【ゲイとサル痘】クラブイベントで感染したゲイが語るサル痘の現実

8月10日に、成田空港の検疫で国内4例目のサル痘感染者が報告されたが、コロナによる入国条件の厳しさゆえか、欧米のような感染拡大は現時点では起きていない。

これは、日本在住のゲイ・バイ男性にとってはありがたいこと。感染拡大が本格的に始まる前にさまざまな感染の実例を知ることで、どこに感染のリスクがあるのかを学ぶことができるからだ。

今回は性的交渉ではない形でサル痘に感染した人の体験談を紹介する。

【ゲイとサル痘】日本のゲイ・バイ男性がサル痘に感染するとヤバい理由

体毛豊かな”カワウソ”兄貴達の集会

サル痘
「ヒッピー・ホロウ・オッター・フェスト」

プライド月間である6月から7月にかけて、アメリカ各地では毎週末、なんらかの大きなゲイ関連のイベントが開催されている。

テキサス州のコロラド川の貯水池「トラビス湖」を中心に毎年7月初旬に開催される「ヒッピー・ホロウ・オッター・フェスト(Hippie Hollow Otter Fest)」もその一つだ。「トラビス湖」はテキサス州でも数少ないヌーディスト・フレンドリーなエリアとして人気がある。

日中は、トラビス湖畔の「ヒッピー・ホロウ公園」で楽しみ、夜はダウンタウンのゲイクラブで盛り上がる「オッター」が集まるイベント。「オッター」とはカワウソのことで、体毛豊かな非デブのことを指すゲイのスラングだ。

サル痘

今年の「ヒッピー・ホロウ・オッター・フェスト」に参加したテキサス州の男性ウェスリー・ウォレス氏が、サル痘感染の体験談を語っている。

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週末のイベント参加後に異変が

https://www.facebook.com/cheerpowerx/posts/pfbid02KnNS826d25zY7jWbyhreioW6ikV3AshqSG16p9E3VKB74RfYwF18qonM7oZUtrRMl

Plusが公開した記事「The Reality of MPV: Monkeypox Patients Speak of Loneliness and Pain(MPVの現実:サル痘患者の孤独と苦痛を語る)」より引用する。

※MPV=サル痘ウィルス

ウェスリー・ウォレス氏は、サル痘発症後に顔に現れた発疹の画像を公開して注目を集めた。

42歳の技術系プロフェッショナルであるウォレス氏は、週末の「ヒッピー・ホロウ・オッター・フェスト」に参加。酒を飲み、社交を楽しみ、日光浴をした週末から日常に戻ると、顔に炎症があることに気づいた。この時は、日光浴をしながら髭を剃り日焼け止めを塗ったことが原因だと考えた。

火曜日には、あごに水ぶくれのような発疹ができたが、それをニキビだと思うようにした。しかし、翌日、ただれが大きくなり始めたので、「サル痘に感染したのでは?」と不安になり、金曜日に目が覚めたとき、体の痛みとリンパ節の腫れで気分が悪くなったので、サル痘だと確信したという。

https://www.hivplusmag.com/stigma/2022/8/04/reality-mpv-monkeypox-patients-speak-loneliness-and-pain

その後、ウォレス氏は主治医に電話で症状を伝えたところ、検査するまでもなくサル痘であると診断。その時は、治療薬のTPOXXが手に入りづらい状況だったので、バイコディンとガバペンチンという抗けいれん性神経痛薬が処方された。

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混雑するクラブで密着、そしてイチャイチャ

サル痘は性病ではないが現在感染拡大している理由は、ゲイ・バイ男性の濃厚な肌と肌との接触、つまり性的交渉にあると言われている。しかし、ウォレス氏は性的交渉が感染理由ではないと考えているようだ。

「私は不特定多数との性的交渉をするタイプですが、ヒッピー・ホロウ・オッター・フェストの週末は、やりまくったりはしていません」と語るウォレス氏。

その週末の夜は混雑するゲイクラブで上半身裸になっており、無数の汗だくの男たちと肌と肌が接触していた。さらに「何人かとイチャイチャして、ハグしたり、キスしたりもしました」と語っている。

https://www.hivplusmag.com/stigma/2022/8/04/reality-mpv-monkeypox-patients-speak-loneliness-and-pain

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サル痘の感染体験をシェアする理由

ウォレス氏が、サル痘に感染した体験をSNSでシェアしているのは、サル痘が感染拡大している認識をゲイ・バイ男性の間に広め、同時に偏見を取り除いていきたいと考えているからだ。

サル痘に感染したことを公言したことで、身体的な影響に加えて、精神的なダメージも受けたという。

「私の知人の中には、私に背を向けている人もいますし、私を辱め、汚名を着せようとする憎悪や罵詈雑言のメッセージも届いています」とウォレス氏は語る。

しかし、自分が体験したことを共有することが、他の人を助けることになるのではと思い何人かの友人に話すと賛同してくれたので、サル痘に感染したことの恥ずかしさを取り除くために、名乗り出て自分の体験を共有することにしたと言う。

「これが私です。私はウイルスに感染したのです。それだけのことです」

https://www.hivplusmag.com/stigma/2022/8/04/reality-mpv-monkeypox-patients-speak-loneliness-and-pain

新型コロナウィルスでも、ごく初期に感染した人は偏見を向けられた例は日本でも数多く見られた。サル痘に関しては、ゲイ・バイ男性を中心に感染が広がっていることで、さらなる偏見や差別につながるのではないかと、不安を抱えている人も少なくないだろう。

だからこそ、常に新しい情報に触れて、感染リスクを下げるためにはどのような行動をすればいいのか考えていく必要がある。

ジオ倶楽部ではこれからも継続して「サル痘」の情報を発信していく。

(冨田格)

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