ノンケに恋した”あの頃”を思い胸締め付けられること必至な名曲を改めて聞く
2013年、10年前にアメリカで話題を集めたMVがある。地方在住のゲイの青年が、ノンケに恋した切ない想いを歌い上げたスティーブ・グランドの『All American Boy』。多くのゲイの共感を集めたその曲と、現在は「セクシー番長」に変貌したゲイ・シンガーを紹介する。
際どいカットが特徴の男性水着&下着
1990年2月28日、米国イリノイ州シカゴで生まれたスティーブ・グランド。現在33歳のグランドは、シンガーであり、かつ自身がデザインする下着&水着ブランド「グランド・アクシス (Grand Axis)」のオーナーでもある。
際どいカットが特徴の水着、下着を自らモデルとなって着用してSNSで公開するだけではなく、水着一枚だけのお宝画像を集めたカレンダーも毎年発売している。
「セクシー番長」として36万以上のフォロワーを持つグランドだが、10年前に世に出てきたときは、今とは真逆な田舎育ちの純朴なゲイの好青年という印象が強かった。
田舎育ちのゲイの切ない青春時代
2013年7月、グランドはクレジットカードを限度額まで使い7,000ドルかけ制作したMV『All-American Boy』をYou Tubeで公開すると、約1週間で100万回再生を超え、一気に注目が集まった。
自分がゲイであることを誰にも明かせないままの10代を過ごした経験がある人なら、どこか自分の過去を重ねて胸キュンしてしまいそうな『All-American Boy』のMVをご覧いただこう。
周囲にゲイの知り合いもいなくて孤独なゲイの青年が、幼馴染や友人など側にいるノンケに恋をしてしまうことはありがち。何気ない表情や目線、スキンシップにときめきを覚えてしまうのもまた仕方のないこと。
とはいえ相手はノンケなのだから、こちらと同じような恋愛感情を抱いてくれるはずもない。
そんな切ない青春時代の想いは、世界中の多くのゲイに共通するものなのかもしれない。
今の時代ならではのゲイの若者像
逃げ場のない田舎で孤独を覚えるゲイの青年の姿を歌った『All-American Boy』に続きグランドが発表したMV『Stay』は、舞台を少し都会に移し、ゲイであることが周囲の仲間に当たり前に受け入れられている環境を描いた。
『All-American Boy』と『Stay』、こ2曲でゲイの心を捉えたグランドは、以降、ゲイシンガーならではの作品を発表し続けていく。
ゲイの好青年からセクシーな大人のゲイへ
13歳までにゲイであることを自覚したグランドだが、両親は厳格なキリスト教信者であり、グランドは教会のセラピストから数年間に渡る「ゲイ・セラピー」を受けさせられた。ノンケとして幸せに生きることができる、と誘導しようとするセラピストに従うこともなく、グランドは自分の生き方を曲げることはしなかった。
歌手活動と並行して2019年より下着&水着ブランド「グランド・アクシス (Grand Axis)」を立ち上げた。そこから一気に露出度高めな画像をSNSに投下していくこととなる。『All-American Boy』当時とは、印象が180度変わったような驚きもあるのだが、実はグランド自身は被写体として肉体をカメラに晒すことに抵抗はなかったようだ。
『All-American Boy』をリリースする以前、別の名前でモデルとして活動していたグランドはオーストラリアのゲイ・メディア『DNA magazine』でカヴァーに登場している。
ゲイの気持ちを歌う共感度高いシンガーとして、そしてワイルドな魅力を振りまく「セクシー番長」として、スティーブ・グランドには、これから注目していく。
(冨田格)
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