ミドル世代が悩む睡眠問題!眠りのプロが“改善ポイント”を解説する

働き盛りのミドル世代は、毎晩熟睡できているだろうか? 寝不足が続くと、仕事の効率が落ちたり、肌に悪影響が出るだけじゃなく、もっとシリアスなトラブルになる可能性だってある。

第一三共ヘルスケアが実施した20~60代の「睡眠に関する調査」を踏まえ、日本睡眠学会専門医の中村真樹先生が睡眠の質改善について解説する。

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毎日、何時間寝られてる?

■平日の平均睡眠時間で最も多い回答は「6時間台」(35.8%)

平日(仕事のある日)の平均睡眠時間について聞いたところ、最も多い回答は「6時間台」(35.8%)。また、「7時間未満」の人の合計は約7割(66.8%)となり、推奨される7~9時間の睡眠を、多くの人が取れていないことが浮き彫りになった。

図1. 平日(仕事のある日)の平均睡眠時間

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

「6時間台」の人が多いようですが、医学的にみると、働く世代の睡眠時間は7~9時間が推奨されています。「7時間未満」と回答した約7割の方は睡眠が足りていません。

睡眠不足が3~4日続くと、睡眠不足の状態に身体が慣れてしまい習慣化してしまう、いわゆる「かくれ寝不足」の状態に陥ることがあります。人により必要な睡眠時間に個人差はありますが、休日に目覚ましをかけずに眠り、平日よりも2時間以上長く眠ることがあれば、睡眠時間が足りていない可能性があります。

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「子ども・大人・高齢者それぞれで推奨される睡眠時間」出典:くすりと健康の情報局(第一三共ヘルスケア) 

あなたの睡眠満足度はどれくらい?

■「50代男性」では6割以上(64.3%)が満足していない。

次に、睡眠に対する満足度について聞いたところ、「満足していない(全く満足していない+あまり満足していない)」と回答した人は4割を超え(42.5%)、「大変満足している」「満足している」と回答した人の合計(30.2%)よりも10ポイント以上多い結果となった。

年代別にみると、50代男性の6割以上(64.3%)が「満足していない」と回答。続いて40代男性も半数以上(53.9%)が「満足していない」と回答しており、ミドル世代は睡眠に対する満足度が低い傾向がみられた《図2》。

図2. 睡眠に対する満足度

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

良い睡眠のポイントは、量(睡眠時間)・質(安定した眠り)・タイミング(規則正しい睡眠)の3点です。40~50代のミドル世代は、日常生活・仕事の自己管理は比較的できているので、ストレスや生活習慣など何かしらの影響があるのかもしれません。ミドル世代に限らず、寝不足は生活習慣病や認知症のリスクが高まるため注意が必要です。

寝ている途中で目が覚める?

■約3割が「中途覚醒」している

眠りについてから朝起きるまでに途中で目覚める「中途覚醒」の頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」という回答が約3割(27.9%)となった。週1回以上の割合を合計すると7割以上(75.3%)に上り、中途覚醒を経験している人が多いことが分かった《図3》。

図3. 一週間あたりの中途覚醒の頻度

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

入眠してから起床するまでに目が覚める「中途覚醒」ですが、原因は一概には言えず、人それぞれです。また、中途覚醒があるから良くないと単純に捉えるのではなく、“中途覚醒が原因で日中に問題が起こっているか”、ということがポイントです。

たとえば夜中に目が覚めてお手洗いに行った後、またすぐに眠れる場合はさほど問題ではありません。データとしては、年齢が上がるにつれ中途覚醒は増える傾向にあります。

8割以上が眠りの悩みがある

■最も多い悩みは「途中で起きてしまう」(41.6%)

睡眠に関して抱えている悩みについて聞いたところ、8割以上の人(81.3%)が何かしらの悩みを抱えていることが分かりった。

特に「睡眠中に途中で起きてしまう」(41.6%)人が最も多く、次に「寝ても疲れが取れない」(35.2%)、「起床後も眠気を感じる」(30.1%)という結果になった《図4》。

図4. 睡眠に関する悩み(複数回答)

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

ここ数年はコロナ禍で不眠の悩みが増えた、という声をよく聞きます。一方で、日中に眠くなる、という悩みは減ったように思います。コロナ禍での社会情勢の変化、特に働き方の変化により、在宅勤務で通勤時間がなくなったことによって、その分、睡眠時間が増えたことが影響しているようです。

しかし、最近は在宅勤務から出社勤務に戻り始めたことで睡眠が不規則になり、いわゆる「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」を起こしている人が一時的に増えた印象があります。

横になったらすぐに寝られる?

■寝つきが悪いと感じる状況の1位は「熱帯夜」(45.2%)

寝つきが悪いと感じる状況について聞いたところ、1位は「熱帯夜」(45.2%)と、約半数が熱帯夜に寝つきの悪さを感じていることが分かりった。次いで「梅雨の時期」(25.1%)や「季節の変わり目」(23.9%)という結果になった《図5》。

図5. 寝つきが悪いと感じる状況(複数回答)

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

夏の熱帯夜環境では中途覚醒が増え、睡眠が浅くなりがちです。夏場の理想的な就寝環境は湿度50~60%、室温26℃ですので、もし寝苦しさを感じるのであれば、エアコンの設定温度を見直すことが大切です。弱めの冷房を起床までずっとかけておくなど、寝ている間は快適な室温にしましょう。

また、室温だけではなく、体の内部の体温調節がとても重要です。例えば、就寝1~2時間前に入浴し、上がった体温が下がっていくタイミングで横になると眠りに入りやすくなります。

ストレスは睡眠の大敵

■睡眠の悩みの原因は「仕事や人間関係によるストレス」(37.2%)が最多

睡眠に関する悩みの原因を聞いたところ、「仕事や人間関係によるストレス」(37.2%)が最も多く、続いて「加齢」(33.8%)「仕事による疲れ」(32.9%)という結果になった。一方、「わからない」という回答も2割弱(18.4%)見られた《図6》。

図6. 睡眠に関する悩みの原因(複数回答)

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■3割が睡眠不足によって「精神的ストレス」を感じている

仕事や身体的な悩みで睡眠不足が原因だと感じていることについても、「精神的ストレス」(31.9%)が最も多く、続いて「集中力が続かない」(28.5%)「倦怠感」(25.6%)という結果になった《図7》。

《図6》の結果と合わせると、睡眠に関する悩みの原因、睡眠不足によって生じる悩みは、ともに「ストレス」が最も多く、睡眠問題とストレスが互いに悪影響を及ぼしていることがうかがえます。

図7. 仕事や身体的な悩みで、睡眠不足が原因だと感じるもの(複数回答)

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<中村先生の睡眠改善ポイント>

多くの人が睡眠不足の原因について「精神的ストレス」と回答しています。受診される患者さんの不眠症状においても、精神的ストレスが特に多い原因です。また、図6、図7の結果から分かるように、ストレスと眠りは相互に影響を与えます。

リラックス状態でなければ入眠できませんし、身体が疲れていて入眠できたとしても、ストレスを感じていると緊張状態から眠りが浅くなります。寝つきが悪くなった結果、寝不足で十分に心身の回復ができず、その状態で日中を過ごすとパフォーマンスに影響が出て、そのことでまたストレスを抱える、という悪循環に陥ります。

また、不眠の原因には精神的ストレスの他にも身体的なものや生理的なものなど、様々なものがありますが、夜に寝るときに眠れない原因を探そうとすることで上手くリラックスができず、その結果不眠になってしまうということもあるので、「明日のことは明日、考えよう」と開き直って、リラックスして就寝することが重要です。

睡眠の質を向上するための習慣

■約7割は睡眠の質を良くするために何かしら心がけていることがある

睡眠の質を良くするために心がけていることがあるか聞いたところ、約7割(69.0%)の人が該当した。

具体的な内容は「お風呂にゆっくり浸かる」(27.5%)が最も多く、「日中に運動する」(20.5%)「就寝する時間帯を決めている」(16.8%)と続いた。

図8. 睡眠の質を高めるために心がけていること(複数回答)

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※上位1~5位を記載

<中村先生の睡眠改善ポイント>

睡眠の質をすぐに上げることは難しいのですが、下げないようにすることはとても大切です。

お風呂にゆっくり浸かることは、たしかにリラックス効果が期待できますが、仕事で遅く帰宅して入浴時間の確保が難しい場合などは、睡眠時間を優先してシャワーで済ませるのがよいでしょう。

また、睡眠前の飲酒は寝つきが良くなっても、睡眠の質を下げる影響があるため、嗜む程度にした方が良いでしょう。睡眠の観点で言えば、重視するのは「リラックス」です。自分に合ったリラックス方法を見つけ、臨機応変に取り入れていくことが大切です。

中村先生が教える睡眠改善ポイントを参考にして、眠りの悩みを少しずつでも解消していこう。質のよい睡眠をとって、健康な状態で毎日を暮らすために。そして、老後のためにも睡眠の質はあげていきたい。

※「睡眠に関する調査」は、6月17日(金)~24日(金)にかけて、インターネットを使用し、全国の20~60代の有職者男女745人が回答した。

年に1度の睡眠診断運動: https://www.suimin-shindan.com/

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