変わるサービスや料金!ゲイの老後プランが大きく狂う可能性がある、という話

現状の介護保険のサービスが近い将来改定され、公的な介護サービスの内容が大きく変わる可能性があることを知っているだろうか? そして、さまざまな値上げの波が高齢者施設の利用料金にも及びそうだということを知っているだろうか?

「介護が必要になったら介護サービスを駆使すれば何とかなる」とか、「老後の資金はこれくらいあれば大丈夫だろう」といった目算が大きく狂ってくるかもしれない現実を、解説していく。

2024年の介護保険改定がヤバい

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筆者が母の在宅介護を実践して実感したことは、「介護保険ってものすごくありがたい存在だ」ということだ。

母の突然の入院から、介護生活が始まることになったのだが、最初は何も分からないし、準備もしていないので途方に暮れるばかりだった。ところが、担当してくれるケアマネージャーが決まり介護プランを組んでもらい、さまざまなサービスを受けられるようになると状況は一変した。

例えば、介護ベッドのレンタルや、デイサービスへ通所、室内へのレンタル手すりの設置など、考えてもいなかったサービスを月々1割負担で利用できるので、一人ですべてを背負わなければならないというプレッシャーがかなり軽減された。介護保険を駆使すれば、なんとか在宅介護をやっていけるという自信すら湧いてきたのだ。

母の在宅介護をした経験を通じて、「自分が介護を受ける側になった時の予習」をしている気分にもなっていた。ところが、この先、母が受けられていたような手厚いサービスを受けることが困難になってきそうだということが分かった。

2024年の介護保険制度改正に向けて、財務省から5つの提言がなされているのが、その内容は将来の介護サービス利用者にとっては、かなりシビアーなものだ。

長年介護の現場で働き、地域包括支援センター長を務めたこともある介護業界のプロであるユーチューバー「福祉の福ちゃん」の動画をご覧いただこう。

この5つの提言の中でも、将来の利用者にとってもっとも大きな影響を及ぼしそうなのが「要介護1・2を総合事業に」という項目だ。このことに関して、別の動画で詳しく解説しているので、そちらをご覧いただこう。

要介護1や2と言われても、介護経験がない人にはどのような状態なのか分からないと思う。詳細を知りたい人は、ウェブサイト「LIFULL介護」の中の「要支援・要介護の違い|要介護認定前に知っておきたい知識」を参照してほしい。

ちなみに筆者の母は在宅の時は要介護2であったが、訪問リハビリや訪問入浴介助などのサービスを活用して、なんとか在宅介護を続けることができた。

それだけ要介護2というのは、大変な状態なのであって、今後、国で定められた基準ではなく、それぞれの自治体のできる範囲内でのサービス提供とされてしまうと、どこに住むのかで受けられるサービスに大きな違いが生じる可能性がある。

自分が介護サービスを受けるときのことを考えると、非常に不安を覚えてしまうのだ。

インフレの波は高齢者施設も襲う

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自分の親が高齢者施設に入居しているので相場がわかっていたり、また老後に備えて高齢者施設にかかる費用を調べたりして、自分の老後のために準備するべき費用を計算している人は少なくないだろう。

日本はこの20年間、給料も上がらなければ(むしろ平均給与は下がっている)物価も変動しないという特殊な状況であったがために、自分が老後を迎える時期を今までの状況をベースに考えてしまいがちだが、世界中で巻き起こっているインフレの波は日本だって無縁ではいられない。

原油価格が上昇し、食材の価格が上昇することは、小売店の店頭に並ぶ食品類が値上がりしたり家計が厳しくなるだけじゃなく、高齢者施設だって同じように経営が厳しくなるのだ。

6月3日にNHKが公開した記事「有料老人ホーム4割が料金引き上げ検討 価格高騰で高齢者施設は」によると、

有料老人ホームへの調査では4割が料金引き上げを検討していると回答しました。

介護保険制度で運営される施設は値上げも難しく、専門家は「公的な支援が無ければ、経営はさらに悪化し、サービスを受けられなくなる高齢者も出るおそれがある」と指摘しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220603/k10013656871000.html

ということだ。

インフレで価格が上昇するだけではなく、賃金もそれに合わせて上昇していくのであれば、若い世代には問題のないことかもしれない。しかし、すでに老後の準備を完了させてリタイアしたり、リタイアが近づいている世代は、老後にかかる費用を見直すべきかもしれない。

ゲイの老後を考える時は現状をベースにするだけではなく、2024年介護保険改定の内容や、インフレの波がどこまで高くなりいつまで続くのか、ということにも注視していく必要がありそうだ。

介護が必要になった場合の資金として、民間の保険を活用する方法もある。保険活用に興味がある人は「ゲイが考える親の介護と自分の老後 その1『健康でいる間が準備のラストチャンス』 」を参照してほしい。この記事では親の介護に向けての保険活用を解説しているが、自分が介護が必要になったときのために準備することも可能だ。

(冨田格)


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