プロレスの世界を変革するゲイのレスラーとファンが創り出すピースな瞬間

プロレスのリング上で試合の前後に行われるパフォーマンスは、シナリオ通りに演じられるパフォーマンスだということは周知のこと。しかしライブであるゆえに、観客の反応は事前の予想通りとはいかない場合もある。タッグ王座に就きカミングアウトしたゲイのレスラー”アンソニー・ボーエンズ”は、観客の予想もしなかった反応に嬉しさを噛み締めているようだ。

アンソニー・ボーエンズとは

Anthony Bowens
アンソニー・ボーエンズ

逞しい男たちが肉体をぶつけ合うプロレスの男くさくマッチョな世界は、同性愛とは相性が良くないとされてきた。ノンケのレスラーがオネエでコミカルなゲイキャラを演じる例は少なからずあったが、役割としてはあくまで道化であり、チャンピオンとなるような中心的存在ではなかった。

そんなプロレスの歴史を大きく変えた男が、アンソニー・ボーエンズだ。

1990年生まれで現在32歳のボーエンズは、2013年にインディーズ団体のリングでプロレス・デビュー。2015年にWWEから見送られたものの、インディ・サーキットで名を上げ2020年にはオール・エリート・レスリング(AEW)と5年契約を結び、知名度が急上昇。

そんなボーエンズだが2017年にバイセクシュアルであるとカミングアウトした。さらに数年後にはゲイであることをカミングアウト。

ボーエンスは2017年のカミングアウト前からユーチューバーであるとマイケル・パヴァーノ交際している。プロレス界はゲイにとっては決して生きやすい場所ではなかったがゆえに自分のセクシュアリティをひた隠しにしていたが、パヴァーノと出会ったことで、考え方を改めたという。

「彼はゲイだ!」とポジティブな連呼が湧く

Anthony Bowens
画像引用元:Instagram

相棒のマックス・キャスターと共にタッグチーム「ザ・アクレイムド」としてAEWに参戦しているボーエンズだが、2022年9月22日の「AEWグランドスラム」にてタッグ・チャンピオンシップを制し、オープンリー・ゲイの男性プロレスラーとして初めてのチャンピオンとなった。

以降もタッグチームとして活躍しているが、先日行われた『AEWランペイジ』の試合前にボーエンズ本人も驚くような事態が起きた。

この日は試合前のパフォーマンスに、女子レスラーでミュージシャンのハーレイ・キャメロンが乱入した。彼女はラップの腕前を披露し、「彼(ボーエンズ)は私に夢中になってるわ」と言った。

ボーエンズはキャメロンに対して「真面目に聞くけどさ、カンガルーに頭でも蹴られたんじゃないか? 俺はゲイだよ」と言い返し、観客を笑わせた。

ここまではシナリオ通りの展開だったのだが、この後、満席のアリーナ観客の間から「彼はゲイだ!」という叫びが自然発生的に広がっていった。それはネガティブな感情からではなく、ボーエンズがゲイであることを受け入れているがゆえのポジティブな大合唱だった。

これにはボーエンズ自身も驚いたようで、この時の動画を添えて SNSに投稿した。

「数年前、アリーナで 『彼はゲイだ!』の大合唱が起きたと言われたら、そんなことあるわけがないと誰もが言っただろう。ここまで来ることができたのは、とてもクールだと思う。でも、まだまだやるべきことはある。ハッピー・プライド」

決してゲイを肯定的に捉えてはいなかったプロレス・ファンの考えが変わってきたのは、ボーエンズの人柄と、努力して身につけた実力、そして相棒のマックス・キャスターとの関係性がファンに受け入れられているゆえだろう。

男臭いマッチョな世界にピースフルな空気を送り込むアンソニー・ボーエンズには、これからも目が離せそうにない。最後にボーエンズが最近インスタグラムに投下したセクシーな画像をご覧いただこう。

※参考記事:QUEERTY

(冨田格)

★あわせて読みたい!
カミングアウト・レスラーがインスタに投下した感動的メッセージが話題

コメントを残す