【リアル過ぎ】ゲイを見事に演じた14人の愛すべきノンケ俳優
「この人、本物のゲイだと思ってた」
ゲイ・バイ男性が見ても違和感がないゲイ演技を見せるノンケの俳優は少なくない。あなたにも、強く印象が残っているゲイを演じたノンケ俳優がいるのではないだろうか。そんな名演技を見せた14人のノンケ俳優を紹介する。
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目次
ホアキン・フェニックス問題が勃発!
最近、米映画界で話題になったのが「ホアキン・フェニックス問題」だ。
映画『ジョーカー』でオスカーを受賞したホアキン・フェニックスが、トッド・ヘインズ監督と進めていた新作映画のプロジェクトから降板したことが発表された。
タイトル未定のこの作品は、フェニックス自身が監督に持ち込んだ企画であり、フェニックスと監督、そしてジョン・レイモンドと共同で脚本を執筆した。
1930年代のロスアンゼルスを舞台にした、レーティングがNC-17の過激な性描写のあるゲイの物語になるはずだったという。しかしヘインズ監督のフェニックスの役柄に対する要求が激しくなったことに恐れをなしたのか、フェニックスは降板し、プロジェクトは宙に浮いた状態となってしまった。
兄の故リバー・フェニックスは映画『マイ・プライベート・アイダホ』でストリートキッズのゲイの売春夫という過激な役柄を怯むことなく見事に演じ切ったというのに、弟のホアキンはなんと意気地が無いことだろう。このニュースを知った映画ファンからは、幻滅したという声が多いという。
そこで今回はホアキンのように怯まずに、ゲイ役を見事に演じてきた14人のノンケ俳優を紹介する。
ダニエル・クレイグ/ボンドからゲイに
歴代のジェームズ・ボンド役者の中でも人気も評価も圧倒的に高いのは、といえばダニエル・クレイグを挙げる人は多いはずだ。
そんなクレイグだが、ボンド卒業後は立て続けにゲイ役を演じている。まず大ヒットした映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』で演じた風変わりな探偵ブノワ・ブランは男と同棲しているゲイ。
そして先日ベニス国際映画祭でプレミア上映されたクレイグ主演の新作映画「Queer(原題:クィア)』は、まさにゲイの物語。
実はボンド役を演じる以前、1998年の映画『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』では、画家フランシスコ・ベイコンの同性の恋人ジョージ・ダイアーを演じていて、ゲイ役は得意なのかもしれない。
『ナイブズ・アウト』の新作も進行中であり、今後もさまざまなゲイ役を演じてくれそうだ。
トム・ハーディ
2015年の映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で大ブレイクしたトム・ハーディ。見るからに野郎くさい風貌で、世界的にゲイ人気も高い。
ハーディは2015年の映画『レジェンド 狂気の美学』で、ゲイのギャングであるロニー・クレイと双子の弟レジーを一人二役で見事に演じて見せた。
今秋には完結編が公開されるヒーロー映画『ヴェノム』シリーズでは、肉体に寄生した宇宙生物とブロマンスを超えたイチャイチャぶりを披露している。
野郎くささと、どこか可愛い雰囲気が同居するハーディが、今後どんなゲイを演じるのか目が離せない。
ペドロ・パスカル
ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で、パンセクシュアルの王子オベリン・マーテル役を演じてブレイクしたペドロ・パスカル。
男臭い雰囲気が全米のゲイのハートを捉え、「理想のダディ」にパスカルの名を挙げる人も多いという。
今年日本で公開したペドロ・アルモドバル監督の短編映画『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』では、ゲイのカーボーイを演じて評判を呼んだ。
ポール・メスカル
2020年のドラマ『ふつうの人々』で注目を集め、2022年の映画『aftersun/アフターサン』ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたポール・メスカル。
今年日本で公開された映画『異人たち』では、ゲイ俳優アンドリュー・スコットと恋人役に。微妙な感情表現から、大胆なラブシーンまで、ゲイが見ても違和感のない演技を見せた。
注目度が高まるメスカルの新作は、リドリー・スコット監督の映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』。ペドロ・パスカルとの共演にも注目だ。
ガエル・ガルシア・ベルナル
Amazonプライムビデオのオリジナル映画『カサンドロ リング上のドラァグクイーン』で、伝説的なゲイのルチャリブレ・レスラーを演じるベルナルは、メキシコ生まれのイケメン俳優。
2001年の『天国の口、終わりの楽園』では親友と共に年上の女性と3人での性的交渉の場面を演じた。2004年にはペドロ・アルモドバル監督の映画『バッド・エデュケーション』で主演のゲイの役を演じた。
ジェイク・ギレンホール
2005年の『ブロークバック・マウンテン』で演じたゲイのカウボーイ役は、あまりにも鮮烈な印象を残した。ジャックを演じられたのは彼だけだろうと思わせるほどの、説得力ある演技を見せた。
大作映画から小さな作品まで、さまざまな役をこなせる演技派のギレンホールは、2019年のNetflix映画『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』で風変わりなクィア美術評論家を演じた。現在準備中の、製作と主演を務めるミュージカル『ファン・ホーム』の映画化でゲイの父親役を演じる予定となっている。
スタンリー・トゥッチ
2006年『プラダを着た悪魔』のゲイのファッション・ライター役で強烈な印象を残したスタンリー・トゥッチは、他にもさまざまなゲイの役を演じてきた。
1996年の『デイトリッパー』や2014年の『ヴェルサイユの宮廷庭師』といった小品から、『プラダを着た悪魔』や2010年の『バーレスク』などの大作映画でも。
コリン・ファースと共演した2020年の『スーパーノヴァ』では、認知症がはじまりだした高齢ゲイの役を演じ、印象に残る。
ジェレミー・アーヴァイン
2015年の『ストーンウォール』でゲイの青年役で主演。実際に起きた「ストーンウォールの叛乱」をベースにした作品ながら、アーヴァイン演じる架空の白人ゲイを主役にたことで史実を捻じ曲げた作品として評価も興行成績も最悪に終わる。
しかしイケメンでマッチョなアーヴァインは着実にキャリアを重ね、2021年の映画『ベネディクション(Benediction)』で性に奔放なゲイの役を演じた。
映画『ボーン』シリーズのスピンオフ・ドラマである2019年の『トレッドストーン』では、やたらと全裸に剥かれ飴とムチで殺人マシーンへと洗脳されていく描写がたっぷりで、ゲイにとっての眼福な存在となった。
マット・デイモン
1999年の『リプリー』では、裕福な家系の青年に邪な願望を抱きつつも、精神的に残酷に傷つけられアクシデントから青年を殺害し、自分が裕福な青年にすり替わっていくという繊細で複雑なゲイの役を見事に演じた。
2013年のスティーブン・ソダーバーグ監督の『恋するリベラーチェ』では、派手なコスチュームプレイで大衆の人気を博し「世界が恋したピアニスト」と称されたリベラーチェの同性の恋人役を演じた。整形とドラッグに溺れお互いに深く傷つけあうという、見る方が息苦しくなるカップルをマイケル・ダグラスと共に熱演。
ロビン・ウィリアムズ
1996年の『バードケージ』では、ゲイ・クラブのオーナーカップルをネイサン・レインと共に軽妙に演じた名優ロビン・ウィリアムズ。
そのキャリアではさまざまな役を演じてきたが、晩年の2014年の映画『シークレット・ロード』で演じた既婚の高齢クローゼット・ゲイの役は印象深い。ずっと自分を押さえつけて生きてきたクローゼットなゲイが男娼に入れ上げたことで夫婦関係も仕事のキャリアも崩壊させていくという、あまりにも切ない役を熱演した。
フィリップ・シーモア・ホフマン
2014年に亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンは、個性的な演技派として知られているが、キャリアの中で演じたゲイの役も印象に残っている。
1997年の『ブギーナイツ』では、マーク・ウォルバーグ演じるノンケでドラッグ中毒のポルノ男優と愛を交わす撮影スタッフのスコッティを演じた。
また2005年の『カポーティ』では、ゲイの小説家トルーマン・カポーティ役が高く評価され、アカデミー賞主演男優賞を獲得。
性別適合手術のための資金を貯めようとする性同一性障害の役を演じた1999年の『フローレス』も印象的な役だった。
ティモシー・シャラメ
まだ27歳の若き大スター”ティモシー・シャラメ”がゲイ役を演じたのは、2017年の『君の名前で僕を呼んで』のみだが、主役のエリオ役が圧倒的に高い評価を得た。
映画化されたのは原作小説のほんの一部にすぎず、ルカ・グァダニーノ監督は続編構想を持っているようだが、共演のアーミー・ハマーが私生活のトラブルで俳優業を休業している状態であり、実現できるかは不透明だ。
ユアン・マクレガー
2009年の映画『フィリップ、きみを愛してる』では、刑務所で知り合ったサイコな詐欺師(ジム・キャリー)に翻弄されるゲイ役を演じたユアン・マクレガー。
ところが、2021年のNetflixオリジナル・シリーズ『ホルストン』では一転。センスと才能に恵まれながらも心に抱えたコンプレックスの闇のせいで、一旦激すると周囲の人間を過剰に攻撃してキャリアも人間関係も自ら崩壊させていった、攻撃的なゲイのデザイナー”ロイ・ホルストン”を見事に演じた。
若き日のオビ=ワンを演じた『スターウォーズ』プリクエル三部作における、クワイ=ガン・ジンやアナキン・スカイウォーカーとの関係にブロマンスを超えた雰囲気が漂うのも、ユアン・マクレガーの演技がゲイ達者ゆえなのかもしれない。
コリン・ファース/ゲイ役で輝くノンケ
1984年『アナザー・カントリー』2008年『マンマ・ミーア!』2009年『シングルマン』、そして2020年『スーパーノヴァ』と、キャリアの要所要所でゲイ役を演じ、いずれも高評価を得ている。
トム・フォードの監督デビュー作『シングルマン』では、同性パートナーを失ったとてつもない喪失感と同時に、若い男を見るとつい心がときめいてしまう中年ゲイの哀しい性を見事に演じた。ゲイ役に限らず評価の高い俳優だが、ゲイを演じるとさらに輝いて見える珍しい存在。
ゲイという設定なのか明らかにはされていない『キングスマン』でのハリー・ハート役も、ゲイ的気配が濃厚に漂って見えるのは意図した演出なのか、コリン・ファースが演じているせいなのか。
日本でも『きのう何食べた?』の西島秀俊と内野聖陽、『窮鼠はチーズの夢を見る』の成田凌など、ゲイ役を説得力をもたせて演じるノンケ俳優は少なくない。今後も、どんなノンケ俳優がゲイ役を演じていくのか、注目していきたい。
※参考記事:Out
(冨田格)
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