【速報5】退役軍人とドラァグがゲイクラブ銃乱射事件の犯人を取り抑えた

11月19日(土)深夜に起きた米国コロラド州コロラドスプリングスのゲイクラブ「Club Q」での銃乱射事件、発生直後に店内にいて犯人を取り抑えたのは退役軍人ともう一人の男性、そしてドラァグクイーンだと判明した。

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娘たちと過ごす楽しい夜が一変した

Club Q
リチャード・フィエロ AP/Jack Dempsey

11月19日(土)深夜、コロラド州コロラドスプリングスのゲイバー「Club Q」は、多くの客で賑わっていた。イラクに3回、アフガニスタンに1回派遣された米陸軍退役軍人のリッチ・フィエロもその一人だ。

フィエロは、娘のカッシーとそのボーイフレンドであるレイモンド、その他数人の友人と一緒に誕生日祝いやドラァグショーを見るために来店していた。彼らにとってとても楽しい夜になるはずだったが、12時直前に事態は一変した。

突然、店内に銃声が鳴り響き、レイモンドが撃たれ致命的な傷を負ったのだ。

その時フィエロは、「行け!火のそばへ。奴の行動を止めろ。誰も怪我をしないように」と反射的に行動を開始した。

退役軍人とドラァグクィーンが協力

Club Q
REUTERS/Alyson McClaran

フィエロはまず、飛んでくる銃弾を避けるために身をかがめ、次に犯人の武装を解こうと動いた。弾薬のコルダイト(ひも状の無縁弾薬)の匂いを嗅ぎ、閃光を見て飛び込み、友人の一人を後方に押し倒した。

フィエロが顔を上げると、防弾ベストを着用した犯人と、クラブのパティオに逃げ込んだ客の姿が見えた。フィエロは犯人に近づくと防弾ベストをつかんで引き倒し、側にいたトーマス・ジェームズという客に、「ライフルを(犯人の)手の届かないところに移動させろ」と叫んだ。

フィエロが殴りつけ、ジェームズが頭にキックを連打したことで動けなくなった犯人は、持っていたピストルに手を伸ばそうとした。しかし、フィエロはそれを掴みとり、犯人を殴打した。

「私は彼を仕留めようとしたんだ」と彼は言った。

その時、ショーに出演するために来ていたドラァグクィーンが近くに来たので、フィエロが犯人を蹴るように言ったところ、ドラァグクイーンはヒールの高い靴を犯人の顔にめりこませた。

守れなかった”家族”に対する悲痛な思い

Club Q
AP

フィエロとジェームスは、数分後に警官が到着するまで、犯人を押さえ続けた。駆けつけた警官は状況をすぐに把握できず一時的にフィエロに手錠をかけ、パトカーに乗せた。

コロラドスプリングス警察のエイドリアン・バスケス署長は後に、「フィエロの行動は勇敢だった」と称賛し、「私は、英雄的な行動をしたにも関わらず彼のように謙虚である人に会ったことがない。彼はただ、『家族を守ろうとしたんだ』と言っただけだ」と語った。

フィエロはこう語っている。「私が助けられなかった人が5人いる。そのうちの1人は、私にとっての家族だった」と娘のボーイフレンドであるレイモンドの死に衝撃を受けている。

さらに彼は『Club Q』に集う性的マイノリティの人たちについて「私は彼らを愛している、愛しかないんだ」と表した。そして、あの場にいた誰もが「あの時に受けた痛みをこれから背負って生きていかなければならない」と、退役軍人だからこそ分かる心の傷の深さを憂慮しながら、最後にこう付け加えた。

「犯人には今後法廷で会うことになるだろう。そしてその時、犯人は自分がしでかした事の重大さを思い知ることになるだろう」

※参考記事:FOX NEWS/abc4News

(冨田格)

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