新作ゲイ映画『ザ・スイマー』水泳強化合宿で生じる男たちの性的な化学変化
ハードなトレーニングで研ぎ澄まされた肉体に競泳水着一枚だけの姿が眩しい青年たち。オリンピックを目指すエリート水泳選手たちのトレーニング合宿で起きる、ゲイの性への目覚めと選手としての葛藤を描く映画『ザ・スイマー(The SWIMMER)』は2022年秋に米国で限定公開された。日本でも公開してほしい、この注目作を紹介する。
男に対する性への目覚め
映画『ザ・スイマー(The SWIMMER)』は、イスラエルのオリンピック選手養成合宿を舞台にした物語。各国の映画祭で上映され大きな話題を呼び、2022年秋に米国の一部の映画館で上映された。
競泳水着だけを身につけた5人の無駄肉が一切ない研ぎ澄まされた肉体を見るだけでも、どんな物語なのか興味が湧いてくるというもの。
水泳体型が好きとか、ティーンの性への目覚め、男に対する興味を自覚し始めた時の衝動などに反応する人なら絶対見たくなるはずの映画『ザ・スイマー』を紹介しよう。
『ザ・スイマー』の物語
舞台は、イスラエルのオリンピック選手を養成するための合宿施設。競泳部門は厳しいコーチのディマが教えている。
物語は、エレズ(オマー・ペレルマン・ストライクス)が合宿に送り込まれるところから始まる。この合宿にはエレズを含めて5人の水泳選手が参加しているが、この中から一人だけが「オリンピックへの切符」を掴みチーム・イスラエルのメンバーになれるのだ。
5人の中でも能力が抜きん出ているエレズはオリンピック出場の可能性はかなり高く、そのエレズと互角に争える相手がネヴォ(アサフ・ヨナス)だ。当然、お互いに意識し合うのだが、同時に二人の間には能力が秀でた者同士の絆が生まれ仲良くなっていく。
しかし、エレズの心の中にはネヴォに対して友情以上の激しい想いが芽生えていた。いつしかエレズとネヴォの間には、性的緊張が生まれて行った。
二人の関係を危険視するディマや、同性愛嫌悪をあからさまにする他の選手たち、そしてハードなトレーニングを積み重ねながら物語はクライマックスへと向かっていく。
才能があり魅力的な若き俳優たち
監督作品としては二作目になるアダム・カルデロンが脚本も執筆。カルデロンはコスチューム・デザイナーとして数本の作品に携わってきている。
エレズを演じるオマー・ペレルマン・ストライクスは、この10年間、イスラエルのテレビと映画で着実にキャリアを積み重ね、『ザ・スイマー』で主役の座を勝ち取った。
ネヴォを演じるアサフ・ヨナスは、『ザ・スイマー』がデビュー作となる新鋭。俳優としては未知数だが、彼のインスタグラムを見れば、アートな感性の鋭さと美意識の高さを実感できるはずだ。
他の三人のキャストも、それぞれインスタグラムで魅力的な画像を公開している。
映画評論サイト「ロッテントマト」では、批評家によるスコアが92%、一般観客によるスコアが89%と高評価になっている。
若く美しい青年たちの物語なので、ゲイだけではなくBL好きの女性の興味もひく可能性も高い『ザ・スイマー(The Swimmer)』。 2022年8月には台湾で公開、9月にはドイツで限定公開された。ぜひ、日本でも公開してほしい。
イスラエル・フィルム・センター:https://israelfilmcenterstream.org/festival-film/the-swimmer/
※参考記事:QUEERTY
(冨田格)
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