ゲイのポップスター”ジョージ・マイケル”の新作ドキュメンタリーが完成
個性的な番組作りで定評のある英国の公共放送チャンネル4が、2016年に亡くなったゲイのポップ・スター”ジョージ・マイケル”の新作ドキュメンタリー『ジョージ・マイケル:アウテッド』を制作。英国で放送間近のこの番組を紹介する。
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誰もが認めるゲイの象徴
2016年のクリスマス当日に亡くなったジョージ・マイケルは、英国が産んだ歴代ベストセラー・アーティストの1人であり、多くの人々にとっては単なるミュージシャン以上の存在だった。
ジョージ・マイケルは、誰もが認めるゲイの象徴でもあり、ゲイであることは彼のアイデンティティと音楽の中心だった。彼は、性的少数者とHIV陽性者の権利のための誇り高い運動家でもあった。
聡明で、反抗的で、限りなく親切なマイケルは、すべての人にとって世界をより良い場所にするために、自分の力の及ぶ範囲内であらゆることをすることを徹底的に決意していたという。
ホームレスのシェルターで隠密にボランティアをしていたこと、看護師へのコンサートチケットのプレゼント、大ヒット曲の印税を慈善団体に寄付するなど、彼がいかに寛大であったかを世間が知ったのは死後のことだった。
衝撃のトイレでハッテン逮捕劇
ジョージ・マイケルは過激なまでに親切で、ゲイであることにポジティブなスーパースターになるまでの道のりは、決して平易なものではなかった。
彼がゲイであることが明らかになったのは、デビューから20年を経た1998年、ロサンゼルスの公衆トイレでハッテン行為をしていたところ、警察のおとり捜査にひっかかり逮捕され、タブロイド紙が彼の自宅に押しかけた時だった。
常人であるならば心が折れてしまいそうなこのアクシデントでも、マイケルは決して諦めなかった。このアクシデントを、本来の自分の物語を取り戻し、ゲイ・リベレーションの決定的な瞬間に変えるという重大な決断をしたのだ。
その年にリリースした新曲「アウトサイド/Outside」は、自分の逮捕劇をパロディにしただけでなく、ゲイであることを公言することはないだろうと決めつける人たちに送る激しいメッセージでもあった。
「アウトサイド/Outside」のミュージックビデオは男性用の公衆トイレが舞台で、マイケルはロス市警の警官に扮している。
知られざる真実が語られる
3月6日(月)と7日(火)の2日連続でチャンネル4で放送する新作ドキュメンタリー『ジョージ・マイケル:アウテッド』には、マイケルの未公開音声、逮捕時に私生活でのパートナーであったケニー・ゴス、元マネージャーのサイモン・ネピアベル、従兄弟でビジネスパートナーのアンドロス・ゲオルギューなど、彼の側近たちの新しいインタビューを収録。
マイケルがいかにタブロイド紙のゴシップ報道に挑み、勝利したかが明らかになるという。
アンドロス・ゲオルギューは、マイケルが自分のセクシュアリティについて正直にならなかった理由を、こう語った。
「所属のレコード会社から『君はピンナップのような存在なんだよ。何千人もの女の子に追いかけられているけれども、君のCDを購入するのはその子たちなんだ。君がゲイであることを知れば、その女の子たちは離れていってしまう』と言われていたんだ」
マイケル自身は逮捕された1998年にCNNのライブインタビューで次のように語っている。
「自分のセクシュアリティを、このような形で明らかにされてしまったことを、私は愚かだと思うし、無謀で弱い人間だとも思っている。性的少数者の誰もが、同じような目に遭うべきではない」
ゲイのポップスターが、どのような考えで人生と向き合い、どんな苦悩や喜びがあったのかに触れることができそうだ。日本でも何らかの形で見られるようになってほしい。
チャンネル4『ジョージ・マイケル:アウテッド』
※参考記事:STYLIST/mail online
(冨田格)
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