ゲイ・バイ男性が語る、家族へのカミングアウト「する・しない」体験談

切っても切れない繋がりだからこそ、ゲイ・バイセクシュアル男性にとって家族への「カミングアウト」は大きな問題。「ジオ倶楽部」の読者がアンケートに応えてくれた、それぞれに異なる、それぞれの家族へのカミングアウト物語をシェアしていきたい。

家族になんでも話せるようになった

カミングアウト物語
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名前:りょん
セクシュアリティ:ゲイ
年齢:32歳
家族構成:祖母、父、母、兄、姉

20歳の頃に、自分はゲイだと自覚したりょんさん。気づいた時には「他の人とは違うという悲壮感と、バレてはいけないという心苦しさ」を覚えたりょんさんだが、家族へのカミングアウトは「実行済」。

2022年2月頃に、母親と兄と姉、それぞれの配偶者にカミングアウトしたりょんさん。カミングアウトした直後は「みんな驚いており、兄と姉は悲観的になっていた。母はショックだったようで数日間寝れなかったと聞いた」という状態だったそうだ。

しかし、今では「何でも話せるようになった、家族での会話が増えた気がする」という状況になれたとのこと。さらに「それまでは家族に言えなかったことでも、なんでも相談できるようになった」という、りょんさん自身の気持ちの変化もあったとか。

カミングアウトした家族からは「お前はお前だから大丈夫」と嬉しい言葉ももらったが、「お前の子供は見れないのが悲しい」という率直な気持ちも伝えられた。

お母さんから「お父さんには言わないでね」と頼まれたので父親に告白する気はないりょんさんは、「兄弟みんな家庭をもっているので、そこに関してはいいなぁとは思う」と感じている。

少しギクシャクしたけど、受け止めてくれた

カミングアウト物語
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名前:蛸臼
セクシュアリティ:ゲイ
年齢:52歳
家族構成:父(故人)、母、兄、妹

5歳の頃に「ゲイ」だと自覚した蛸臼さん。気づいた時は「特に深く考えなかった」という彼は、家族へのカミングアウトは「実行済」。

23歳の頃、蛸臼さんがウリ専でバイトしてゲイAVに出ていることを、知り合いが母親にアウティングしたことでカミングアウトせざるを得なくなったそうだ。父親には話してないが、お父さんもゲイだったとか。

カミングアウトした時は、「母や兄からは認めないと全否定された。育て方が悪かったのかと詰られた。妹には少し後に伝えたが同人誌を描いていた妹なので特に否定もされなかった」とのこと。

カミングアウトしてから数年間、家族との関係が少しギクシャクとしたそうだが、最終的には「認める」認めない/理解する・しない」という問題ではなくて、ただ「ゲイ」だという事実として受け止めてくれる様になったという。

家族にカミングアウトしたことで蛸臼さん自身は、何か自分の中で辻褄の合わなかった事が気にならなくなった、と感じるようになったそうだ。

カミングアウトした後にお母さんからは、このように言われた。

「どういう相手であったとしても側にいてくれる人を大切にしなさい。あと付き合ってる人と結婚や養子縁組はしない方がいい、財産の問題が発生するからね」

蛸臼さんは家族へのカミングアウトを「とりあえず、力業で認めさせてしまった事で混乱させてしまった。ほぼひとり親で育ててくれた母を悩ませてしまったなあと思っている」と振り返った。

葛藤の末の告白をなかったことにされた

カミングアウト物語
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名前:マダム島子
セクシュアリティ:ゲイ
年齢:44歳
家族構成:夫と犬一頭。血族は父、母、姉、兄

「(ゲイだと)気がつくというより、男性以外目に入らなかった」というマダム島子さんは、生粋のゲイ。ゲイであることを「普通のこと」と捉える彼は、家族へのカミングアウトは「実行済」。

ご両親と兄姉にきちんとカミングアウトしたにも関わらず、無かったことにされてしまったというマダム島子さんのカミングアウト物語。

「すごく悩んだ末に決断したカミングアウトで、長年連れ添っているパートナーを初めて紹介した場面でもありました。

ところが、父は否定的で第一声が『それでも孫の顔が見たい』でした。母は、無理矢理自分を納得させようとしている印象。兄・姉はこういうシリアスな場面に場慣れしておらず考えが出てこないといった様子。

カミングアウトを決断するまでの葛藤にはまったく配慮してもらえず、その後はカミングアウトしたことを忘れたかのような会話に巻き戻り、集団催眠にでもかかったのかと思ったくらいです。まるでなかったことにされたようで、純粋にショックでした」

カミングアウトした時に「オカマ」や「さぶ」と表現されたことで傷ついたというマダム島子さんは家族に対して「『ゲイ=性癖』と思っているようで、『ゲイって何? 勉強してみよう』とはならなかったことが残念です」と感じているそうだ。

カミングアウトは個人の意思の問題

カミングアウト物語
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名前:陸奥
セクシュアリティ:バイセクシュアル
年齢:61歳
家族構成:妻1人、子供1人

21歳の頃に、女性も男性も性の対象だと自覚した陸奥さん。自分のセクシュアリティについて「特に何も思わなかった」という陸奥さんは、家族には「カミングアウトしない」派。

陸奥さんが家族にカミングアウトしない理由は「1人の人間である事には変わりは無いし、バイセクシュアルであることに悩んでは居なかったから。また、カミングアウトしたところで、家族の状況は変わらないと思う」と考えている。

さらに「十人十色だし、カミングアウトするとか、しないとか、個人的な意思の問題ですよね」とも感じているようだ。

陸奥さんの奥さんが「息子がゲイに成ったら、どうしよう?」と言ったことがあるそうだが、陸奥さんなりの考えを伝えたところ「息子の人生だものね」と心配をしなくなったそうだ。

ちなみに「カミングアウトはしていないが、妻は薄々気付いていると思う」とのこと。

家族に言わなくてもいいこともある

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名前:gaku.
セクシュアリティ:ゲイ
年齢:32歳

小学5年生の頃に「ゲイ」だと自覚したgakuさん。気づいた時も「何も気にしてなかった」という彼は、家族へのカミングアウトは「する・しない」の両立派。

大学生の時にお兄さんにはカミングアウトしたという。その時お兄さんは、こう答えた。

「そうなんだ。バイト先に良くゲイの人くるよー。その人に狙われているんだよね」

カミングアウト後も、お兄さんとの関係は「何も変わらない」とのこと。一方、親にはカミングアウトしていない。

「あえて言わなくてもいいかな、一緒に住んでないし。家族と仲が良くて、言ってないことに罪悪感を抱くようであればカミングアウトした方が良いと思う。でも、覚悟の上で」

カミングアウト物語
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家族へのカミングアウトは、当事者本人の状況や、家族の状況・関係性などで一概に何が正解かを語ることはできない。だからこそ、より多くのゲイ・バイ男性の「家族へのカミングアウト」物語を聞いてみたいと考えている。

カミングアウト物語を共有してもいいと思う人は、アンケート・フォームからあなたのカミングアウト体験をぜひ教えてほしい。

■ジオ倶楽部・読者アンケート
「ゲイ・バイ男性に聞く『家族へのカミングアウト』問題」

日本全国のゲイ・バイセクシュアル男性には、それぞれ異なる事情があるものです。家族との関わりも、また同じ。カミングアウトする・しない決断をなぜしたのでしょうか。カミングアウトしてみたら、家族の反応はどうだったでしょうか。「それぞれが持つ、さまざまなカミングアウト物語を全国の読者と共有したい」そんな思いから、アンケートを実施することにしました。

カミングアウト家族に関して、あなたのリアルな声を聞かせてください。

<注意事項>
・アンケートの解答は「ジオ倶楽部」で記事として掲載する場合があります。
・掲載時は、いただいた解答を加筆・修正する場合があります。
・記述いただいた以外の個人情報は記事に掲載しません。
・記事掲載時期、掲載順などの問い合わせにはお答えできません。

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(冨田格)

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