歴史的黒人大学で初めてカミングアウトしたアメフト選手が伝えたいこと
マッチョな傾向が強い黒人の体育会学生にとって、ゲイであることをカミングアウトするのは、依然かなりハードルの高いことのようだ。先日、インスタグラムのストーリーでカミングアウトしたハンプトン大学のバイロン・パーキンス選手の実例を見てみよう。
HBCU初のカミングアウト・アメフト選手
HBCU(Historically black colleges and universities)”歴史的黒人大学”と呼ばれる高等教育機関がアメリカにある。これは古くからアフリカ系アメリカ人の教育を目的とした大学群を指す。
HBCUの中でも、特に成績優秀者や裕福なアフリカ系アメリカ人の学生が多く集まる8大学を、ブラック・アイビー・リーグ(Black Ivy League)と呼ぶ。
ブラック・アイビー・リーグの一校「ハンプトン大学」のアメリカン・フットボール部”パイレーツ”のディフェンスバックであるバイロン・パーキンス選手が、インスタグラムのストーリーでゲイであることをカミングアウトした。
パーキンスは、HBCUで公にカミングアウトした最初のゲイのフットボール選手となった。
嘘の仮面が自分を制限していた
バイロン・パーキンスのカミングアウトをとりあげ、彼へのインタビューを交えたOutsportsの記事「Byron Perkins, D1 Hampton University football player, comes out as gay」より引用して紹介する。
「フットボールと学校生活があればそれで十分だと思っていたけれど、本当は足りないものがあったんだ。僕が心の底から幸せだと感じられなかったのは、周囲の人に見せている自分の姿が本物ではなかったと気づいたんだ」
「僕は変化を起こす、自分自身から逃げるのをやめると決めた」とパーキンズはインスタグラムに書き込んだ。「僕はゲイです。これは”決定”でも”選択”でもない、これが僕であり、これまでの僕であり、これからの僕なんだ」
「人生はとても貴重で、僕が突然死んでしまうことだってあると思う。だから、僕はもう嘘の人生を生きることやめようと決めた」
「僕は今まで何度も『怒っているの?』と言われたことがある。でも怒っていたわけじゃない。嘘の仮面をかぶっていたんだ。その仮面が自分自身を制限していた。だから今日、僕はその仮面を壊すことにしたんだ」
https://www.outsports.com/2022/10/19/23413169/byron-perkins-gay-hampton-pirates-football-team-db-player
誰もが自分らしく生きていける
パーキンスは、周囲の誰もが「自分がゲイであること」を受け入れてくれるわけではないことを理解しているという。しかし、HBCUで人知れず苦労している他の黒人のゲイの助けになりたいと考えているそうだ。
マッチョ志向が強いHBCUは、黒人学生がゲイであることをカミングアウトするのは容易ではない。パーキンスが、HBCUで初めてカミングアウトしたフットボール選手となることで、誰もが嘘の人生を歩む必要はないことを知って欲しいと考えている。
「僕がカミングアウトするのを見た子供たちが、自分も自分らしくなれると思ってくれたら嬉しいよ」
パーキンスの後を追いかけるHBCUのアスリートが、今後増えてくるだろう。
※参考記事:Outsports
(冨田格)
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