「もう隠すのは嫌だ」恐れずに自由を求めカミングアウトしたサッカー選手
2月13日、チェコ共和国のプロサッカー選手ヤクブ・ヤンクトがSNSに投稿したカミングアウト動画が、大きな話題を呼んでいる。動画のなかで「もうもう自分を隠したくない」と語ったヤクブ・ヤンクト選手の言葉を紹介する。
ヤクブ・ヤンクト選手の競技キャリア
1996年1月19日にチェコ共和国のプラハで生まれたヤクブ・ヤンクト選手は、現在27歳。サッカー少年だったヤンクトは、2002年からユースのクラブに所属してサッカーに打ち込んできた。
2015年から、イタリアのウーディネを本拠地とするセリエAのサッカークラブ「ウディネーゼ・カルチョ」に所属。
「ウディネーゼ・カルチョ」はプロビンチャと呼ばれる地方都市の小規模クラブで、海外から無名の有望な若手選手と契約し育成、その選手が大きなクラブと契約することで経営を成り立たせている。
ヤンクト選手も4年間の在籍中に他クラブへのレンタル移籍を経て、 2019年にはイタリアのジェノを本拠地とするクラブ「ウニオーネ・カルチョ・サンプドリア」に移籍。2021年はスペインのヘタフェに本拠地をおくラ・リーガの「ヘタフェCF」でプレー。
2022年からは、故郷プラハを本拠とするチェコ一部リーグの「ACスパルタ・プラハ」に在籍している。
2017年と2021年にはチェコ代表チームにも招集されるなど、プロ・サッカー選手として順調に活躍しているのだが、ヤンクトにはゲイであることを隠し続けてきたという、心に大きな重しがあった。
ヤクブ・ヤンクト選手が伝えたいこと
2月13日、ヤンクトはSNSにカミングアウト動画を投稿した。
こんにちは、私はヤクブ・ヤンクトです。
みなさんと同じように
私には強みがあります。
弱点もあります。
私には家族がいます。
友人もいます。
私には仕事があり、長年にわたり、真剣にプロフェッショナルとして情熱を持って、最善を尽くしてきました。みなさんと同じように
私も自由に生きたいと思っています。
恐れずに。
偏見なく。
暴力もなく。
でも、愛とともに。私は同性愛者です。もう自分を隠したくありません。
ヤンクトが在籍する「ACスパルタ・プラハ」の担当者は、このような声明を発表した。
「ヤクブ選手は、少し前にクラブに自分の性的指向についてオープンに話しました。それ以外はすべて彼の私生活に関わることです。これ以上、何も言うことはありません。ヤコブ選手を私たちはサポートしています。ヤコブ選手が自分らしく人生を生きることが、何より重要です」
2021年に所属した「「ヘタフェCF」の広報担当者は、こう語った。
「ヤクブ・ヤンクト選手に最大限の敬意を表し、無条件にサポートします」
FIFAの担当者は「私たちは皆、ヤクブとともにある。サッカーはみんなのものだ」と表明している。
2022年5月には「ブラックプールFC」所属の17歳のプロサッカー選手ジェイク・ダニエルズがカミングアウト。9月には、スコットランドの「ガラ・フェアディー・ローバーズFC」所属のザンダー・マレーがカミングアウトした。
1990年にカミングアウトしたジャスティン・ファシャヌ選手が辿った決して幸福とはいえない短い人生という先例が、サッカー選手にとってカミングアウトできない理由となっていたようだが、ここにきて時代は大きく変わり始めているようだ。
※参考記事:attitude uk
(冨田格)
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