2022年6月2日、ゲイ・バイ男性は抑えておきたい「サル痘」最新ニュース
6月2日、NHKはサル痘の感染者が世界で550人以上にのぼる、と報じた。現在、欧米のゲイ・バイ男性の間で顕著に広まっているサル痘は、日本のゲイにとっても他人事ではない。常に最新の情報をキャッチアップして、正しい対応ができるようにしておきたい。
ゲイ(バイ)男性必読!海外の実例から考える「サル痘」とゲイコミュニティ
英国ではほとんどが20歳~49歳の男性
6月1日、英国健康安全局(UKHSA)は「サル痘の発生に関する最新の調査結果」を発表した。
それによると、
今回の流行は、流行国への渡航歴が確認されていない英国において、人から人へウイルスが伝播した初めてのケースです。
https://www.gov.uk/government/news/ukhsa-latest-findings-into-monkeypox-outbreak
とのこと。そして、感染状況に関してはこのようにまとめている。
5月6日から30日までに確認された190例のうち、183例がイングランドで、4例がスコットランドで、2例が北アイルランドで、1例がウェールズで確認されました。
イングランドでは、86%がロンドン在住者(153人中132人)で、女性は2人のみです。サル痘の症例のほとんどは、20歳から49歳の人で発生しています(87%)。111人の症例は、ゲイ、バイセクシャル、または男性とセックスをする他の男性(GBMSM)であることが知られています。
https://www.gov.uk/government/news/ukhsa-latest-findings-into-monkeypox-outbreak
これまでの調査で、英国内外のゲイバーやサウナなどの利用との関連性が確認されたとUKHSAはまとめている。また、UKHSAの臨床・新興感染症ディレクターであるMeera Chand博士は、次のように述べている。
体のどこかに新しい斑点、潰瘍、水疱がないかどうか注意するよう、人々に呼びかけています。サル痘の疑いがある場合、特に最近新たに性的パートナーができた場合は、他人との接触を制限し、できるだけ早く地域のセクシュアル・ヘルス・サービスに連絡する必要があります。
https://www.gov.uk/government/news/ukhsa-latest-findings-into-monkeypox-outbreak
調査は継続中であり、UKHSAは一般市民に向けて、最新の症例数や調査結果を毎週発表する予定だ、とのこと。
世界保健機構(WHO)がゲイ・バイ男性に向けて「サル痘」に関するアドバイスを発表
濃厚接触者への対応、英国と米国の違い
5月30日、ナショナルジオグラフィック日本版は、「サル痘について今わかっていること、感染経路や治療薬、歴史など」という記事を公開。
このなかで、英国と米国の濃厚接触者への対応の違いと、ワクチンと治療薬について触れている。
サル痘患者の全員が入院するわけではない。多くの人は治療を受けなくても3週間の自宅隔離の間に自然に治る。英国など一部の国では、感染者と濃厚接触した人に21日間の隔離を勧めている。米国では、ウイルスにさらされた人にはワクチンがあるため、濃厚接触者を隔離する必要はないとバイデン大統領は述べた。
米食品医薬品局(FDA)は2019年にデンマークのバイオ製薬ババリアン・ノルディックの天然痘・サル痘ワクチン「MVA-BN」(米国での販売名はジンネオス)を承認した。このワクチンを2回接種すれば、サル痘の発症や重症化を防ぐことができる。天然痘ワクチンとしてFDAに承認されている「ACAM2000」も使用が可能だ。米国と英国は、サル痘患者の治療にあたっている医療従事者と患者の濃厚接触者にMVA-BNワクチンを提供している。CDCは、ウイルスにさらされてから4日以内にワクチンを接種するように推奨している。
サル痘治療薬として承認されている薬はない。FDAは2018年に経口抗ウイルス薬「テコビリマット」を天然痘治療薬として承認したが、この薬がヒトの天然痘やサル痘に有効であることを示すデータはない。サル痘の重症患者に対しては、このほかに抗ウイルス薬「シドフォビル」や、抗体であるワクシニア免疫グロブリン(VIG)が用いられることがある。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/053000244/?P=1
まだ日本では感染の報告がないが、日本で感染が報告された後は、濃厚接触者への対応が英国型になるのか、米国型になるのかは注視しておく必要がありそうだ。
致命的じゃないが発症すると厄介な「サル痘」性に開放的なゲイは最新情報を抑えておきたい
最新の世界の感染状況は、「Our World in Data」というサイトで確認することができる。このサイトの集計では、6月1日までに700人の感染が報告されているようだ。
「サル痘」は、ゲイ・バイ特有の病気ではなく、誰もが感染する可能性がある。しかし、現時点ではゲイ・バイセクシュアル男性の濃厚接触により感染が拡大していることは事実だ。
6月10日よりインバウンドが再開されることもあり、欧米からの観光客も徐々に増加していくだろう。感染者が増えている地域との往来が盛んになれば、日本でも感染報告があがってくる可能性は決して少なくないと考えられる。
だからこそ、欧米で起きていること、と他人事のように思わず、自分たちにとって重要な問題だと考えて、常に最新の情報に関心を持っておきたい。
これからもジオ倶楽部では、サル痘の最新情報を紹介していく予定だ。
Our World in Data:https://ourworldindata.org/monkeypox
(冨田格)
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