疑惑の俳優『君の名前で僕を呼んで』アーミー・ハマーが沈黙を破る【後編】

交際していた女性たちからレイプされたという告発に加え、嗜虐趣味やカニバリズムへの興味などの異常な性癖があることを明かされてスキャンダラスな存在となった俳優のアーミー・ハマー。告発後初めてマスコミに対して口を開いた。【後編】では、自殺を考えたことや経済的に困窮している現状などとともに、この2年間の心中を赤裸々に語る。

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疑惑の俳優『君の名前で僕を呼んで』アーミー・ハマーが沈黙を破る【前編】

性的な面を隠さずに語った前編

アーミー・ハマー
画像引用元:Vanity Fair

前編では、子供の頃に牧師から受けた性的虐待、そしてそこから生まれた人を性的にコントロールしたい願望、さらにレイプを告発した女性との関係が打ち合わせをした上での “同意がないという設定 “だったこと、BDSMにおけるドム(支配するパートナー)とサブ(服従するパートナー)の関係性などを語った。

ハマーは女性を強姦した疑惑に加え、他人に攻撃的な性行為を行うよう強要したとされて現在捜査を受けているが、ハマー自身はいかなる不正も否定している。

自ら死ぬことも考えた

アーミー・ハマー
映画『ビリーブ 未来への大逆転』

2021年に疑惑が浮上してから滞在していたケイマン諸島で、自ら命を絶とうとしたことがあるそうだ。

「私はただ海に出て、泳げるだけ泳いで、溺れるか、ボートに轢かれるか、サメに食われるかのどちらかになればいいと思っていました。しかし、子供たちが岸にいることに気づき、子供たちの前でそんなことはできないと思い止まりました」

ハマーは、1000万ドル(約10億円)の純資産があると言われていたにも関わらず、法廷闘争によって「多額の借金」を抱えてしまい、食料品の購入費すら友人に立て替えてもらったことがあると付け加えた。

「私の経済状況は、一文無しというだけでなく、多額の借金を抱えているのです。弁護士費用を払うために家族からローンを組んだこともあったし、食料品を買うのに友人に手伝ってもらわなければならなかったこともありました」

立ちはだかる厳しい現実

アーミー・ハマー
映画『ALONE/アローン』

さらにハマーは、1990年代後半に薬物容疑で複数回逮捕され、更生するまでに何度も刑務所で過ごしたロバート・ダウニー・Jrに言及し、法的トラブルの結果がどうであれ、二度と俳優として復帰できないのではないかと心配していると語った。

「ロバートもその一人だが、法的トラブルの経験を経て、新たな道を歩むことで救われた人たちの例はどこにでもある。そしてそれこそが、今のキャンセルカルチャーやウォーク・モブ・ビジネス(意識高い系の暴走)に欠けているものだと感じています。

誰かが何か悪いことをしたら、すぐに捨てられてしまう。更生のチャンスもない。贖罪の機会もない。誰かが間違いを犯すと、壊れた使い捨てカメラのように捨てられるんです。ロバートは、人間が痛みを経験しそして成長していく姿の一例です。そして、そのような側面は、私が熱望するものです」

しかし、ハマーの願いもむなしく、現実は厳しいようだ。

「誰も私を起用してくれないし、保険にも入れません。プロジェクトに参加することもできません。誰も私に手を出さないのです。なぜなら、私を起用するということは、虐待者を支援することになるからです。そして、私を起用した人自身がキャンセルされる可能性があるのです。その火は今や制御不能となり、すべての人を焼き尽くそうとしています。彼らは自分たちを守るために、犠牲として人々を火に投げつけ続けているのです」

『君の名前で僕を呼んで』続編は実現するか?

アーミー・ハマー
映画『君の名前で僕を呼んで』 画像引用元:IMDb.com

大ヒットした映画『君の名前で僕を呼んで』は、長編の原作小説の一部を映画化したにすぎず、監督のルカ・グァダニーノは企画の段階から、映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のように、時間をおきながら同じキャストでシリーズ作品として制作する腹案があるという。

グァダニーノ監督にアーミー・ハマーをキャンセルする考えはないようで、Variety誌で『君の名前で僕を呼んで』の続編製作への希望を捨てておらず、ハマーの復帰を望んでいると語っている。

アーミー・ハマー
Netflix『Rebecca/レベッカ』

ハマーがすべての疑惑に決着をつけ更生する機会が与えられるのか、それとも刑務所に入ることになるのか、これからの展開を注視していきたい。

※参考記事:BANG SHOWBIZ

U-NEXT『ビリーブ 未来への大逆転』『ALONE/アローン』『君の名前で僕を呼んで』
Netflix『レベッカ』

(冨田格)

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