【ゲイ・バイ・ノンケ】男の性的指向にきっちりした境界線は存在するのか?

「ゲイ」「バイセクシュアル」「ストレート(ノンケ)」、どの性別を好きになるのかという性的志向の境界線が曖昧な男性は、実は少なくなかったりするようだ。筆者がゲイ雑誌編集部に在籍していた時代に知り合った多くのノンケやバイ男性たちから聞いた話から、男の性的指向の境界線を考える。

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「喰われノンケ」はバイセクシュアル?

ゲイ?バイ?ノンケ?
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現在アラ還の筆者は、30歳の時からゲイ雑誌の編集に携わったことで、男の性的指向の境界線の曖昧さを実感することになった。

一般のゲイとして何も考えずにゲイライフを満喫していた20代の頃は、ノンケとゲイの間には厳然たる一線が引かれており、男性経験が過去にあるといういわゆる「喰われノンケ」は、「男と一回でも経験したら、それはノンケじゃなくてバイセクシュアルでしょ」と決めつけていた。

ところが、ゲイ雑誌の編集を始めたことで、境界線が曖昧な「ノンケ男性」に多く出会ったのだ。

100人電話してきて採用できるのは1人

境界線上のノンケたち
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まだインターネットが普及していなかった平成前半、ゲイ雑誌のモデル募集は知人の紹介や誌面を通じて応募してくるゲイ男性よりも、夕刊紙の三行広告を見て応募してくるノンケ男性の方が圧倒的に多かった。

女性が風俗で働いたりAVに出演して手にする金額とは比べようもなく安い金額でも、男性にとっては決して率が悪くないバイト代を提示しているので、編集部に電話をかけてくるノンケ男性は連日のようにいた。

統計をとったわけではないが肌感覚では「100人電話をかけてきて、10人が面接にきて、採用できるのは1人」という感じで、なかなかモデルに採用できる人はいない。しかし、その「採用できた1人のノンケ男性」の中に、境界線が曖昧な人が少なくなかったのだ。

期待以上の”艶技”と見事な”フィニッシュ”

境界線上のノンケたち
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雑誌のグラビアの撮影だけではなく、ビデオも作っていたので、採用したノンケ男性は相手役の男性と性行為に及ぶ。一回で懲りてしまうノンケ男性も多いが、期待以上の”艶技”と見事な”フィニッシュ”を決めたうえで以降何度も仕事をしたり、複数のゲイビデオ・メーカーの作品に出るノンケ男性も少なくない。

「男と一回でも経験したら、それはノンケじゃなくてバイセクシュアルでしょ」という固定観念を持っていた筆者は、そんなノンケ男性に興味を惹かれ、撮影の休憩時間にいろいろな話をしながらその人たちの性的指向を探ることにした。

あくまで自認はストレート(ノンケ)

境界線上のノンケたち
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ゲイ・ビデオメーカーを渡り歩いて、何本もの作品に出ては達者な”艶技”やアクロバティックな行為を易々とこなし、”フィニッシュ”もきっちり決めてみせるその辺のゲイも顔負けな人たちにセクシュアリティを尋ねると、みな一様に「自分はストレート(ノンケ)です」と答える。

では、グラビアやビデオの撮影で男と性行為をするのはギャラのため? と尋ねると、多様性のある返答がかえってきた。

「手っ取り早くお金になるから」という人もいれば、「誰かに見られたいから撮影現場は興奮する」という性的衝動がベースになっている人もいる。一番多かったのは「気持ちよければ相手が男でも構わない、気持ちよくなってお金がもらえるから」という答え。

しかし、全員に共通していたのは、「男と性行為はできるけれど、恋愛対象は女性だけ」ということ。だから彼らは「バイセクシュアル」ではなく「ストレート(ノンケ)」であると自認するのだ。

ノンケ男性には2つの種類がいるのでは?

境界線上のノンケたち
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このような「ノンケ男性」と撮影現場で多く出会い話をすることで、「男と一回でも経験したら、それはノンケじゃなくてバイセクシュアルでしょ」という筆者の固定観念は崩れ去った。

そして、自分の中で整理をして言語化したのが、これだ。

ノンケ男性は下記の2つの種類に分かれる。

「女性としか寝られない男」
「気持ちよければ男性とも寝られる男」

そして、後者は決して少ないわけでもなさそうだ。

既婚男性たちの「自称ゲイ」問題

境界線上のノンケたち
ショーンT  画像引用元:Instagram

筆者が自分なりに導いた上記の考えを補強するような記事をみつけたので紹介する。

同性婚をしているパートナーと双子の男の子を育てているワークアウトの一人者ショーンTが、ポッドキャスト「The Align Podcast」に出演した。

ホストのアーロン・アレクサンダーに、女性と結婚もしくは交際している男性から「自分はゲイでどうしたらいいかわからない」という相談を受けることはあるか、と尋ねられたショーンは、「毎日来ますよ」と力強く答えた。

そしてショーンはこう続けた。

私のところにやってきて「僕はゲイなんだ」という男性たちは、ただ男との性行為に興味があるだけなんです。

彼らに「奥さんとのセックスをまだ楽しんでいるんでしょ?」と尋ねると、みんな「うん」と言います。

とはいえ「ゲイ」というラベルは難しいものです。ゲイであり、本来は女性との性行為を望まなくても、女性を含めた三人での性行為ができてしまう人もいるのですから。

https://www.queerty.com/shaun-t-says-gay-men-married-to-women-message-him-every-day-for-advice-20230303

性的志向の境界線が曖昧な男性の存在は、日本に限ったことではないようだ。これに似た話で、ゲイが自称する「元ノンケ」や「今でも女性と性行為が可能」という発言についても語りたいところだが、かなり長くなりそうなので、それはまた別の機会に。

※参考記事:QUEERTY

(冨田格)

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