2022年6月23日サル痘最新ニュース「アジアでも感染報告がはじまる、そしてゲイ・バイ男性に対する潮目が変わった」

感染症に関するデータをリアルタイムで提供する国際的な連携組織「グローバルヘルス」がまとめるサル痘の確定症例や疑い症例をリアルタイムで監視する「サル痘トラッカー(Monkeypox Tracker)」によると、6月23日(木)現在で、全世界の確定症例は3,300例を超えた。

そしてアジアでも感染報告が始まり始めたサル痘の、気になる世界のニュースをピックアップする。

アジアでの感染報告がはじまった

サル痘
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欧米各国での感染報告が増加するなか、アジアではサル痘の感染報告はなされていなかったが、6月22日(水)に立て続けにアジアでの感染報告が報じられた。

6月22日にロイターが公開した記事「シンガポールでサル痘確認、東南アジアで初」から引用する。

シンガポール保健省は21日、同国に入国した男性がサル痘に感染していたことを確認したと発表した。東南アジアでは初の感染となる。

同省によると、感染が確認されたのは客室乗務員として働く英国人男性(42)で、6月半ばごろにシンガポールに出入国していた。20日に陽性が判明し、容体は安定しているという。

https://jp.reuters.com/article/health-monkeypox-singapore-idJPKBN2O21NV

同日、今度は韓国でも感染報告が報じられた。6月22日にAFP通信が公開した記事「韓国でサル痘感染者を初確認 ドイツから帰国」から引用する。

韓国の疾病管理庁は22日、世界各国で相次いで報告されているサル痘の感染者が韓国内で初めて確認されたと発表した。東アジアでサル痘感染者が確認されたのは韓国が初めて。患者は30代で、先週末に発熱。

ドイツから21日に帰国した際、倦怠(けんたい)感や発疹といった症状の悪化が見られると空港で申告した。検査の結果、サル痘に感染していることが判明し、現在治療を受けているという。

https://www.afpbb.com/articles/-/3410969?cx_part=search

遠い欧米でのことだから、とどこか他人事のように感じていた日本のゲイも、お隣の韓国で感染報告がなされると、さすがに危機感を覚え始めたのではないだろうか。

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ゲイ、バイ男性に対する潮目が変わった

サル痘
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6月12日にワシントンポストは「サル痘のジレンマ:ゲイ男性に憎しみを抱かせることなくリスクについて警告する方法」と題する記事を公開した。

とても長い記事なので、核となる部分を要約する。

80年代にHIV感染がゲイの間で広まり始めた時は、「ゲイ特有の病気だから」と多くの人に無視されたことで、重要な情報が感染リスクが高いゲイ・バイ男性に伝わらないという問題があった。

現在、サル痘に関しては、ゲイ・バイ男性への差別につながってはいけないと「ゲイ特有の病気ではない」というメッセージが前面に出過ぎてしまうことによって、重要な情報が感染リスクが高いゲイ・バイ男性に伝わりづらいという事態が生じている。

実際、日本のマスコミ報道を見ているだけでは、ゲイ・バイ男性のリスクが高いことが今いちピント来ない人も多いはずだ。肝心なところをオブラートに包んで報じているのだから。

しかし、その潮目が変わりつつあるようだ。

6月22日にBBCニュースが公開した記事「リスクの高いゲイ・バイセクシュアル男性にサル痘の予防接種を実施へ」から引用する。

英国健康安全局(UKHSA)によると、天然痘を防ぐために作られたイムバネックスというワクチンが、サル痘に感染する可能性のある人々を守るのに役立つという。

保健当局は「ゲイやバイセクシュアルなど、男性とセックスをする男性に顕著な割合の患者がいる」ことを引き続き確認しており、「複数のパートナーがいる、乱交に参加している、ハッテン場に通っている」人に対しては、医師がワクチン接種を勧めることができるようになったと発表した。

https://www.bbc.com/news/health-61887631

感染が広がる英国では、性的にアクティブでサル痘感染のリスクが高いゲイ・バイ男性に対して、かなり直接的な警告を発する流れになってきた。

NHKワールド・ジャパンが6月23日に公開した記事「世界保健機関は、最近発生したサル痘の流行を受けて、緊急委員会を開催した」によると、

流行の広がりが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を構成しているかどうかを評価するため、(WHO)は6月23日(木)に議論を始めた。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエス事務局長は、専門家による議論を踏まえ、数日以内に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言するかどうかを決定する予定。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20220623_30/

アジアでの感染報告が始まったこと、そして英国でゲイ・バイ男性に直接的な警告がなされるようになったことを踏まえて、日本のゲイ・バイ男性にとっても他人事ではないと考え、さらなる状況の進展を注視していく必要がありそうだ。

これからもジオ倶楽部では、サル痘の最新情報を紹介していく。

(冨田格)

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