【ゲイと健康】日米で感染者が急増中!ホントは怖い「梅毒」のリアル

性感染症というとHIV/エイズをイメージするゲイ・バイ男性も多いかもしれないが、この数年急増しているのは梅毒だ。これは日本だけのことではなく、米国でも同じ状況だという。

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「梅毒」ってどんな病気?

ホントは怖い「梅毒」のリアル
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「梅毒」は性病の中では淋病にならんで知名度が高いので、名前を耳にしたことがある人は多いと思う。では、梅毒は具体的にどんな病気なのかご存知だろうか?

東京都保健医療局の「東京都性感染症ナビ」から引用しよう。

梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる感染症です。性行為で粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。感染すると、性器や肛門、口にしこりができたり、全身に発疹(ほっしん)が現れたりしますが、一旦症状が消えるため治ったと間違われることがあり、発見が遅れる危険があります。

検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。 

なお、梅毒はHIVの感染リスクを高める可能性があります。

東京都性感染症ナビ

なるほど、よく耳にする病気だからと軽く考えていてはいけないようだ。では、どんな症状なのか、「東京都性感染症ナビ」から引用する。

まず、「梅毒」は感染したあと2回に分けて症状が現れるということを抑えておきたい。感染後1ヶ月に「第一期」、感染後3ヶ月程度で「第二期」の症状が現れる。

第一期(感染後1ヶ月)

感染した場所(性器、肛(こう)門、口など)に、できもの、しこり、ただれなどができます。治療しなくても、数週間で症状は消えます。

第二期(感染後3ヶ月程度)

手のひらや足の裏など全身に発疹ができます。治療しなくても、数週間から数か月で症状は消えます。

東京都性感染症ナビ

「第一期」「第二期」ともに、治療をしなくとも症状が消えていくのだが、これが「梅毒」の恐ろしいところだ。この後、「潜伏梅毒」という期間が訪れる。

潜伏梅毒

症状がないまま何年も経過することがありますが、皮膚や内臓で病気は静かに進んでいます。

東京都性感染症ナビ

「第一期」「第二期」で感染していることを自覚しないまま「潜伏梅毒」に進んでしまい、病気が静かに進んだのち、数年から数十年後に「神経梅毒」を発症する人もいるという。

神経梅毒

数年~数10年後に、心臓、血管、神経の異常が現れることがあります。

東京都性感染症ナビ

「東京都性感染症ナビ」には、さらに恐ろしいことが記されている。

梅毒は感染しても症状が出ない人もいます。検査を受けないと感染したかどうかは分かりません。気になることがある場合は、検査を受けましょう。

東京都性感染症ナビ

なかなか厄介な病気であることをご理解いただけただろうか。

ちなみに梅毒は、

菌を排出している感染者との粘膜や皮膚の接触を伴うセックス(膣性交、肛門性交、オーラルセックス)などで感染します。

東京都性感染症ナビ

ということも理解しておきたい。

米国のゲイ・バイ男性に激増

ホントは怖い「梅毒」のリアル
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米国疾病管理センター(CDC)が発表した米国における性病罹患率に関する最新の統計によると、性病罹患率が高騰を続けており特に「梅毒」は1950年以来の水準に達し、なかでもゲイ・バイ男性の感染が激増しているとのこと。

「梅毒」は、かつてアメリカでは撲滅されようとしていた病気なのだが、過去20年間にわたって感染率は上昇を続けてきた。そして2022年には、米国における梅毒患者の約半数がゲイ・バイ男性ということになった。

細菌感染症である「梅毒」は、ゲイ・バイ男性の間では無防備なアナルセックスやオーラルセックス、リミング(ケツ舐め)などの行為によって感染することが最も多い。

コンドームの着用は梅毒の感染を防ぐのに役立つが、すべてのケースに当てはまるわけではない。発疹などの症状は人によって反応が異なるので、目立たない場合もある。たとえば、発疹に気づかずにリミング(ケツ舐め)することも考えられる。

感染していることに気づかないまま「神経梅毒」まで進んでしまうと、失明、難聴、麻痺、脳障害、死亡などの可能性もある恐ろしい感染症なのだ。

ゲイ・バイ男性間での感染が激増していることから、血液検査を受けることが推奨されている。少なくとも年に1回の血液検査は必須だし、複数の性的パートナーがいる場合は、3~6カ月に1回は検査を受ける方がいいと言われている。

さらに、「梅毒」だと診断されたら、HIV検査を受けることも推奨されている。「梅毒」の症状には開放性のただれ(発疹)が含まれることがあり、HIVウイルスが体内に侵入する可能性が高まるという。

検査することの大切さを認識しよう

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「梅毒」感染者が激増しているのは米国に限ったことではなく、日本も同じ状況だ。

東京都感染情報センターのまとめによると、コロナ禍の2021年から東京都内の「梅毒」感染者数が急増している。2020年は約1600人だったのが、2021年には2400人超、2022年と2023年は3600人超と著しく増加している。

男女比で見ると、20代は女性が多いが、30代以上は男性が圧倒的に多い。セクシュアリティは明らかにされていないが、ゲイ・バイ男性が占める割合は決して低くないだろう。

ここまで読んできて「梅毒」の恐ろしさと、現在、日本と米国で感染者が激増していることはご理解いただけたと思う。

そして、ここからは自分のこととして考えてほしい。

コロナ禍以降、インバウンドの中心は中国ではなく欧米からの観光客となっている。実際、東京でも米国から来日したと思しき観光客の姿は非常に多く見かける。その中には当然ながらゲイ・バイ男性もいるであろうし、日本人との一夜の情事を楽しむ人がいるのも想定内のことだ。

コロナ禍のほぼ鎖国状態の時から日本国内で感染者が激増していることに加えて、インバウンドが増加すればさらなる感染の拡大も予想される。

あなた自身は用心深くセーファーを常に心掛けているとしても、あなたが交わった相手はそうではないかもしれない。誰を媒介として感染が拡大するのかは分からないのだから、根拠なく「自分は大丈夫だろう」と過信するのはリスクが大きすぎる。

性的にアクティブなゲイ・バイ男性は、HIVだけでなく性感染症の検査を定期的に受けることを必須にする方がよさそうだ。健康であることが、ゲイ人生を楽しむためには重要なのだから。

自治体によっては、無料・匿名で受けることができる性感染症の検査を実施している。気になった人は、お住まいの自治体の公式サイトで確認してみてほしい。

東京都性感染症ナビ「検査・相談」
おおさかエイズ情報Now「HIV・梅毒検査」

※参考記事:Queerty

(冨田格)

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