山田太一『異人たちとの夏』ゲイ映画版リメイクの予告編公開、期待が膨らむ
山田太一の小説『異人たちとの夏』を、ゲイ男性を主役に変え舞台をロンドンに移してリメイクした新作映画『オール・オブ・アス・ストレンジャーズ(原題)』は、年末に米国で公開予定。『テルライド映画祭』のワールド・プレミア上映以来、絶賛の声が届くこの映画の予告編が公開された。
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ミステリアスな雰囲気の予告編
山田太一の小説『異人たちとの夏』を、市川森一が脚本化して大林宣彦が監督した日本映画が1987年に公開された。バブルに突入し始めた時代の東京を舞台に、都心のマンションと懐かしい浅草を舞台にした、大人のファンタジーと言うべき名作だ。
日本映画では風間杜夫が演じた主人公をゲイの中年男性におきかえ、舞台をロンドンに移した新作映画『オール・オブ・アス・ストレンジャーズ(原題)』は、8月31日よりコロラド州で開催された『テルライド映画祭』でワールド・プレミア上映を敢行。
映画祭でこの作品を鑑賞した批評家たちが軒並み絶賛し、映画批評サイト『ロッテン・トマト』では当初、最高点である「100%フレッシュ」を獲得。9月27日現在では「96%フレッシュ」と依然高評価を得ている。
秋の映画祭シーズンで最も話題になる作品のひとつに急浮上したと評判の『オール・オブ・アス・ストレンジャーズ(原題)』の予告編が公開された。
ゲイ監督アンドリュー・ヘイのキャリア
『オール・オブ・アス・ストレンジャーズ(原題)』の監督・脚本を担当したアンドリュー・ヘイは、1973年生まれの英国人。2000年から映画編集者としてキャリアをスタート。2009年には初監督作品『Greke Pete』が公開。ロンドンの賃貸住宅に住む少年を、事実とフィクションを融合させて描いた作品だ。
2011年公開の監督第二作『ウィークエンド』は、金曜の夜に友人宅でのパーティーで知り合った2人の男たちの一夜の情事が、それ以上のものへと進展していく様子を描いたもの。英国の映画祭で高く評価され、ゲイをカミングアウトしている脚本家兼監督のアンドリュー・ヘイが大きく飛躍するきっかけとなった。
以降、2015年に映画『さざなみ』、2017年に映画『荒野にて』を公開。
アンドリュー・ヘイの名前を世界中のゲイ・バイ男性が大きく意識することになったのは、2014年から米国のケーブルテレビ局HBOが放送したドラマ『ルッキング/LOOKING』だろう。2011年に発表したヘイの短編映画『ロリマー』をベースに、サンフランシスコに住むゲイたちの恋と友情を描いた。
『ルッキング/LOOKING』は2014年と2015年の2シーズン放送し、翌2016年には映画版『LOOKING The Movie』が公開された。ジョナサン・グロフやラッセル・トーヴィーなどゲイ俳優たちを起用して、リアルで鮮烈な印象を残すシリーズとなった。
『オール・オブ・アス・ストレンジャーズ(原題)』をすでに鑑賞した批評家によると、主演のアンドリュー・スコットとポール・メスカルの男同士のロマンスが非常にセクシーに描かれているとのこと。またサントラには、ゲイをカミングアウトしているペット・ショップ・ボーイズの『Always On My Mind』のカバーが使用されているそうだ。
アンドリュー・ヘイや山田太一の原作小説をどのように脚色し、新たな世界観の作品に仕上げているのか、日本でも公開が楽しみだ。米国では12月22日公開、アカデミー賞はじめ各映画祭でノミネートされることも期待したい。
ジオ倶楽部では、日本での公開予定など『オール・オブ・ストレンジャーズ(原題)』の最新情報を今後もチェックしていち早くお伝えしていく。
※参考記事:QUEERTY
(冨田格)
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