疑惑の俳優『君の名前で僕を呼んで』アーミー・ハマーが沈黙を破る【前編】

交際していた女性たちからレイプされたという告発に加え、嗜虐趣味やカニバリズムへの興味などの異常な性癖があることを明かされてスキャンダラスな存在となった俳優のアーミー・ハマー。告発後初めてマスコミに対して口を開き、疑惑に関することや自分の心中を語った。

交際相手たちが暴露した性癖

アーミー・ハマー
映画『コードネームはU.N.C.L.E.』

元妻の女優エリザベス・チェンバースとの間に8歳のハーパー君と6歳のフォード君を持つ36歳のアーミー・ハマー。ロシア系ユダヤ人系家系のハマーは、テキサスの石油王を祖父に持つという裕福な家庭で育った。

俳優の道に進んでからは、テレビドラマへの出演で注目を集め、以後映画「ソーシャル・ネットワーク」「白雪姫と鏡の女王」「ローン・レンジャー」「コードネームU.N.C.L.E」などに出演。2017年に主演した映画「君の名前で僕を呼んで」が大きな話題となる。

その後も、「ホテル・ムンバイ」「ビリーブ 未来への大逆転」「レベッカ」「ナイル殺人事件」と順調にキャリアを重ねていたのだが、2021年初めに交際相手の女性に送ったダイレクトメールが流出して炎上した。

そのメールには、「君の血を飲みたい」「僕はカニバル(人を食う人種)だ」「君のことを食べたい」という信じられない内容が綴られていた。これをきっかけに過去の交際相手が次々と彼の特異な性癖(レイプ願望や嗜虐趣味など)を暴露し始めた。

このことにより、ハマーはエージェントとの契約を切られ、俳優としてのキャリアが途絶えてしまった。

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13歳のとき牧師から性的虐待を受ける

アーミー・ハマー
映画『ナイル殺人事件』

2年間の沈黙を破ったアーミー・ハマーは、Air Mailのインタビューに応え、子供の頃に性的虐待を受けたこと、名声と権力を利用して女性を精神的に虐待したこと、そしてこの2年間の心中を打ち明けた。

ハマーは13歳のとき、教会の青年牧師から1年間虐待を受けたという。

「そのことが私に与えたことは、性的なものを自分では完全にコントロールできない形で甘んじて受けなければならなかったことです。その状況で、私はあまりにも無力で主体性がありませんでした。そして私は、こう考えるようになったのです。性的な意味でこの状況をコントロールできるようになりたい、と」

ハマーは詳細には触れないようにしながら牧師が自分に行っていることを両親に話したが、「牧師さんは神の人だよ。よくもまあ、こんなことを言えたものだ」言われただけだったという。

虐待を受けた当時、名付け親であるキャンディス・ガーベイにも話したとハマーは語り、彼女はAir Mailに対して彼の説明を裏付けた。

女性に対する感情的虐待を認める

アーミー・ハマー
映画『ナイル殺人事件』

ハマーは女性に感情的な虐待をしていたことを認めている。

「私は非常に激しく、極端なライフスタイルを持っていました。気に入った女性たちをすくい上げ、旅行やセックス、ドラッグ、大きな感情が飛び交う渦中に放り込み、コトが終わるとすぐに彼女たちを置いて次の女性へと関心が移っていきました。私と関わった女性たちは、見捨てられたり利用されたと感じていたでしょう」

ハマーを告発した女性たちに感情的な虐待をしていたのかと聞かれると、「100万%」と答えた。

「私は自分の過ちを認め、自分が最低な人間だったこと、利己的だったこと、自分をよく見せるために人を利用し、それが終わると次に進んだという事実に対して説明責任を果たすためにここにいます。私は、人を必要以上に粗末に扱いました」

嗜虐趣味は事実だが、犯罪者ではない

アーミー・ハマー
映画『君の名前で僕を呼んで』

エフロシナ・アンジェロヴァは、ハマーから4時間にも及ぶ凄惨なレイプを受けたと訴えている。しかしハマーは、当時24歳の彼女と関係を持ったものの、すべては同意の上、あるいは “同意がないという設定 “だったと語っている。

「このレイプ疑惑は、彼女のアイデアによる設定でした。彼女は、私がどのスターバックスで彼女に会うか、どのように彼女の家までついていくか、どのように彼女の玄関のドアの鍵を開けて入っていくか、そして私たちはいわゆる「合意の上での非同意シーン」に関わるすべての詳細を計画しました。あらゆることを事前に話しあいました。不意に誰かに性的暴行をしたことは一度もありません、一度も。

「同意」はBDSMの世界ではとても重要なことです。なぜなら、「電気を消して使命を果たそう」という性行為ではなく限界を超えることをやっているのですから。そこには信頼関係が不可欠で、相手と弱さを共有しなければならないのです。『自分をコントロールする権利を相手に喜んで譲る』という側面を、双方が持たなければ成立しません。

一般的なイメージと違い”サブ”(服従するパートナー)は、常にすべてをコントロールする力を持っているのです。いつでも「やめて」と言えるのは”サブ”で、限界を決めるのも”サブ”なのですから」

【後編】では、自殺を考えたことや経済的に困窮している現状などとともに、この2年間の心中を赤裸々に語る。

★後編はこちら
疑惑の俳優『君の名前で僕を呼んで』アーミー・ハマーが沈黙を破る【後編】

※参考記事:DAILY BEAST

ディズニープラス『ナイル殺人事件』
Netflix『コードネームはU.N.C.L.E.』※2月18日まで配信
U-NEXT『君の名前で僕を呼んで』

(冨田格)

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