『君の名前で僕を呼んで』監督は続編にアーミー・ハマーの出演を希望している

日本も含め世界各国で大きな話題を呼んだ2017年のゲイ映画『君の名前で僕を呼んで』。ルカ・グァダニーノ監督は続編製作を考えているそうだが、性的虐待などの大スキャンダル渦中のアーミー・ハマー出演は実現するのか？

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明暗を分けたヒット映画の主役カップル

1980年代前半のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の恋を描いたラブストーリー『君の名前で僕を呼んで』の原作は、アンドレ・アシマンが2007年に発表した同名小説。

映画『君の名前で僕を呼んで』は、実は長編小説だった原作のごく一部を映画化したにすぎない。ルカ・グァダニーノ監督は当初より、映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のように、時間をおきながら同じキャストでシリーズ作品として制作する腹案があった。

映画公開後にエリオを演じたティモシー・シャラメは大ブレイクして、「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」「DUNE/デューン 砂の惑星」など話題作に立て続けに出演して、スターの地位を得た。

一方、『コードネーム U.N.C.L.E.』『ソーシャル・ネットワーク』などに出演して既に人気俳優となっていたオリバー役のアーミー・ハマーは、さらに順調にキャリアを伸ばしていく、はずだったのだが、彼の性的な問題が大スキャンダルとなってしまった。

個人のスキャンダルから一族の歴史へ

発端は、2021年初頭にアーミー・ハマーが交際相手の女性に送ったダイレクトメールが流出したことだった。そこには「君の血を飲みたい」「僕はカニバル（人を食う人種）だ」「君のことを食べたい」という過激な内容が綴られており、SNSで大炎上案件となった。

これをきっかけに彼と交際していた女性たちが次々と、レイプ願望や嗜虐趣味などアーミー・ハマーの特異な性癖を暴露し始めたことで、エージェントはハマーとの契約を打ち切り、俳優としてのキャリアがストップしてしまった。

現時点で、俳優アーミー・ハマーの姿を見られる最後の作品は今年2022年公開の映画『ナイル殺人事件』だ。『ナイル殺人事件』はもともとは2020年公開予定だったが、コロナ禍により予定が大幅に変更になったのだ。

そして、このスキャンダルはアーミー・ハマー個人の資質の問題にとどまらなかった。実はハマーの家はロシア系ユダヤ人系家系で、祖父はテキサスの石油王という大富豪一族。アーミー・ハマーのスキャンダルを機に、ヴァニティ・フェア誌がこの一族の1919年にまで遡る、男たちによる性的虐待などの歴史が掘り起こした。

そして、その記事を元に製作したドキュメンタリー・シリーズ『ハウス・オブ・ハマー』を、Discovery+で今年9月に放送した。

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続編製作とハマー復帰を諦めていない監督

ルカ・グァダニーノ監督がティモシー・シャラメとタッグを組んだ新作映画『Bones And All』がまもなく全米で公開されるが、間の悪いことにというか、天の配剤なのかは分からないが、この作品はカニバルの少女と居場所を失った青年の無軌道な旅を描くロードムービーだ。

『Bones And All』は、2015年に発表されたヤンングアダルト小説が原作となっており、この映画とアーミー・ハマーはまったく無関係なのだが、野次馬的な勘繰りをする人も少なくない。しかし、グァダニーノ監督は、アーミー・ハマーのスキャンダルがこの映画に、いかなる影響もインスピレーションも与えていないと語っている。

それと同時に、アーミー・ハマーと絶縁するつもりもないようだ。というのもVariety誌で監督は『君の名前で僕を呼んで』の続編製作への希望を捨てておらず、ハマーの復帰を望んでいると語ったという。

現状を考えると、アーミー・ハマーがスクリーンに復帰できるのかは微妙なところではある。しかし『君の名前で僕を呼んで』のエリオとオリバーの将来を見たい人は絶対に多いはずだ。果たして続編製作が実現するのか、ハマーが復帰できるのか、これからも注視していく。

※参考記事：QUEERTY

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（冨田格）

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