【ゲイの人生相談】アライな女性上司が僕を”お姫様”呼ばわりして不愉快
1日のかなり長い時間を一緒に過ごす職場の上司との人間関係が円滑であることは、誰にとっても非常に重要なことだ。アライを自認する女性上司の言葉に不快な思いを抱いているゲイ男性に、人生相談の専門家が授けたアドバイスとは。
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女性上司が僕を『私のお姫様よ』と紹介する
結婚・家族セラピストの資格を持つジェイク・マイヤーズが担当する、米国のゲイ・メディア『QUEERTY』の人生相談コラムに、ゲイ男性サム君(仮名)が送った相談。
「ハイ、ジェイク。
僕は自営業で、最近、芸能界で働く女性の個人秘書の仕事を引き受けました。始めてから4ヶ月ほど経ちますが、彼女とは良好な関係を築いています。
彼女はリベラルでオープンマインドで、性的少数者のアライ(理解者・支援者)を自認しており、基本的に僕を尊重してくれまする。でもこれまでに何度か、どう受け止めていいかわからないような軽率な発言をすることがありました。
例えば、この呼び方がもう流行っていないことを知らないようなのだけど、彼女は自分のことを「おこげ」と呼ぶのが好きなようです。また、バイセクシュアルは『相手が選び放題よね』と通俗的なジョークも言います。でも一番気になるのは、彼女が僕のことを『プリンセス』と呼ぶことです。彼女はときどき人に対して僕のことを『私のお姫様よ』と紹介するんです。
彼女はそれを愛称だと思っているようですけど、僕がゲイでなかったらそんな呼び方はしないと思います。
彼女は僕の上司であり、職場は彼女と2人きり。人事部に相談することもできず、どのように対処していいかわかりません。この仕事を続けたいけど、彼女が過剰に僕の味方になろうとするあまり、逆に不愉快な思いをさせられたくないのです」
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職場は常に安全で協力的な環境であるべき
こんにちは、サム。
誰もがプリンセスになった気分でいるのは重要です。もちろん、恩着せがましい同性愛嫌悪のペットネームを授けられたからという場合でなければですが。
職場において、胸が張り裂けそうな思いをさせられることはよくあることですが、不注意な無神経さはまた別の話です。自分の偏見によってあなたを不快にさせることは、相手が意識しているかどうかにかかわらず、決して許されることではありません。
私たちの知っている誰かが、性的少数者の人々を完全に受け入れていると主張しているにもかかわらず、彼らの行動や言動がそうでないことを物語っているということは、あまりにも頻繁に起こります。あなたの上司は、ゲイであることの意味について特定の固定観念を持ち続けていて、彼女が支持していると思っている人々のアイデンティティを傷つけてしまっています。
彼女は悪意を持っているのでしょうか? おそらくそうではないと思います。彼女は本当に自分を味方だと思っているかもしれないし、ステレオタイプを代弁することで何とかあなたと絆を深めようと考えている、もしくは本気で面白いと思っているのかもしれません。
彼女が気づいていないのは、彼女の発言がおそらく本人も気づかないうちに深く根付いた同性愛嫌悪のメッセージを吸収してしまったゆえに発せられた可能性があるということです。
あなたの上司が本当に味方であるならば、あなたをペットのように扱うのではなく、一人の人間としてあなたを知ろうとするはずです。そうすることで、あなたを典型的なゲイの一人ではなく、対等に仕事をする大人の男性として尊重することになります。
しかし、彼女に不満を伝えることが結果的に給料をカットすることにつながる可能性もある場合、どう対処すればいいのでしょうか?
重要なのは、健全なコミュニケーションです。
あなたの上司のような人の多くは、単によく知らないだけで、誰かに教えてもらう必要があるのです。上司があなたとの良好な関係を望んでいるのであれば、上司は自分の言っていることがあなたをどのように感じさせているのか、耳を傾けてくれるでしょう。
あなたにとって重要なのは、彼女が間違っているよと批判するのではなく、彼女がある言葉を発したときにあなたがどう感じるかを話し合うだけでいいのです。性差別や同性愛嫌悪のステレオタイプに由来する言葉や表現を使うことが、いかに苦痛を伴うか、あるいは自分自身の気持ちと一致しないかを丁寧に説明しましょう。
彼女が仕事で出世していく過程で、男性上司から「スイートハート」や「ハニー」と呼ばれることをおそらく喜ばなかったのと同じように、彼女があなたに同じことをするのは、少なくとも最初にそれについて会話をすることなくするのはいいことではありません。
また、バイセクシュアルへの誤解などは、当事者にとって傷つく言葉になりうるので、心の中に留めておくよう勧めたほうがいいかもしれません。
確かにゲイの人たちは、自分たちの力を取り戻すための楽しい方法として、過去に自分たちに投げつけられた蔑称や性差別用語を自虐的な笑いのネタとして使うことがあります。しかし、それはゲイである私たちが主導権を握って話せる時のことであり、他人から言われて気持ちのいいものではありません。
職場は常に安全で協力的な環境であるべきです。それを確認する人事部がないのであれば、あなたは自分の手で問題を解決する必要があります。結局のところ、プリンセスにはハッピーエンドがふさわしいのですから。
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ジェイクのアドバイスに共感の嵐
サム君の悩みに対するジェイクのアドバイスを受けて多くのゲイが意見を表明した。多くの意見は、ジェイクのアドバイスに賛同するものだった。
「彼女の脳内にはドラマ『アグリー・ベティ』の、マーク・セントジェームズとウィルヘルミーナ・スレーターの姿が投影されているに違いない」
「彼には気骨がないのだろうか? 彼女の言っていることが気に入らないなら、彼女に直接不満を言うか、辞める必要がある。彼女の性格が変わるとでも思っているのだろうか」
「女性がこういうことをするのは嫌いだ。『あんたはゲイを勘違いしている』って言うだけ」
「この話の舞台が過疎化している地方都市ではなくエンターテイメント業界で、そこで働く人が社会規範の変化に気づかずこれほど無神経だとは信じがたい。彼女は、いわば時代に取り残された恐竜に違いない。人の気持ちの繊細さは、彼女には理解できないのだろう。
サムは女性の上司に直接そのことを伝えなければならないが、もしそうしたら彼女は傷つくだろう。2023年の現在でも自分のことを「おこげ」と呼んでいるのたとしたら、彼女にとって変化することは難しいか、もしくは不可能だと思う。
私がサムならば別の仕事を探し始める。彼女は多分、今までに何人かの個人秘書を雇っていたはずだ。男性アシスタントを『私のお姫様』と紹介するような人は、他の人たちからも尊敬されているとは考えにくい」
「なんてひどい侮辱なんだ! 雇用主の中には、従業員に対して家族と話すような態度で接することが許されると考えている人もいるようだ。とはいえ、あなたが大人であるのだから、彼女の言葉を快く思っていないことをきちんと伝えるべきだ。それでもやめないようなら、誰かの『お姫様』ではなく、大人として扱われる別の仕事を探しなさい。こんなくだらないことに我慢するには、人生は短すぎる」
女性上司があなたのことを「私のお姫様」呼ばわりしてきたら、あなたはどんな気持ちになるだろうか。
※参考記事:QUEERTY
(冨田格)
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