【ゲイの財政相談】推し(マドンナ)の海外ツアーの追っかけで破産しそう
「推し」がツアーをやるとなると、一度見るだけでは満足できず何回も通ってしまうのが「推し活」というもの。しかし「推し」がグローバルなスターとなると、推し活の規模もワールドワイドなものになる。マドンナの『セレブレーション・ツアー』の追っかけで破産しそうなゲイ男性の悩みを紹介する。
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マドンナを追いかけて破産しそう
結婚・家族セラピストの資格を持つジェイク・マイヤーズが担当する、米国のゲイ・メディア『QUEERTY』の人生相談コラムに、ゲイ男性ウィリアム君(仮名)が送った相談。
「ハイ、ジェイク。
マドンナに人生を台無しにされそうなんだ。
『セレブレーション・ツアー』が始まり、もちろん初日のロンドンには行った。この後、ヨーロッパの他の公演に2回行き、さらにアメリカ国内で6公演を見に行こうと思っている。
これだけ推し活をする余裕が僕にあると思う?
実際は、そうでもないんだ。でも、あまり多くの公演をスキップすると、物足りなさを感じて、たぶんすごく落ち込むことになる。同じツアーでも公演ごとに、何か新しいことやユニークなことが起こることがすごく多いし、なにより僕の女王(マドンナ)と束の間のつながりを持つことは確実にできる。
国内外を移動するだけでなく、僕が購入するチケットは高いんだ。絶対ステージのそばのフロアじゃなければならないんだ。以前、もっと後方の安いチケットを買ってみたけど、同じ体験はできなかった。
言うまでもないことだけど、僕のクレジットカードは旅費とホテル代でほとんど限度額いっぱいで、推し活のための手持ち資金を増やすために個人ローンを組もうと思っている。
友人たちは、僕がおかしい、冷静になるべきだと言うけれど、マドンナとこのツアーが僕にとってどれほどの意味を持つかは理解していない。
このツアーは、マドンナの40年間のキャリアの集大成だし、この後、彼女が何回ツアーができるのかなんて誰にもわからない。さらに、コロナ禍で苦しめられた僕は、この推し活を必要としている。
このことが僕の人生、少なくとも経済的に大きな影響を及ぼすことは分かっている。なぜ、この女性は僕にこれほどの権力を握っているのだろう?」
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「パラソーシャルな関係」の危うさ
こんにちは、ウィリアム。
熱心なファンがつくるゆるやかなネットワークや独自の文化である「ファンダム」は、一度身をおくと逃れられない強力な麻薬になり得るものです。
そしてマドンナは、おそらく他のどのアーティストよりも、常に性的少数者のコミュニティの擁護者でした。とはいえ、あるアーティストに憧れることと、特に自分自身の生活の安定をおびやかしてまで、その存在に没頭したいという強迫観念を感じることとは違います。
もしあなたが、自分の経済的な健康を危険にさらすようなチケットを買っているのであれば、おそらくその根底には、心理的あるいは感情的な見返りがあるはずです。それについて話しましょう。
あなたは、有名人に一方的に感情的な愛着を抱く、いわゆる「パラソーシャルな関係」を経験しているかもしれません。日中、その人のことが気になり、何を考えているのだろう、どんな気持ちなのだろうと考えたり、SNSのアカウントをチェックして、その人が何をしているのかを気にしたりするかもしれません。
人間関係において、恐れや不安を抱えている場合、有名人と一方的な「パラソーシャルな関係」を持つことで、誰かとのつながりを感じられることはよくあります。「パラソーシャルな関係」ならば、実際に誰かと対面するストレスを感じることなく、幸福感を得ることができるのです。
また、自分が特別だと思う人物と接することで、自分の重要感や自尊心を高めたいと思う人もいます。セレブ・アイドルに「見られている」と感じれば、自己重要感や価値観に酔いしれることができるでしょう。
マドンナがステージであなたに特別なウインクや呼びかけをしたとき、あなたは大きな興奮を覚えたのではないでしょうか。残念なことに、他のドラッグと同じように、次に同じ高揚感を得るためには、結局さらに大きな一撃が必要になるのです。
自分の好きなアーティストを応援し、楽しむことは素晴らしいことですが、それが自分の人生に大混乱をもたらすのであれば話は別です。もし否定的な結果が利益を上回るなら、変化を起こす時がきたのです。
変化とはたとえば、同じツアーで1回か2回のライブ観戦を自分に許し、他のより破壊的でない(そしてお金もかからない)方法で、気分や自己価値、実生活でのつながりを高める努力をすることかもしれません。
マドンナのコンサートに行く回数が減ったからといって、あなたがファンでなくなったわけでも、マドンナがあなたにとって重要でなくなったわけでもないのです。単に、女王よりも自分を優先しているだけなのです。エビータはそれ以外を望んでいないでしょう。
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ウィリアム君に共感の声多数
ウィリアム君の悩みに対するジェイクのアドバイスを受けて複数のゲイが意見を表明した。その多くは、ジェイクのアドバイスよりもウィリアム君に共感するものだった。
「明日、彼女のショーを観に行くんだけど、ショーを観るのがこれほど楽しみなことはない」
「この10年ほどの間、エアロスミス、コクトー・ツインズ、ケイト・ブッシュのコンサートにどれだけのお金を費やしたことか。よくあることだ」
「私は子供の頃から、バーブラ・ストライサンドとベット・ミドラーの大ファンなので、ウィリアムに共感できます。2人のコンサートを何度も見るために必要以上にお金を使い、すべてのCDや映像作品を持っています。数年前、私は高機能自閉症の一種であるアスペルガー症候群と診断されました。もしウィリアムもアスペルガーだとしたら、それを治す方法はない」
「私はブラジルのサンパウロ出身で、来月、夫と共にポルトガルとドイツでマドンナのショーを見る予定です。数年前、私たちは彼女を見るためにベルギーに行きましたし、夫は彼女を見るためだけにカナダからイギリスまで大陸を横断しました。この病気は、残念ながら治りません」
ユーミンや中島みゆき、松田聖子、浜崎あゆみ、MISIAなどの歌姫に大金を注ぎ込んでいるあなたなら、ウィリアム君の気持ちに共感できるだろう。
※参考記事:QUEERTY
(冨田格)
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