな人間でも完璧な容姿の人はいない。しかし、写真家のカメラアイによって不完全な面を見せないことは可能だ。
ジャムニッキーは、モデルの顔のチャームを引き出すことと、逞しい肉体がパンプアップした瞬間を両立させる技量が秀でていると思える。それだけジャムニッキーのアカウントには非の打ち所がないほどに逞しく美しい男たちが並んでいるからだ。
ポール・ジャムニッキーが撮り続けるカナダの筋肉男たちを、これからも注目し続けていく。
(冨田格)
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