お盆休み実家に帰省する前に考えておきたい、ゲイと「親の老後準備」

仕事やプライベートが忙しくて、実家に帰省するのは盆と正月くらい、そんなゲイは少なくないだろう。しかし、半年ごとに帰省するたびに、親が老いてきている実感を覚えていないだろうか?

家事もこなすし病気にもなっていないので大丈夫、と思っていても実は「親の老後」はすでに始まっている。離れて暮らしているからこそ、急に介護が必要になってにっちもさっちも行かない状態に陥らないよう、「親の老後準備」を帰省するタイミングで進めておきたい。

目次

・帰省が「親の老後準備」を始める好機
・実家をどうするのかちゃんと話し合う
・親の墓問題ときちんと向き合い考える
・親の介護の費用をどうするか話し合う

帰省が「親の老後準備」を始める好機

帰省で考える親の老後

ジオ倶楽部では、ゲイ・バイ男性にとって他人事ではない「親の介護」に関する情報をたびたび配信してきた。

夏休みシーズンを迎え、実家に帰省する人も増えてくるこの時期は、「親の老後」についてじっくり考えるべき時。そして帰省したら、親としっかり話し合って「親の老後準備」を進めておく好機でもある。

健康で暮らしている親御さんの場合「老後」の話を持ち出すと嫌がられる場合もあるかもしれないが、「ずっと健康でいるならそれが最高だけど、病気や怪我は突然訪れるものだから、急に介護などが必要になったときにお互いに慌てないで済むように、準備だけは進めておこう」と説得して、きちんと話し合っておきたい。

なによりそうすることが、息子であるあなたにとっての心配を少しでも解消することになるのだから。

実家をどうするのかちゃんと話し合う

帰省で考える親の老後

もし、あなたや兄弟の誰かが先々実家で暮らす予定ならば問題はないのだが、親が亡くなった後に誰も実家で暮らす予定がないのならば、「実家を先々どうするのか」を帰省するタイミングで親と話し合うべきだ。

親としては住み慣れた家にずっと住み続けたい気持ちでいるのは当然のこと。しかし、もし先々介護が必要な状態になった時、実家に住み続けることが現実的なのか、冷静に考えてみたい。また、先々親が高齢者施設に入所する可能性だってある。

いざという時になってからでいいよ、と先延ばしにしていると、あなたが大変な目に遭う可能性は大きい。親が元気なうちに「実家をどうするのか」という方針を決めておくだけでも、いざという時の対応が楽になるはずだ。

そのためには「情報」を集めて、親と検討する必要がある。

たとえば、親が実家に住み続けたいという考えなら「ハウスリースバック」を利用することも考えたい。「ハウスリースバック」とは、実家を一度売却した後にリース契約をして家賃を払いながら今まで通りに住み続けることができるシステムだ。

先々、介護が必要になったときに実家では対応が難しいと冷静に判断したならば、「住替え」を考える方がいいだろう。その場合は、実家よりもスペースが狭く、バリアフリーな物件を探すべきだ。

長年家族で住んできた実家には、処分するべき「物」が大量にあるはずなので、「住替え」は断捨離のチャンスでもある。転居先には、親が生活していくために必要なものだけを運ぶようにして、残りの家財は思い切って処分したい。

親が介護が必要になったり、高齢者施設に入所するような時になって、初めて実家の断捨離に向き合うとなると、あなたへの負荷が膨大になるだけ。一人では手に負えないということで業者に処分を頼むと、廃棄物の量によっては100万円を越える金額がかかる可能性があることも頭に入れておきたい。

もし、「ハウスリースバック」で実家に住み続ける場合も、親が元気なうちから断捨離を進めておく方がいい。

※参考記事
・30代以上のゲイが直面する実家の片付け問題「あなたはいつ始めるつもり?」

親の墓問題ときちんと向き合い考える

帰省で考える親の老後

まだ先のことだが、方向性を決めておくべきこととして「親の墓問題」もある。

たとえば、あなたに既婚の兄弟がいて実家の墓を継いで行く甥っ子もいるのであれば問題はないのだが、一人っ子だったり既婚の姉妹しかいない場合は、「親の墓」をどうするのか向き合う必要がある。

もし、すでに霊園に墓を作っていてあなたの後に継ぐ人がいないのであるなら、「墓じまい」をすることも考えたい。

「墓じまい」した後は、「納骨堂」に納めるか、「合葬墓」や「散骨」「樹木葬」などの方法がある。「納骨堂」は、複数名の家族を納めることができるところも多いので、後に自分もそこに入り、一定期間を過ぎたら親のお骨とともに永代供養にしてもらうということも可能だ。

「墓じまい」や、「納骨堂」や「合葬墓」「散骨」「樹木葬」など、それぞれにかかる費用を調べて、親もあなたも納得できる方向性を、親が元気で判断力がしっかりしているうちに定めておくべきだろう。

「親の墓」問題を考えることは、あなた自身の「終活」をイメージすることにもつながる。

※参考記事
独身中高年ゲイの基礎知識「親の墓と自分の墓」ゲイの老後は”墓じまい”から

親の介護の費用をどうするか話し合う

帰省で考える親の老後

親が元気で介護が必要ないうちに話し合っておきたいのが、親の介護費用の問題だ。介護保険を活用することで、実際の負担金額はおさえられるとはいえ、介護生活が長期になればかかる費用も大きくなっていく。

ましてや、子供が同居していない場合は、介護保険だけではまかないきれない民間のサービスを利用せざるを得なくなる可能性だってある。

在宅介護から、高齢者施設への入所なども考えたうえで、親の年金と貯金だけで介護費用をすべてまかなえるのかきちんと計算しておく必要がある。そのうえで、費用面での不安があるならば、介護認定を受けるまえに、月々の支払いがリーズナブルな民間の保険に親に加入してもらう選択もある。

帰省で考える親の老後

また帰省する時は、実家の近くの「地域包括支援センター」の場所を調べて、一度、親の状況を相談することも考えたい。先々、介護保険を使う必要が生じた際に、「地域包括支援センター」と事前に話をしておくとスムーズに対応してもらえるはずだ。

※民間の介護保険の詳細
・ゲイが考える親の介護と自分の老後 その1「健康でいる間が準備のラストチャンス」

※「地域包括支援センター」の詳細
・「親が70歳を過ぎたら知っておくべき、介護への備えかた」地域包括支援センター活用法を学ぶ

実家に帰省して親と話し合い方向性が明確になり、専門家のアドバイスが必要なときは、ゲイやバイセクシュアル男性の老後支援(身元保証代行など)を行うアライアンサーズに相談することも可能だ。

帰省前に情報収集したい場合も対応してもらえるので、途方にくれる前に相談することをおすすめする。

アライアンサーズ
所在地:東京都新宿区新宿2-12-13
電話:03-6260-8637
問い合わせ:https://alliancersjp.com/contact/

(冨田格)

★あわせて読みたい!
【ゲイと親の介護】兄弟が介護を担ってくれているゲイが知っておくべきこと

コメントを残す