2022年6月7日サル痘最新ニュース「国内検査体制の現状と治療法は?」
6月5日、世界保健機関(WHO)は、世界で計780件のサル痘感染が確認されたことを明らかにした。これは、サル痘が地域特有の病気になっていない27カ国から、5月13日~6月2日までの間に報告されたものが対象とのこと。
サル痘は性病でも、ゲイ特有の病気でもないとはいえ、現在、欧米のゲイ・バイ男性の間で顕著に広まっている状況を鑑みると、日本のゲイにとっても他人事とはいえない。常に最新の情報をキャッチアップして、正しい対応ができるようにしておきたい。
ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ
2022年6月2日、ゲイ・バイ男性は抑えておきたい「サル痘」最新ニュース
サル痘の基礎知識をおさえておこう
WHOが発表した6月2日までに感染報告がなされている27カ国は、
イギリス、スペイン、ポルトガル、カナダ、アメリカ、オランダ、イタリア、ドイツ、フランス、アルゼンチン、メキシコ、モロッコ、アラブ首長国連邦、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、マルタ、ノルウェイ、スロベニア、スウェーデン、スイス、オーストラリア
となっている。
まずは、サル痘の基礎知識をおさえておきたい。
6月6日に「SCI Tech daily」が公開した、ウェスタン大学医学部で病理学・検査医学・疫学・生物統計学の教授Sameer Elsayed氏による「サル痘FAQ。どこから来たのか?どのように感染するのか?症状はどのようなものか?」を紹介しよう。
なぜ「サル痘」と呼ばれるのか?
サル痘(Monkeypox)は、天然痘、牛痘などを含むオルソポックスウイルス属の近縁種のウイルスである。サル痘ウイルスは、1958年夏、デンマークの研究所で飼育されていたサルに、天然痘に似た非致死性の皮膚病として発見されたのが最初だ。
アフリカの陸生げっ歯類(ネズミやリス)がウイルスの自然宿主であり、サルなどの霊長類は偶然の宿主と考えられている。
https://scitechdaily.com/monkeypox-faq-where-did-it-come-from-how-is-it-transmitted-what-are-the-symptoms/
「サル痘」の感染方法は?
動物やヒトとの密接な身体的接触、その体液、呼吸器分泌物や感染した皮膚病変からの汚染された飛沫粒子、および「フォマイト」(感染性ウイルス粒子が付着している可能性のあるシーツ、タオル、硬表面などの無生物)を介した間接的な感染により発生する。
https://scitechdaily.com/monkeypox-faq-where-did-it-come-from-how-is-it-transmitted-what-are-the-symptoms/
「サル痘」の症状は?
天然痘と似ているが、一般的にかなり軽症。潜伏期間は4~21日で、1~5日の発熱、悪寒、発汗、倦怠感、首や鼠径部のリンパ節の腫脹、圧痛などの症状が続く。
その後、小さな皮膚の斑点から丘疹(皮膚上の小さな隆起)、小水疱(透明な液体で満たされた小さな隆起)、膿疱(膿で満たされた小さな隆起)へと進行する多段階の発疹を伴う。これらは顔、手のひら、足の裏などで最もよく見られる。膿疱は、その後2~4週間で治癒する。
https://scitechdaily.com/monkeypox-faq-where-did-it-come-from-how-is-it-transmitted-what-are-the-symptoms/
「サル痘」に感染した場合は?
サル痘に感染した人はサージカルマスクを着用し、皮膚病変が治るまで覆う必要がある。タオルやシーツなどの個人用備品は共用しないようにする。頻繁に触れる表面は定期的に消毒し、汚染された衣服は洗濯し、病気が治るまで家庭内および家庭外の人との接触を避ける必要がある。
https://scitechdaily.com/monkeypox-faq-where-did-it-come-from-how-is-it-transmitted-what-are-the-symptoms/
「サル痘」は決して致死率が高いわけではないのだが、感染して発症すると顔から体のあちこちに特徴的な発疹が現れるうえに、治癒するまでは人に感染させてしまうので隔離されなければならない。
現在、ゲイ・バイ男性の間で濃厚接触により感染が広がっていることが報道されているので、クローゼットな人は周囲に強制カミングアウトするような状況になる可能性もある。また既婚ゲイや、パートナーがいる人は、「誰かと浮気した」と疑われる可能性も極めて高い。
そしてなにより、数週間も仕事を休まねばならないとなると、社会的立場すら危うくなるかもしれない。致死率が低いことは、特にゲイ・バイ男性にとっては安心材料にならないことを抑えておきたい。
世界保健機構(WHO)がゲイ・バイ男性に向けて「サル痘」に関するアドバイスを発表
国内の検査体制は?
6月7日現在日本での「サル痘」の感染報告はなされていないが、検査体制はどのような状況になっているだろうか。
6月4日に、日本経済新聞は「サル痘、日本の備えに懸念 検査1カ所のみで薬も未承認」という記事を公開した。
サル痘はPCR検査で調べるのだが、現在は東京の国立感染研究所でしか検査できないので、例えば空港の水際対策で疑わしい例が見つかっても判明するまでは数日かかるとのこと。各都道府県で検査できるようにするための専用試薬の準備を急いでいるが、検査体制を確立するまでにはまだ時間がかかるようだ。
日本経済新聞のサイトでは、無料登録すれば毎月10本まで記事を読むことができるので、この記事に興味がある人は、登録して読んでみてほしい。
致命的じゃないが発症すると厄介な「サル痘」性に開放的なゲイは最新情報を抑えておきたい
天然痘ワクチンの効果は?
天然痘の近縁種である「サル痘」には、天然痘のワクチンが効果があるという。6月6日に、FRIDAY DIGITALは、「サル痘感染拡大中!海外旅行の再開前に受けるべき『ワクチン』」という記事を公開した。
医療ガバナンス研究所の山本佳奈医師によると、
「CDC(アメリカ疾病対策予防センター)では現在、バイオテロの懸念から製造・備蓄されている『天然痘ワクチン』がサル痘予防にも少なくとも85%有効であることが過去のデータで示唆されています。もしサル痘ウイルスと接触後でも、できる限り早く打てば効果はゼロではない」
https://friday.kodansha.co.jp/article/247143
とのこと。また、天然痘の予防接種である「種痘」を受けている国内の46歳以上に関してはこう語っている。
「2004年の国内調査では、種痘中止後の世代(現在45歳以下)には天然痘やその仲間に対する抗体がまったくありませんでした。一方で、種痘世代では調査時点で8割の人に抗体がありました。特に、世代別の平均抗体価で見た場合、現在73歳以上の人たちは強い免疫を保持していました。子どもは海外ではサル痘死亡例もあり、いずれにしても若い世代のほうがリスクは高いとみられます」
https://friday.kodansha.co.jp/article/247143
まだ日本での感染報告はないが、インバウンドが再開され海外からの観光客の受け入れ開始も間近であるし、夏休みには欧米に旅行に出かける人もいるだろう。水際対策だけじゃなく、渡航前の予防接種なども必要になってくるかもしれない。
国内でのサル痘の検査体制や、ワクチン接種の体制、治療法など、まだ未定な面も多く、今後の最新情報を注視していく必要がありそうだ。
これからもジオ倶楽部では、サル痘の最新情報を紹介していく。
(冨田格)
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