【全文公開】NBLのプロ選手がチームメイトの前でカミングアウトした瞬間
オーストラリアのナショナル・バスケットボール・リーグ（NBL）所属のプロ選手アイザック・ハンフリーズが、チームメイトの前でカミングアウトする動画を公開し、世界中で大きな関心が集まっている。
新チーム加入にあたってカミングアウト
1988年生まれのアイザック・ハンフリーズは、現在24歳。プロ・バスケットボール選手としてのキャリアは、2017年にシドニー・キングスからスタートした。以降、いくつかのチームを渡り歩き、新たにメルボルン・ユナイテッドに所属した。
新チームに所属するにあたり、この数年間悩んでいた自分の問題を、チームメイトに、多くのファンに対して伝えようと決めた。そしてチームメイトの前でカミングアウトする様子、その後のチームメイトの反応を収めた動画をSNSで公開した。
アイザック・ハンフリーズの語ったこと（全文）
これは、私の人生の中で最も難しい話のひとつになるでしょう。
でも、人生とはつらいことにぶちあたり、そこから学び乗り越えることで、それ以前とは違う自分になれることだと考えています。
だから少しの間、私に時間をください。私自身と私の将来について、皆さんに知っておいていただきたいことがあります。
この数年間、私はとても暗く、とても孤独な状況に落ち込んでいました。自分が自分であることができず、命を絶とうとも思ったのです。私がここまで落ち込んでしまった主な理由は、自分のセクシュアリティと、自分がゲイであるという事実を受け入れることがとても困難だったからです。
自分のことが、嫌で嫌でたまらなくなってしまったのです。
プロのバスケットボールの世界で、ゲイである私には居場所がないように思えました。しかし、プライドと幸せと喜びに満ちたコミュニティに参加して初めて、私は大きな目覚めを得ました。
でも同時に疑問も湧いてきました、ようやく自分のことを理解できてもう隠れていたくないと思えたのに、このままバスケットボール選手として新しいチームに参加していいのか、と。だから、このチームに参加するなら、公にカミングアウトして、みんなに知ってもらおうと思ったんです。
アスリートだからといってセクシュアリティを隠す必要はなく、堂々と生きていけるんだということを。
私たちプロのアスリートは、人々の模範となることを求められています。
実際、世界中には、毎日苦労の連続で立ち上がる方法も分からず、どうやって生きていけばいいのかわからない人たちがたくさんいます。私は、そんな気持ちを実感しているので、その人たちの代表として活動したい。
これが、今の私の目標です。
自分が誰であろうと、何をしようと、自分が望むものになれるということを、みんなに知ってもらいたいのです。
ゲイでも『ビッグ・アイス（ダイヤ、宝石のように輝く存在）』になれる、そしてゲイでも偉大なバスケットボール選手でいることができます。やりたいことは何でもできるのです。
それは、あなたのセクシュアリティや、あなたが誰であるか、あなたが誰であるべきか、あなたが誰であると期待されているかということと、何の関係もありません。
私はただ、自分らしくありたいと考えています。私の人生の目的がはっきりとわかったので、これから全力で頑張っていきます。
ハンフリーズ選手を支えるコメント
アイザック・ハンフリーズ選手は、オーストラリアの男子バスケットボール選手として、またNBLで初めてゲイであることを公表した選手として、歴史に名を刻むことになった。
世界最高峰のバスケットボールリーグでプレーしながらゲイであることを公表した男子バスケットボール選手は、2013年にカミングアウトしたNBAのベテラン選手ジェイソン・コリンズに続いて2人目だ。
メルボルン・ユナイテッドの最高責任者であるニック・トゥルエルソン氏はこう述べている。
「今日、アイザックの旅は驚くべき一歩を踏み出しました。クラブとして、我々は心から彼を応援しています。クラブのメンバーとしてだけでなく、一人の人間として。これは、彼個人にとってだけでなく、世界規模の男性スポーツにとっても記念すべき出来事です」
またNBLのコミッショナーであるジェレミー・ローリガー氏は、ハンフリーズ選手がリーグから常に高い評価を得ており、今回の発表後も彼とともに歩んでいきたいと述べた。
「アイザックは今日、そして彼のキャリアの中で、明らかに彼個人にとって重大な苦痛と混乱の原因となっていることに対処するために、立派に行動しました。バスケットボールは人と人を結びつけるゲームであり、今日ほどそれが顕著に表れた日はありません」
自分自身の悩みと折り合いをつけ、人生の目標を定めてカミングアウトしたアイザック・ハンフリーズ選手。これからの活躍に期待したい。
メルボルン・ユナイテッド公式サイト：https://www.melbourneutd.com.au/
※参考記事：The Guardian
（冨田格）
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