永遠の憧れ!俺たちの”三浦友和”主演作からゲイ必見の5本をピックアップ
現在71歳、古希を越えたとは思えないカッコ良さで活躍中の俳優・三浦友和。70年代から、そのハンサムな顔と爽やかなイメージでゲイには圧倒的人気を誇っていた。今回は、70年代後半から80年代前半の若き時代に出演した作品の中から、ゲイ必見の映画5本をピックアップして紹介する。
<目次>
・遅れてきた正統派二枚目スター
・山口百恵とのゴールデンコンビ
・映画にドラマに出ずっぱりの時期
・ふんどし姿にゲイ騒然『潮騒』
・弟キャラ全開『黄金のパートナー』
・男を惹きつける魅力『遠い明日』
・ガチムチ友和『獣たちの熱い眠り』
・映画史に残るラブシーン『さよならジュピター』
目次
遅れてきた正統派二枚目スター
1952年1月生まれで、今年71歳、古希を越えた三浦友和。若い世代にとっては、ドラマや映画でよく見かける昭和っぽくて迫力のあるガッチリしたおじさん(お爺さん)くらいの印象かもしれない。
しかし1970年代、20代の三浦友和は、日本のゲイにとっての憧れの存在だったのだ。
というのも、学生運動が沈静化した1970年代は長髪(ロン毛ではなく、長髪)や、不機嫌で不健康そうな”しらけ世代”と呼ばれるイメージの若者が当たり前の中で、三浦友和は絵に描いたような二枚目で明るく健康的で爽やかな青年、いわば「掃き溜めに鶴」。
20年早くデビューしていれば映画黄金期を支えるスターになっていた、と映画関係者が口を揃えるほど「遅れてきた正統派二枚目スター」は、1970年代というくすんだ時代に差し込む一筋の光明のような存在感を放っていた。
そして、当時のゲイ雑誌「さぶ」でタレントの人気投票をやれば、トップの座につくのは新御三家ではなく三浦友和だった。
山口百恵とのゴールデンコンビ
三浦友和のブレイクのきっかけは、1974年12月公開の東宝映画『伊豆の踊り子』。当時、アイドルとして人気上昇していた山口百恵の映画初主演作の共演者に選ばれたことだ。『伊豆の踊り子』は大ヒットして、翌1975年から山口百恵主演映画が東宝の年間ラインアップの主軸として組まれるようになる。
1975年はゴールデンウィーク興行として4月に『潮騒』、正月映画として12月に『絶唱』が公開。いずれも三浦友和が共演した。
また同じく1975年秋よりTBS系のドラマ『赤い疑惑』で山口百恵と共演。映画もドラマもヒットしたうえに、この2人があまりにお似合いのカップルに見えることから「百恵・友和ゴールデンコンビ」と呼ばれるようになる。
ちなみに百恵の所属するホリプロは自社タレントを百恵の相手役にするべく、翌1976年の春スタートのドラマ『赤い運命』とGW興行の映画『エデンの海』の共演者に南條豊を抜擢するも、国民的に大不評。お盆興行の映画『風立ちぬ』では百恵・友和ゴールデンコンビが復活した。
映画にドラマに出ずっぱりの時期
1980年に山口百恵が引退し三浦友和と結婚するまでの数年間、東宝の正月とお盆興行は「百恵・友和」共演作品、そして春のゴールデンウィークと秋のシルバーウィークは三浦友和単独主演作が公開されていた。
さらにテレビの連続ドラマ出演も相次ぐなか、音楽活動も行いシングルやアルバムもリリースするなど超多忙なスケジュールをこなす、多くの女性ファンと、そして多くのゲイの心を鷲掴みにするアイドル的な存在だったのだ。
そんな時代の三浦友和出演映画の中から、特にゲイにはおさえておきたい5本を紹介しよう。
ふんどし姿にゲイ騒然『潮騒』
まずは、ゲイの中で三浦友和の人気がブレイクした1975年の映画『潮騒』を挙げたい。
三島由紀夫の小説を原作としたこの映画は、若い漁師と海女の恋物語。なんといっても注目は、嵐の夜、ずぶ濡れになった二人が漁師小屋で濡れた服を脱ぎ暖をとる場面の”ふんどし”姿の三浦友和だ。
青年らしい健康的でしなやかな肢体と褌のマッチングは、まさに「日本男児」のセクシーの象徴。この魅力に釘付けになったゲイは数多い。特にゲイ雑誌「さぶ」の読者にとっては、三浦友和が不動のトップとなった記念碑的作品と言える。
百恵・友和ゴールデンコンビの作品では、1977年の『泥だらけの純情』も見逃せない。チンピラ役の友和が抗争で刺され、病院の手術室に横たわる上裸場面も妙に色っぽかった印象がある。
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弟キャラ全開『黄金のパートナー』
三浦友和に対してゲイ人気が高い理由のひとつに、「年上の男と絡むと可愛さがより輝く」という点がある。
山口百恵との共演作では、好青年だったり、男っぽい雰囲気だが、年上の男と絡む時は表情も雰囲気も「弟キャラ」が全開となり、そこに多くのゲイは「可愛さ」とともに「男同士のエロス」を感じ取ってしまうのだ。
1979年のゴールデンウィーク映画『黄金のパートナー』は、まさに「弟キャラ」全開の三浦友和を堪能できる作品。共演は藤竜也、紺野美沙子。帝国陸軍が残したとされる金塊をサイパンで探す男女三人の物語。
ユニチカ・マスコットガール出身で映画初出演の紺野美沙子の印象が弱く、三浦友和と年上男・藤竜也の間に流れる微妙な空気感ばかりが印象に残る作品となっている。
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男を惹きつける魅力『遠い明日』
同じく1979年のシルバーウィーク映画『遠い明日』は、もはやゲイ映画と呼んでも過言ではないくらい、男同士の濃密な関係が強調されている作品だ。
アイドル的存在だった三浦友和だが映画界を背負ってたつ大人の俳優に育てたいという意向から、日活ロマンポルノの騎手だった神代辰巳監督を起用。殺人囚として服役する父の無実をはらすべく、孤独な闘いを続ける暗い目をした青年を友和が演じた。
爽やかで健康的な好青年ではないアウトローなイメージは新鮮で、神代辰巳監督ならではの女性との濃厚なラブシーンも描かれる。
しかし、それ以上に神代監督が焦点をあてたのは、三浦友和が無意識に発している”男に好かれる色気”だった。分かりやすいのは、父の事件に関する過去の資料を集める助けとなる図書館司書役の森川正太がオネエ言葉のゲイで、露骨に友和に迫っていく場面だ。
それ以上に強烈なのが、事件の真相に迫ろうとする友和に手を差し伸べる新聞記者役の若山富三郎だ。当時50歳の若山富三郎は、中年親父の色気たっぷり。明らかに友和に性的魅力を感じている設定で、それを匂わせる演出が少なくない。
真夏の盛りに逮捕された友和を引き取りに警察に行った富三郎は、友和の匂いを嗅ぎ「お前くさいぞ、サウナにでも行くか」と誘うや友和に「こういう時はトルコ(←当時の表現、現在のソープランド)に誘うもんだろ」と冷たく拒否される。でも、サウナじゃないと友和の裸体を見ることはできないわけで、すべてのゲイは富三郎の誘いに共感した。
その直後、突然の強風で目に埃が入って苦しむ友和。富三郎は「どうした、見せてみろ」と友和の瞼を覗き込むや、いきなり舌で舐めて埃をとるという行動に出る。これは、もはや濃厚な愛撫。さすが神代監督だと、うならされる名場面だ。
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ガチムチ友和『獣たちの熱い眠り』
結婚前の三浦友和はまるで専属のように東宝映画にしか出演していなかったが、結婚後の初主演作は1981年の東映映画『獣たちの熱い眠り』で、村川透監督のもとハードボイルド・エロスに挑戦。
東宝に比べると不良性感度の高い東映映画で、復讐に燃える元テニス・プレーヤーという役柄を熱演した。女性とのハードなラブシーンは眼福だが、ここでも年上の男との関係が印象に残る。それが友和の用心棒となる伊吹吾郎。
公開当時の映画専門誌のレビューでは、「三浦友和と伊吹吾郎の関係から男同士のエロスが滲み出る」と評されるほどの濃厚さ。
当時、村川透監督のハードボイルド作品といえば主役は松田優作のイメージが強く、ノンケの映画好きには「友和が甘すぎる」「小太りにハードボイルドは似合わない」と大不評だった。しかし短髪(というか角刈り)で(小太りではなく)ガチムチな友和のハードなラブシーンを演じ、かつ年上男との濃密な関係をにじませるという、ゲイにとっては見どころしかない傑作だ。
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映画史に残るラブシーン『さよならジュピター』
ゲイ必見の友和主演作といえば、1984年の映画『さよならジュピター』を挙げないわけにはいかない。
日本のSF小説の巨匠・小松左京が原作・脚本・総監督をつとめたSF大作映画、であるのだが、正直映画的にはかなりしんどい仕上がりとなっている。どこが悪い、というレベルではなく、一部の宇宙船の特撮以外は、すみずみまで雑で安っぽく、褒めるところを探すのに苦労するほどの出来なのだ。
しかし、ゲイ必見の場面がひとつだけある。それが、友和と白人女性が全裸になり「無重力」のなかまじわる濃厚なラブシーンだ。この場面がかなり前半に登場するので、以降のすべてが退屈で陳腐であろうとも「無重力」ラブシーンの記憶だけで、なんとか最後まで見ることができるくらい眼福な名場面だ。
日本映画としては巨額の製作費をかけたSF大作にも関わらず、記憶に残るのは無重力ラブシーンだけ。まさに日本映画史に遺る「ラブシーン」と言っても過言ではない。
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最後に映画ではないのだが、1994年にTBS系列日曜劇場枠で放送されたドラマ『オトコの居場所』は、中間管理職の友和がふんどし姿で滝に打たれる場面で始まり、最後も同じくふんどし姿で滝に打たれるという、あの『潮騒』を想起せずにはいられないゲイ的には最高の眼福ドラマであることを記しておく。
1980年代以降は、クセのある個性的な役をさまざまに演じてきた俳優・三浦友和。中年・壮年期の男の魅力を楽しめる作品も、今後あらためてピックアップする予定だ。
(冨田格)
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