ゲイ映画の傑作『ブロークバック・マウンテン』舞台版を日本でも見たい
カウボーイ同士の秘めたる愛情を描いた2005年の映画『ブロークバック・マウンテン』は、世界中のゲイたちの涙を誘った傑作だ。そして今年5月、同じ短編小説を原作とした舞台版『ブロークバック・マウンテン』がロンドンのウェスト・エンドで上演される。
映画『ブロークバック・マウンテン』とは
1963年の夏、山中で行う羊の放牧のために雇われた2人の季節労働者の青年イニスとジャック。羊に囲まれ山の中で一夏を過ごすうちに、若い男性たちの間には化学変化が生じていく。しかしゲイがタブーだった時代に、イニスとジャックは互いへの想いをひた隠しにするしかなかった。そしてそれぞれに結婚した二人だが、年に数度の隠れた逢瀬で愛情を確認しあうのだが。
同性愛がタブーだった時代に巡り合ってしまった運命の二人の愛情と、抗えない現実を描いたこの映画は、1997年に発表されたアニー・プルックスの短編小説『ブロークバック・マウンテン』を原作としている。
映画は、監督のアン・リーの演出と、イニス役のヒース・レジャーとジャック役のジェイク・ギレンホール、それぞれの妻を演じたアン・ハサウェイとミシェル・ウィリアムズの熱演も相まって、多くの人の記憶に残る作品となった。
低予算で作られたこの作品は世界的に予想以上の興行収入を挙げた。また作品としての評価も高く、アカデミー賞では、監督、脚本、音楽の3部門を受賞した。
舞台版でジャックとイニスを演じる俳優たち
2023年5月10日から、ロンドンのブロードウェーと呼ばれるウエスト・エンドにある劇場「@sohoplace」で、舞台版『ブロークバック・マウンテン』の上演が決まった。
映画版でジェイク・ギレンホールが演じたジャック役は、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ウエスト・サイド・ストーリー』で「ジェッツ」のリーダーであるリフ役で評判となったマイク・ファイストが演じる。
また映画版ではヒース・レジャーが演じたイニス役は、映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ある少年の告白』での繊細な演技が強烈な印象を残すルーカス・ヘッジズが演じる。
マイク・ファイストもルーカス・ヘッジズも、今回の作品がウエスト・エンドでの舞台デビューとなるそうだ。
戯曲はアシュレイ・ロビンソン、演出はジョナサン・ブッテレルが担当。舞台版『ブロークバック・マウンテン』はミュージカルではなくストレート・プレイだが、作中で使われる歌はダン・ギレスピー・セルズが担当する。
5月10日から8月12日までの上演が予定されている舞台版『ブロークバック・マウンテン』が、興行面での成功と作品としての高評価を獲得して、先々日本版も上演されることを期待したい。
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※参考記事:Variety
(冨田格)
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