あなたは何本知っている?全米の歴代ゲイ関連映画興行収入TOP10リスト

日本では今年『ザ・ホエール』『ノック 終末の訪問者』『インスペクション ここで生きる』などが公開、全米では年末に『異人たち』が公開予定など、ゲイ関連映画が公開される機会が増えてきている。そこで、ゲイ関連をテーマにした映画で歴代興行収入的に成功した作品を紹介しよう。※本ページはプロモーションが含まれています

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全米の歴代ゲイ関連映画TOP10

ゲイ映画全米興行収入TOP10
『ブロークバック・マウンテン』

全米、そして世界の映画ランキングのデータを集積している専門のサイト「Box Office Mojo」には、テーマ別の興行収入ランキングも掲載している。その中に、「LGBTQテーマ」というジャンルのキーワードで、劇場公開作品の興行収入上位のランキングを掲載している。

今回は、「LGBTQテーマ」ランキングTOP10をピックアップして、各作品の内容や興行収入などを紹介する。

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第10位『クライング・ゲーム』

ゲイ映画歴代TOP10
『クライングゲーム』

1992年公開のイギリス映画、日本では1993年に公開。

IRAと英国軍の抗争のなか、IRAの人質となった捕虜の黒人兵士とIRAの男との友情から始まるサスペンス映画。黒人兵士の恋人が、今でいう”トランス女性”なのだが、1990年代前半は”性同一性障がい”という言葉もまったく認知されていない状態であり、女装のゲイという認識で捉えられていた。

ストーリーの巧みな展開は評価が高く、アカデミー脚本賞をはじめ多数の映画賞を受賞している。ボーイ・ジョージの歌う主題歌も話題に。

ゲイ映画歴代TOP10
『クライングゲーム』

原題:The Crying Game
監督・脚本:ニール・ジョーダン
出演:スティーヴン・レイ、フォレスト・ウィテカー、ジェイ・デヴィットソン ほか
全米興行収入:62,548,947ドル

第9位『イン&アウト』

ゲイ映画歴代TOP10
『イン&アウト』

1997年公開のアメリカ映画。日本では1998年に公開。

田舎の高校教師ハワードは恋人と結婚目前の幸せ状態。ところが、元教え子の俳優にテレビで「ハワードはゲイです」と言われ、本人も周囲も騒然となる。ハワード自身はゲイの自覚などなかったのだが、彼の好みを確認するといちいちゲイっぽい。そんなハワードに地元のテレビ局のニュースキャスターが密着取材することになり、ハワードは自分がゲイなのかも、と悩み始める。

アメリカの地方ではゲイがタブーだった頃に作られたコメディ。当時の人気俳優がゲイ役を演じることで話題になり、アメリカではヒットした。

ゲイ映画歴代TOP10
『イン&アウト』

原題:In&Out
監督:フランク・オズ
出演:ケヴィン・クライン、トム・セレック、マット・ディロン ほか
全米興行収入:63,856,929ドル
※日本では現在配信されていない

第8位『フィラデルフィア』

ゲイ映画歴代TOP10
『フィラデルフィア』

1993年公開のアメリカ映画、日本では1994年公開。

フィラデルフィアの弁護士事務所のシニアアソシエイトであるベケットは、自分がゲイであることを周囲には秘密にしていたが、HIV陽性となりエイズを発症し、のちに解雇される。解雇理由がエイズを発症したことだと確信したベケットは、エイズが進行するなか事務所を不当解雇で訴える。

エイズが不治の病だった時代に作られた作品。主演のトム・ハンクスはアカデミー主演男優賞を、ブルース・スプリングスティーンの「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」が歌曲賞を受賞。他にも多くの映画賞を受賞した。

ゲイ映画歴代TOP10
『フィラデルフィア』

原題:Philadelphia
監督:ジョナサン・デミ
出演:トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、アントニオ・バンデラス ほか
全米興行収入:77,446,440ドル

第7位『リプリー』

ゲイ映画歴代TOP10
『リプリー』

1999年公開のアメリカ映画、日本公開は2000年。

貧しい青年が金持ちの青年に近づき、歪んだ愛情を抱き殺害して金持ちになりすます、というパトリシア・ハイスミスの小説『リプリー』を原作にした映画。同じ小説を原作にしたアラン・ドロン主演の映画『太陽がいっぱい』(1960年)があるが、今作の方が原作に忠実であり、ゲイ要素は濃厚になっている。

主役のマット・デイモンはじめ、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ブランシェット、フィリップ・シーモア・ホフマンと豪華キャストも話題に。作品的にも高評価だった。

ゲイ映画歴代TOP10
『リプリー』

原題:The Talented Mr. Ripley
監督:アンソニー・ミンゲラ
全米興行収入:81,298,265ドル

第6位『ブロークバック・マウンテン』(2005年)

ゲイ映画歴代TOP10
『ブロークバック・マウンテン』

2005年公開のアメリカ映画、日本公開は2006年。

1963年夏、ワイオミング州のブロークバック・マウンテン山中での羊の放牧のために雇われた季節労働者の二人の青年、イニスとジャック。友情を深めた二人は、ある夜一線を越え男同士の愛を交わす。ひと夏だけの関係で終わらなかった二人は、それぞれ結婚しながらも密かに互いへの愛情を確認するのだが、その関係を知る人が出てきたことで、人生の歯車は狂い始める。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ賞では作品賞・監督賞など4部門で受賞。アカデミー賞では監督賞、脚色賞、作曲賞を受賞。作品評価も、興行収入面でも大きな成功を収めた。

ゲイ映画歴代TOP10
『ブロークバック・マウンテン』

原題:Brokeback Mountain
監督:アン・リー
出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール,アン・ハサウェイ ほか
全米興行収入:83,043,761ドル

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第5位『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)

ゲイ映画歴代TOP10
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

2014年公開のアメリカ映画、日本公開は2015年。

天才数学者のアラン・チューリングは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの暗号機エニグマを解読するチームのリーダーとなる。さまざまな問題やアクシデントを乗り越え、暗号解読装置を完成させ、戦争を勝利に導くことになるのだが、チューリングが同性愛者であることが軍上層部が知ることになり、栄誉が与えられることはなかった。

同性愛を禁じるソドミー法があった時代のイギリス、戦後にチューリングはソドミー法により逮捕され科学的去勢をされるが、心身を病み自殺する。悲劇で終わるこの作品は、圧倒的な評価の高さで数々の映画賞を受賞。興行面でも大成功を果たす。

ゲイ映画歴代TOP10
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

原題:The Imitation Game
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド ほか
全米興行収入:91,125,683ドル
日本興行収入:5億円

第4位『ロケットマン』(2019年)

ゲイ映画歴代TOP10
『ロケットマン』

2019年公開のアメリカ映画、日本でも同年に公開。

1950年、イギリスに生まれた少年レジナルド・ドワイトが音楽に興味を持ち、クラシックから始まりロックに目覚め、のちにエルトン・ジョンとしてスーパースターになっていく様を描いた伝記ミュージカル。エルトン・ジョンが作った様々な名曲が、映画の中で演奏される。

作品的な評価は高く、ゴールデングローブ賞では主演男優賞と主題歌賞を受賞。アカデミー賞では歌曲賞を受賞。興行面でも、世界的に成功を収めた。

ゲイ映画歴代TOP10
『ロケットマン』

原題:Rocketman
監督:デクスター・フレッチャー
出演:タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、リチャード・マッデン ほか
全米興行収入:96,368,160ドル
日本興行収入:6億4400万円

第3位『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年)

ゲイ映画歴代TOP10
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

1994年公開のアメリカ映画、日本でも同年に公開。

野心的なライターの青年ダニエル・マロイは用意したテープを回し、黒髪の青年紳士ルイへインタビューを始める。ルイは、200年というその驚くべき半生を語り始める。残虐なヴァンパイアであるレスタトによって、ルイもまた吸血鬼として永遠の命を与えられた。吸血鬼としての葛藤や、ルイとの複雑な関係から生じた問題などをルイは語っていく。

原作者のアラン・ライスは当初、トム・クルーズとブラッド・ピットの組み合わせに不満を漏らしていたが、完成した映画を見て前言を撤回し、デイリー・ヴァラエティ誌に謝罪広告を掲載したそうだ。興行面でも大ヒットとなり、2022年にはテレビシリーズとしてのリメイクされ成功し、現在シーズン2が制作中だ。

ゲイ映画歴代TOP10
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

原題:Interview with the Vampire
監督:ニール・ジョーダン
出演:トム・クルーズ、ブラッド・ピット、クリスチャン・スレイター ほか
全米興行収入:152,644,608ドル

第2位『バードケージ』(1996年)

ゲイ映画歴代TOP10
『バードケージ』

1996年公開のアメリカ映画、日本でも同年に公開。

ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』の二度目の映画化。一度目は、1978年にフランスで映画化(日本題『Mr.レディMr.マダム』)し、シリーズ第三作まで制作された。

原作の舞台はフランスのサントロペだが、今作ではフロリダに場所を移す。ナイトクラブ「バードケージ」を長年運営している公私共にパートナーのアーマンドとアルバート。アーマンドの実の息子ヴァルが婚約し、相手の家族を顔合わせをすることになるのだが、婚約者の父は厳格なタイプであり、アーマンドとアルバートが”普通”を演じようとするが次々とほころびが生じていく。

ヴァルの婚約者を、のちに『アリーMy Love』でブレイクするキャリスタ・フロックハートが演じている。

ゲイ映画歴代TOP10
『バードケージ』

原題:The Birdcage
監督:マイク・ニコルズ
出演:ロビン・ウィリアムズ、ネイサン・レイン、ジーン・ハックマン ほか
全米興行収入:124,060,553ドル
※日本では現在配信されていない

第1位『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)

ゲイ映画歴代TOP10
『ボヘミアン・ラプソディ』

2018年公開の米英合作映画、日本でも同年に公開。

イギリスのロックバンド「クイーン」のボーカルであるフレディ・マーキュリーに焦点をあて、クイーンの結成から1985年のライヴエイドまでを描いた伝記ミュージカル。音楽プロデュースは、クイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーが担当した。

日本を含め世界中で興行的には大成功を収める。作品評価は大きく別れたが、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの評価は高く、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、アカデミー賞で主演男優賞を受賞。

ゲイ映画歴代TOP10
『ボヘミアン・ラプソディ』

原題:Bohemian Rhapsody
監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー ほか
全米興行収入:216,428,042ドル
日本興行収入:131億1,026万円

以上、ゲイ関連映画の全米興行収入TOP10を紹介した。知っている作品は何タイトルあっただろうか。作品面での評価はさまざまだが、多くの観客を集めた映画は見どころがあり、楽しめることは確実だ。

現在、日本では『イン&アウト』『バードケージ』の2作品は配信で見ることができないが、それ以外はすべてU-NEXTで鑑賞可能だ。興味をもったなら、それぞれの作品で描かれる当時のゲイを取り巻く状況などを味わいながら見てほしい。

※本ページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

※『イン&アウト』は12月1日より日本でサービス開始となるプレミアムストリーミングサービス「Paramount+」で配信される可能性が高い。

※参考記事:QUEERTY

(冨田格)

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