【高齢者のキーパーソン】ゲイのケアマネが本音で語り合う交流会が開催
介護関係の仕事に就くゲイ・バイ男性は少なくない。同じ職種のゲイ・バイ男性同士が知り合い、それぞれが抱える問題などをざっくばらんに話せる「ゲイのケアマネ交流会」が開催される。
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ケアマネジャーは在宅介護のキーマン
ゲイ・バイ男性が就く職種の中で医療介護系は大きな割合を占める。ジオ倶楽部ではゲイ・バイ男性の仕事に注目しており、1月に『「ゲイが運営するケアマネ事業所」が東京で増えていく可能性を考える』という記事を公開した。
日本社会の高齢化が加速度的に進むなか、「介護職」への注目は集まる一方だ。
高齢化が進めばいわゆる”老人ホーム”のような施設は不足していくのは必然であり、在宅での介護を求められることになる。そんな在宅介護のキーマンとなるのが『ケアマネジャー』と呼ばれる介護支援専門員だ。
高齢ゲイにとっては、ゲイ当事者であるケアマネジャーがいることはとても心強い。そんなゲイ当事者のケアマネジャーを対象にしたイベント「ゲイのケアマネ交流会」を企画したアライアンサーズの久保氏に話を聞いた。
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身元保証サービスの必要性
ジオ倶楽部(以下”ジ”):まずは独身のゲイの高齢者にとって安心となる身元保証サービスの必要性からお聞かせください。
久保(以下”K”): 入院時には「身元保証人(金銭の連帯保証人)」「身元引受人(死亡時の遺体引取と火葬対応)」「緊急連絡先(病状説明)」を病院から求められます。子供など家族・親族がいないおひとり様ゲイには必要なサービスです。
ジ:例えば緊急搬送された場合など、病院は入院を受け入れてくれるのですか?
K:最近千葉県内のI市であった事例をご紹介します。先日まで当社がご支援したAさんはタバコをコンビニに買いに行く途中で倒れ、緊急搬送されました。しかし、緊急搬送先などがなく、私立病院を中心に入院は断られ続けました。
ジ:それで顛末はどうなったのですか?
K:幸い、公立病院に空きがあり、入院が出来たため、九死に一生を得ました。しかし、国は病院のベッド数を削減していますので今後緊急入院はより困難になることが予想されます。つまり、救急搬送しようにも身元保証人や身元引受人がいないことで受け入れ先がなく、たらい回しにされる可能性が高まるということです。だからこそ、身元保証人の選定は早めにすることをお勧めします。
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HIV陽性を理由に入所できない現実
ジ:ゲイの場合は、HIVやエイズなど医療受入時に理解が必要なことも多いのではないですか?
K:そうですね。私も医療介護業界へコンサルティングやアドバイザーを兼務しているため感じますが、医療よりも介護は特に受入に難色を示す事業者は少なくないと感じます。
ジ:「U=U」の状態で感染リスクが少ない現在もですか?
K:残念ながら、啓発の問題もあると思います。十年前にとある都立病院(エイズ拠点病院)が訪問看護事業者向けにセミナーを開催したそうで、受入先は徐々に増えているとはいえ、介護に関しては今だ拒絶が多いと聞きます。
ジ:そのような実情でケアマネジャーの役割とはどのようなものなのですか?
K:その方の介護度によって、介護保険で使える点数が決まります。その配分や事業者(訪問看護や訪問介護、デイサービスなど)を決めるのがケアマネジャーの仕事です。
ジ:ゲイのことを理解しているケアマネジャーがいることは心強いことですね。
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ケアマネジャーの将来設計
ジ:ケアマネジャーが重要なポジションにあることはわかりました。久保さんはケアマネジャーの皆さんとどのような将来設計を考えていますか?
K:誤解のないように言っておくとカミングアウトをしなくてもいいと思っています。あくまで内々でそのようなネットワークがあるというだけで良いかと。あとは、ゲイのケアマネジャーの皆さんがしっかりした収入を得る必要があります。
ジ:ケアマネジャーの皆さんが高い報酬を得る方法はどうすればいいですか?
K:ケアマネジャーが5人以上で事業所を構成して、保険収入の加算を取ることです。
現在23区西部で、そのような居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)の設立プロジェクトを動かしています。今年の5月からスタートしますので、興味のあるケアマネジャー資格のある方や受験生の方は是非お声がけください。 将来的な目標は主任ケアマネジャー年収500万円、ケアマネジャー年収450万円を実現したいと考えています。
ジ:既に参加している人はいますか?
K:2月上旬時点で7名です。実際に一緒に働くかどうかは別としても、ケアマネジャー同士で連携することは多くあります。緩やかな連携から一人でも多くの高齢者のQOL向上に貢献出来るといいですね。
久保さんはゲイのケアマネジャーが集まり、同じセクシュアリティかつ同業者ならではの腹を割った話ができる「ゲイのケアマネ交流会」を、3月10日(日)に開催する。場所は調理室つきの会議室で、参加者全員で焼肉などの調理をしながら交流しようという企画だ。
<対象者>
・主任orケアマネ資格者
・ゲイ同士で居宅介護支援事業所をやりたい
・ケアマネで独立を考えている
・居宅介護支援事業所で働いてみたい
・ケアマネ受験生または受験を考えている
<会費>
2,000円 ※焼肉用肉や野菜などは用意するが、差し入れは大歓迎とのこと。
申込みURL:https://www.kokuchpro.com/event/c5c21b667caa39fa0a1e8abbe1bcbc2f/
ゲイの老後については課題が多い。独身であるがために健康状態を他人が気づいてくれる環境を自らつくる必要がある。中野区などゲイが老後を過ごすには心強い街づくりが進みつつある。今後もジオ俱楽部は、ゲイの老後支援の情報を追っていく予定だ。
■アライアンサーズ株式会社
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