大学教授に転身したゲイAV男優カルロ・マーシが不当解雇裁判で大学に勝訴

2000年代、有名ゲイ・アダルトメーカー「コルト(COLT)」のトップスターとして人気を集めたゲイAV男優カルロ・マーシは、引退後に大学に戻り博士号を取得して大学教授として雇用される。しかし、AV男優だった経歴を理由に不当解雇され、提訴した。

ゲイAV界のトップスターに君臨

カルロ・マーシ
カルロ・マーシ 画像引用元:Instagram

40代以上のゲイ・バイ男性には懐かしさを覚える人も少なくないと思われるのが、2000年代に米国の有名ゲイ・アダルトメーカー「コルト(COLT)」のトップスターとして君臨したゲイAV男優”カルロ・マーシ”。

鍛え上げた肉体と男性的なマスクに注目した「コルト(COLT)」にスカウトされ、2004年にゲイAVデビュー。世界中のコルト・ファンを熱狂させたマーシは、コルトと契約を結ぶ。

2006年には、コルト創立40周年記念の出版物「コルト40」の表紙モデルに選ばれるほどマーシの存在感は大きくなっていった。

2007年にマーシは、将来のパートナーとなるアダム・チャンプとともに、ゲイの旅行ガイド本「the Damron 2007」の表紙モデルを務めた。さらに2人は、2008年にゲイAVガイド本「Adam Gay Film & Video Directory Magazine」の表紙モデルにもなる。

マーシは唯一のコルトマン名誉会員に選出され、コルトと生涯契約を結ぶのだが、2009年にメーカーと不仲になりゲイ・ポルノ業界を引退する。

ゲイAV引退後は学級の徒に

カルロ・マーシ
画像引用元:Times Higher Education

”カルロ・マーシ”ことルッジェーロ・フレッディ(Ruggero Freddi)は、1976年にイタリアのローマで生まれた。14歳のときに地元のジムでボディビルと巡り合ったフレッディは、肉体の鍛錬を始める。

ローマの大学でコンピューター・エンジニアリングの修士号を取得し、人工知能研究所で働き始めたフレッディだが、コルトからスカウトを受けたことでゲイAV男優として活躍することになった。

2009年のAV男優引退後はイタリアで演劇デビューを果たすが、その後、修士号を取得した大学に戻り再び学問の道を進むことになる。そして数学の理学士号、理学修士号をそれぞれ満点のスコアで取得し、2020年には工学、電磁気学、ナノ科学の数理モデルの博士号を取得した。

不当解雇を訴え大学に勝訴した

カルロ・マーシ
画像引用元:Tiscali News

フレッディは、2017年にサピエンツァ大学工学部の教授に就任。しかし、彼のAV男優としてのキャリアを快く思わない人が学部内におり、敵対的な職場環境であることに気付かされた。

当時、イタリアの新聞「Repubblica」にフレッディはこう語った。

「教師としてのスキルや、今日私が占めている役割であるデータアナリストとしてのスキルを超えた偏見が、私の周りにあるように感じました」

2019年にフレッディは、数学のコースを教える職を与えられた。100時間の講義が予定されていたが、60時間の講義を終えた時点で、大学側は何の説明もなくフレッディを解雇した。さらに、それまでの労働に対する報酬を支払うことも拒否した。

不当解雇を不服としたフレッディは、ローマの民事裁判所に大学を提訴。裁判所はフレッディを支持し、大学に対して労働時間に対する報酬と「不当解雇」に対する罰金を支払うよう命じた。

フレッディは、この判決についてこう語っている。

「私は訴えることを余儀なくされ、そして、私は勝ちました。私のケースが、何年もかけて勉強し専門性を高めた後に搾取されるすべての博士課程の学生に勇気を与えることを願っています。今、私は普通の仕事をし、給料ももらっています。不当な状況におかれている人たちも勇気を出して声を上げてくれることを願っています」

2016年に”アダム・チャンプ”ことジョン・フランシスコと同性婚したフレッディは、やっと穏やかな心で生活をおくれているようだ。

世界中の男たちを魅了したゲイAV男優から大学教授へと、誰もが予想しない人生を歩む男に、これからどんな幸せが待っているのだろう。

※参考記事:Out

(冨田格)

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