【東京・中野】自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは

とかくストレス過多の現代。心優しきゲイ・バイ男性の中には、メンタルの不調を覚えている人も少なくないだろう。医師に相談したいという気持ちはあっても、精神科の診療を受けるのは少々ハードルが高いもの。そんな人に注目してほしいのが、自宅に医師が訪ねてくる訪問診療だ。

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「往診」と「訪問診療」の違いとは?

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは(イメージ画像)

家に医師が来てくれるというと「往診」をイメージしがちだが、「訪問診療」とは一体どんなものなのだろう?

「往診」とは、急病で動けない時に医師が緊急訪問し、その場で薬剤を処方してくれるというもの。「訪問診療」はどのような違いがあるのだろうか。

今回ご紹介する『中野訪問クリニック』の公式サイトに、「訪問診療」の説明が掲載されているので引用する。

毎月日時を決めて医師が訪問の上、診療することです。基本的には2週間に1回の割合で定期的に訪問し、診療や薬の処方、指導等を行っていきます。また、患者さんやご家族の方からご相談を受けた時点で、これまでの病歴、現在の病状などを詳しく伺うとともに、関係医療機関などから情報収集を図ります。

https://nakano-home-cl.com/

「往診」と異なるのは「2週間に1回の割合で定期的に訪問」という点だ。つまり定期的に通院する感覚で、医師が自宅に訪ねてきて診療してくれるということ。

独居の高齢者や在宅介護の人にとってはありがたい存在だが、『中野訪問クリニック』の場合は精神科も診療科目になっているところが注目したいポイントだ。

精神科受診のハードルが下がる

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは(イメージ画像)

仕事も順調だし、同じゲイの友達もいて、周囲からはゲイ人生を謳歌しているように見える人は少なくない。しかし、心の中にはどこか「孤独」を覚えていたり、家庭を持たない自分の将来への漠然とした「不安」を抱いていたりして、メンタルに問題があると語る人がいるのは事実だ。

自分のメンタルの問題と向き合い専門家に相談することを選択し、精神科を受診して通院するのは最善の方法だと思える。しかし初めての場合、精神科の門をくぐることのハードルは決して低くない。

自分が精神科を受診するという事実を受け入れることの困難さに加え、精神科を受診することを人に知られたらどうしようという不安も理解できる。

しかし、そこで躊躇していては事態はより悪化してしまうことも考えられる。

では、自宅に精神科の医師が訪ねてきて受診できるとしたらどうだろう。精神科を受診することへのハードルが、かなり低くなるのではないだろうか。

精神科の訪問診療を実施している『中野訪問クリニック』の五十嵐先生に、精神科の訪問診療とはどのようなものなのか、お話を伺った。

「訪問診療」だからこその利点とは

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
『中野訪問クリニック』五十嵐先生

ジオ倶楽部(以下”ジ”):中野訪問クリニックでは精神科の訪問診療を行っているということですが、これはどのようなものなのでしょうか? 

中野訪問クリニック 五十嵐医師(以下”五”):精神的疾患を理由に通院が困難な方を対象に、医師がご自宅に定期的に訪問し、診療を行うのが「訪問診療」です。精神疾患をお持ちで、引きこもりがち、定期通院が途絶えてしまっている方、かかりつけが精神科がない方などが主に対象です。ご自宅にいながら処置、薬の処方などを受ける事ができます。

ジ:通院での診療と、訪問診療で大きく異なる点はありますか?

五:ご自宅での診察になるので、プライバシーに配慮し、症状を伴わないお悩み、困りごとをじっくりと時間をかけてお伺いできます。また患者さんの生活環境といった情報が多いこともメリットの一つです。時間をかけることで信頼関係を築き、病状だけでなく症状の管理・生活指導・服薬状況確認等を含めたカウンセリングを行うことができます。

ジ:精神科の訪問診療において、もっとも重要視されている点や、配慮されている点を教えてください。

五:精神疾患を持つ患者さんに対しては、信頼できる人物として見てもらえることをまず優先しています。治療の提案や薬に服用を勧めることは、信頼関係を築けた後にゆっくりとご相談させていただいております。

医師を目指すきっかけとは

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
『中野訪問クリニック』五十嵐先生

ジ:五十嵐先生が医師を目指すことになったきっかけを教えてください。

五:祖父は末期の大腸がんで病院で亡くなりました。今とは異なり、当時は終末期は病院で過ごすことしか出来なかったのです。選択肢のひとつとしての「自宅での生活を優先した在宅医療」を普及させたい。この一心で医師を目指そうと思うようになったのです。

ジ:いわゆる外来のクリニックではなく、訪問診療を始めようと考えた理由はなんでしょうか?

五;患者さんが自宅にいながらにして医療サービスを受けられることは特に、医療に対して不信感を持っていて通院が困難な患者さんにとって大きなメリットだと思います。病気になる前の予防的な観点や将来の不安に対して総合的な相談できる主治医を担える訪問診療は魅力的だと感じました。

ジ:うつ病やパニック障害、不安障害、摂食障害などを抱えて悩んでいるゲイ・バイ男性はいますが、精神科に通院するのは心理的なハードルが高いと聞いたことがあります。それは、自分のセクシュアリティを明らかにすることに抵抗を覚える人が多いようです。ゲイ・バイ男性の診療をすることに関して、構えてしまったり、違和感を覚えたりということはあるでしょうか?

五:その心配は全くありません。その点を気にされて本来の病気の治療から遠ざかっている方、また将来的に病気だけでなく様々な悩みを抱えている方の要望を聞いて、医療の観点から様々なご提案をさせて頂きたいと思います。

住み慣れた環境で受診できることの意味

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
『中野訪問クリニック』五十嵐先生の診療中イメージ

ジ:中野エリアは、都内でも有数のゲイが多く住んでいる地域です。それはご存知でしたか?

五:開業した当初は知りませんでしたが、診察する中でそういった症状や健康相談の不安を抱えてる方が多くいることを知りました。住み慣れた環境で生活を継続するには地域密着型のクリニックが必要であると考えています。ご高齢の方も増えており、将来に対する不安もあるようです。そういった不安全般に対する当院が担っていきたいと思います。

ジ:最後にこの記事を読んで中野訪問クリニックに興味をもったゲイ・バイ男性に一言お願いします。

五:住み慣れた地域での生活を送りながら、総合的な医療のご相談窓口となり皆様を支えていければと思います。私たちが目指すべきことは「人間の温かさ」や「ぬくもり」を患者さんに提供することです。「訪問診療とはどんなものか?」など気軽にご相談ください。

精神科以外の診療科目も受診できる

自宅で気軽に精神科の診療を受けられる訪問診療とは
『中野訪問クリニック』公式サイトより

『中野訪問クリニック』の訪問診療でカバーしているエリアは、中野区・新宿区・杉並区の全域と、豊島区・練馬区・板橋区の一部。

診療科目は、精神科以外に、内科・外科・皮膚科もある。たとえば精神科での訪問診療を頼んだ場合でも、内科・外科・皮膚科など他の診療科目での相談も可能だとのこと。受診料は、月2回の定期診察の場合、医療保険(1割負担)で5000円程度。

ゲイ・バイ男性であると明らかにしている人の診療をした経験もあり、セクシュアリティに関しての偏見はないと語る五十嵐先生。メンタルの不調を自覚しながらも精神科受診のハードルが高いと感じている人は、訪問診療での受診を検討してみるのもいいかもしれない。

最後に読者に、メンタル不調の自覚があるか尋ねてみる。

『中野訪問クリニック』公式サイト

(冨田格)

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